この記事をまとめると
■アメリカでは「デモリッションダービー」というクルマが動けなくなるまで戦う過激な競技がある



■デモリッションダービーの多くは田舎にある小規模なオーバルコースのインフィールドで行われる



■なんとも過激なデモリッションダービーであるが、これもアメリカ自動車文化のワンシーンといえる



最後まで動いていたクルマが勝ちのサバイバルレース

デモリッションダービーという言葉を聞いたことがある人は、日本ではあまり多くないのではないだろうか。



「デモリッション」の意味をネットで検索すると、建物などの「取り壊し」や「破壊」という和訳が出てくる。また、「ダービー」というと、競馬のイメージを持つ人がいるだろう。

これらをかけ合わせた、デモリッションダービーとは、アメリカにおける「破壊的なレース」のことである。日本のテレビ番組で昔からよくある、世界の面白映像の類でも登場することがある。



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要するに、クルマをぶつけ合いながら、相手のクルマが動かなくなるまで、サドンデスで戦うという、なんとも過激な競技だ。



筆者はこれまで、アメリカ各地でさまざまなモータースポーツや、自動車や二輪車に関係するイベントに参加し、取材してきた。そのため、デモリッションダービーの現場も何度となく見ているが、その多くがかなり田舎にある小規模なオーバルコースのインフィールドで行われていた。



アメリカにはざっくり1000カ所の自動車または二輪車向けのレース場があるといわれていて、日本でいうサーキットのような施設はあまり多くない。数が多いのは、施設としての建設コスト比較的安い直線路だけのドラッグレース場。さらに数が多いのがオーバルコースだが、そのなかでも1周300~600m程度の小規模なオーバルコースが目立つ。その多くは舗装路面ではなくダート路面だ。



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ブツけあって動けなくなったら負けの「デモリッションダービー」



そんなダート路面のスモールオーバルコースで、デモリッションダービーが行われる。デモリッションダービーは競技というよりは、余興に近いイメージもある。オーバルダートレースの合間に行われることが少なくないからだ。



いかにもアメリカらしい自動車文化のひとつ

使用されるクルマは、かなり年季の入った大きなアメ車たち。一応、安全性を確保するために、車内には頑丈なロールケージが取り付けられている。そもそも、やっている行為として危険なデモリッションダービーだが、それでもドライバーの安全性を考慮したローカルルールがあり、基本的にはドライバーサイドの側面にはぶつけないことになっている。



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だが、実際には複数台が多重でぶつけあうことが多いため、結果的にドライバーサイドに相手のクルマがぶつかることがある。



多くの場合、車両前方のラジエターがやられて、エンジンがオーバーヒートして戦線離脱となる。つまり、冷却系やエンジンを修理すれば、次回のデモリッションダービーにもまた出場できるというわけだ。



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なんとも過激な発想のデモリッションダービーだが、これもアメリカ自動車文化のワンシーンだと言えるのだろう。

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