この記事をまとめると
■近頃は上部にスモークがかかったトップシェードのあるフロントガラスを見かけることが減った■トップシェードは眩しさを抑えるとともに高級感も演出するといったメリットがあった
■運転支援システムの普及とトレンドの変化でトップシェード処理されたフロントガラスは減っている
眩しさを抑えて高級感を演出するトップシェード
少し前までフロントガラスの上部に薄い青や緑のスモークが純正でかかっていました。これはトップシェードやハーフシェードと呼ばれるものですが、近年は見かけることが少なくなっています。なぜ見かけなくなってきたのか? その理由を自動車用ガラスも手がける世界最大級のガラスメーカー、AGCに聞いてみました。
トップシェードのメリット・デメリット
フロントガラス上部の色合いが異なるトップシェード、一見すると高級感を感じるアイテムですが、何かメリットがあるのでしょうか?
「メリットとしては太陽光を和らげて眩しさを防ぐことができます。また、トレンドに左右されてしまいますが、高級感を感じるという声もあります。このふたつがトップシェードの主なメリットですね」
現在では少なくなったトップシェードですが、高級感を演出するアイテムと聞くと、ひと昔前は上級車種に多く備わっていたイメージがあります。では、デメリットはあるのでしょうか?
「大きなデメリットとしてはありませんが、近年は運転支援システムの性能確保のためにトップシェードを採用しないモデルが増えています。これはフロントガラス上部に光学カメラやセンサー類を有することに対して配慮してのことだと思います。ただし、トップシェードのような染め分け部分の有無が、必ずしもすべての車種で動作に影響を及ぼすという訳ではありません」
デザイントレンドの変化でフロントウインドウも変化?
近年減ってきた理由は?
ここまでのトップシェードのメリットやデメリットを見てみると、採用が減った理由としては運転支援システムの普及が大きなところと言えそうです。しかし、ガラス側の技術の進歩も理由になっていると言います。

「確かに、運転支援システムの性能確保のためにトップシェードの採用が減ったのは一理あると言えるでしょう。しかし、近年はトップシェードのように色を付けなくても赤外線や紫外線をカットできるようになりました。眩しさに対する点に関してはトップシェードに劣ってしまいますが、透明なままでも車内を快適な環境にできる技術の進歩も理由と言えるでしょう」
また、トレンドが移り変わっているのも大きなポイントと捉えているそうです
「弊社としては、トップシェードが少なくなったのは機能的な部分よりもデザイントレンドの変化が影響していると考えています。現在でもアフターマーケットでトップシェードのような色が付いたガラスに変更されるユーザーさまもいます。今後のトレンドの移り変わりによっては、またトップシェードが復活するかもしれません」

トップシェードが少なくなった理由は、運転支援システムの普及によるカメラやセンサー類の充実、ガラスの技術的進化、デザイントレンドの移り変わりなど複合的な要素が絡み合っていることがわかりました。デザインや性能、メカニズムと同じように自動車用ガラスを取り巻く事情も絶えず変化しているのです。
われわれドライバーの視界を確保し、安全運転の第一歩にとって非常に重要なフロントガラス。今後どのような進化とトレンドが起こるか注目していきたいところです。