この記事をまとめると
■1963年創業のランボルギーニはこれまでに多くのワンオフもしくはフューオフモデルを発表している



■ランボルギーニの歴史における最初のワンオフモデルは1963年の「350GTV」だった



■350GTV以降も数多くのカロッツェリアによるワンオフモデルを生み出してきた



1963年の350GTV発表から始まるランボルギーニの歴史

ランボルギーニは、その60年に及ぶ歴史のなかで、さまざまなワンオフモデル、あるいはフューオフモデルを製作してきた。それらはいずれもランボルギーニにとって、未来のデザインや技術的な方向性を示すプロトタイプであり、それを見る者は(あるいは最近ではそれを購入した者は)、ランボルギーニの未来像をいち早く我が身で理解することが可能な仕組みとなっている。



先日、モントレーカーウイークで世界初公開されたウルトラGT、「ランザドール」もまたその例にもれず、さらなる詳細は今後発表される予定だが、ランボルギーニが2021年に発表した脱炭素化と電動化を推進する中間計画、「コル・タウリ」が順調に進行していることを表すBEVであることを広く世界にアピールした。



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ランボルギーニの歴史において、最初に誕生したワンオフモデルは、もちろん1963年のトリノショーに出品された「350GTV」である。エンツォ・フェラーリとの確執から名門フェラーリを離れていたジョット・ヴィッザリーニによる3.5リッターのV型12気筒エンジンに、カロッツェリア・スカリオーネによる2ドアクーペのデザイン。



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ランボルギーニ350GTVのフロントスタイリング



350GTVはそれなりに魅力的なGTに見えたが、フェルッチオの考えはまったく逆だった。結果、ショーの途中で350GTVは出品を取りやめ、サンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニで改良作業が施されることになる。そこにはジャン・パオロ・ダラーラ、パオロ・スタンツァーニ、そしてカロッツェリア・ツーリングといった面々が待っていた。



350GTVの改良型、すなわち「350GT」は1964年に完了し、その後エンジン排気量を拡大するなどの改良を施した「400GT2+2」にモデルチェンジされるが、ここでいくつかのカロッツェリアがスペシャルモデルを製作している。



まず、1965年にカロッツェリア・ザガートは、350GTをベースに2台のオープン仕様の「350GTS」を製作。翌1966年には400GTがベースの「400GTS」が、やはりザガートから一台のみ生産されている。



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ランボルギーニ400GTSのフロントスタイリング



さらに、カロッツェリア・ネリ・エ・ボナチーニはさらにスポーティなデザインの「400モンツァ」を発表。



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ランボルギーニ400モンツァ



そしてカロッツェリア・ツーリングからは、今回発表されたランザドールにもコンセプトが似る「フライングスターII」が1966年にやはり400GTをベースに製作されているのだ。



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ランボルギーニ・フライングスターIIのフロントスタイリング



ちなみに、ツーリングの経営状態はこの時期すでに最悪で、彼らとしてはランボルギーニからフライングスターIIのオーダーを受けたかったところだが、残念ながらその夢は叶わず、前後して彼らはその活動を停止してしまう。



4ドアのミウラ兄妹車が誕生する可能性もあった

ツーリングが倒産したことで、ランボルギーニのボディ製作はカロッツェリア・ベルトーネに委ねられることになった。

その第一作となったのは言うまでもなく、あの「P400ミウラ」だが、フェルッチオは「TP400」と呼ばれた、1965年発表の鋼板製のフレームとリヤにミッドシップされたV型エンジンからなるベアシャシーにはさほど興味を持たず、むしろ次なるプロジェクトとしてフル4シーターのGTをラインアップに加えたいと考えていた。



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ランボルギーニ・ミウラP400のフロントスタイリング



そこで、当時ベルトーネのチーフスタイリストであったマルッチェロ・ガンディーニが提案したのが、TP400のシャシーをそのまま流用してデザインしたワンオフモデルの「マルツァル」。



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ランボルギーニ・マルツァルのフロントスタイリング



ホイールベースはTP400の2500mmに対して2620㎜まで延長されていたが、それでも後席に十分な空間を得ることが難しいと判明すると、ガンディーニはV型12気筒エンジンの片側バンクのみを使用した直列6気筒エンジンを横置きにリヤに搭載することを考案。



さらに全面ガラス張りともいえる、キャビンの前後長に匹敵するほどのガルウイングドアなど、斬新なデザインを採用する。内外観で無数ともいえるほどに用いられた六角形のモチーフもまた現代にまで通じるものだ。



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ランボルギーニ・マルツァルのサイドビュー



TP400をベースに、流麗でスポーティなボディを得たP400ミウラとマルツァルで話題を独占したランボルギーニ。とくに1966年にデビューしたP400ミウラが世界に与えたインパクトは大きく、当初30台ほどの限定車として売ればよいと考えていたフェルッチオも、ここで大きく方向転換を迫られることになった。



同時に、ポルシェ911が属する小型スポーツのセグメントに進出するというプランも持ち上がり、同年にはそのスモール・ランボルギーニ(後の「ウラッコ」のプロトタイプ)と、マルツァルにコンセプトを得た4シーターGTのエスパーダの開発がスタートしている。



一方のP400ミウラにもルーフをカットしたことを始め、さまざまなパートで改良が施された「ミウラ・ロードスター」がカロッツェリア・ベルトーネの手で製作され、こちらは1968年のブリュッセルショーでの展示を終えると、アメリカのILZRO(International Lead Zinc Reseach Orgnization)社に売却。



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ランボルギーニ・ミウラ・ロードスターのフロントスタイリング



彼らは当時の最新技術を駆使してそのリビルトを行った。そしていつしかそれは、「Zn75」の名で親しまれるモデルになった。

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