この記事をまとめると
■モデューロXの発売10周年を記念して代官山モーニングクルーズを実施■抽選によって選ばれた50台が代官山T-SITEの駐車場をジャック
■開発アドバイザー土屋圭市さんと開発者によるスペシャルトークショーも開催
N-BOXモデューロX発売から10年が経過
3月最初の週末の日曜日、都内の蔦屋書店の代官山T-SITEにおいて、モデューロXが発売から10周年を記念して初となるモーニングクルーズを開催した。周知のとおり、これまで代官山のモーニングクルーズに代表されるカー&コーヒー的イベントといえば、キャラの立った輸入車ブランドの集まりという雰囲気が強かったが、ホンダの純正コンプリートカーであるモデューロXも、そうしたオーナー・コミュニティを形成しつつあるということだ。
ちなみにこれまでの10年間で、マイチェンモデルやバージョン違いも含めれば、モデューロXは7車種・11種類の市販モデルを世に送り出している。
久々に寒さのぶり返した日曜の朝、7時をまわると、T-SITEのパーキング・ゲートから次々とモデューロXの参加車両が入って来た。一番の古株となるN-BOXにN-ONE、ステップワゴンにフリードにS660、ヴェゼルにフィットe:HEVまで、車種ごとに誘導された駐車枠に停められた。2時間弱ほど、コーヒーを片手にオーナーたちは早速、ほかの集まったクルマを見たり、他のオーナーと交流を深めたりしている。

このほわわんと無目的な時間というか、コーヒー片手に好きなクルマに見とれたり、同好のお仲間とクルマの話題に興じて過ごすのが、モーニングクルーズの醍醐味ともいえる。
8時には主催者側、つまり開発アドバイザーの土屋圭市氏と、ホンダアクセスでモデューロXの開発を統括する福田正剛氏、同じく完成車性能担当エンジニアである湯沢峰司氏から、軽く挨拶がてらスピーチがあって、3氏もパーキング内のオーナーカーのモデューロXを見ながら、オーナーと談笑していた。

日本有数のドライバーや、作り手の側にとっても、いちクルマ好きとしてオーナーと同じ目線でクルマ談義する機会でもあるのだ。
ここでしか聞けないモデューロX開発裏話満載のトークショー
かくしてパーキングで2時間ほど交流して、全体で集合写真を撮った後、T-SITEの2階のスペースに場所を移して、この日のお楽しみといえるプログラム、スペシャルトークショーが行われた。

壇上に上がったのは先述の3氏に加えて、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏。ドライバーと開発エンジニアのふたりという3者が繰り広げる本音トークを、まるも氏がモデレーターとしてまとめながらセッションは進行した。

「実効空力」という日常の速度域でも感じられるエアロダイナミクスを積極的に採り入れることで、前後リフトバランスを整え、最大公約数を追うべき市販車にはないシャシーセッティングを実現できるのが、モデューロXの個性であり強みでもある。とはいえ開発の現場では、アドバイザーの土屋氏はもちろんエンジニアからデザイナーまで、テストコースを実際に走っては改良を重ねて、際限のないトライ&エラーを繰り返しているのだとか。

裏話だらけのトークに、オーナーたちは静かに大盛り上がりといった風情で、真剣に聴き入っていた。CADやシミュレーターが当たり前の現代にあって、クレイモデルを削り、ときにはダンボールまで現場で用いるという、泥臭くも人の手による作業が、人間の感覚を重視した開発を経て生まれる、モデューロXの説得力そのものだ。

続く後編では、代官山に現れたモデューロXオーナーたちの愛車に対する想いを紹介する。