この記事をまとめると
■WRC王者のカッレ・ロバンペラ選手がフォーミュラ・ドリフト・ジャパンに参戦■2位入賞を果たしたロバンペラ選手の躍進を支えたのがGRカローラだった
■GRカローラはFR化するなどドリフト競技専用レーシングカーとしてキャロッセが開発
ロバンペラのドリフト競技の相棒に注目!
フォーミュラ・ドリフト・ジャパン第6戦が10月6~8日、岡山国際サーキットを舞台に開催。既報のとおり、2022年のWRCチャンピオン、カッレ・ロバンペラが素晴らしいパフォーマンスを披露しており、2位に入賞した。
振り返れば5月に行われた第2戦のエビス大会で優勝するなど、ロバンペラはフォーミュラ・ドリフト・ジャパンで圧倒的なアタックを見せつけていたが、彼の躍進を支えたのが、GRカローラにほかならない。
というわけで、ここではGRカローラの開発を手掛けたキャロッセのチーフメカニック、渡部貴志氏にマシンの特徴を解説してもらった。
──キャロッセと言えばラリーの名門で、これまで国内外の規定に合わせたラリー競技車両を作ってきたし、その前はスーパーGTでもインプレッサを投入したりとレーシングカーを作ってきましたが、ドリフト用のGRカローラはどのような特徴があるんでしょうか?
渡部:ラリーカーとは違いますね。イメージ的にはダートトライアル競技のD車両に近い。ドリフト競技専用のレーシングカーとして開発しています。
──なるほど。言わば「モンスターマシン」ですね。ちなみにベース車両は4WDだと思いますが、ドリフト用車両はFRの状態ですよね? 足まわりもかなりベース車両とは違いますよね?
渡部:そうです。FR車両なんですけど、足まわりはクロスメンバーとサブフレーム以外はオリジナルです。
──ちなみにGRカローラのエンジンは1600ccの3気筒ターボ、G16E-GT3型ですが、このドリフト競技用モデルは何が搭載されているんですか?
渡部:エンジンはほかのマシンにも搭載されている2JZ-GTEです。GRカローラはHKSの3.4リッターキットを搭載しています。
──A80型スープラに搭載されていた直列6気筒ターボですね。チューニングベースに最適なエンジンとして、いろんなところで使われていましたが、いまも現役だったとは。
渡部:1000馬力ぐらいです。トルクは1200Nmぐらいですかね。
──それだけドリフト競技にはパワーとトルクが必要なんですね?
渡部:やっぱり、リヤタイヤをまわさないといけないし、タイヤもSタイヤほどではないにせよ、それなりにグリップしますからね。それに国際サーキットでは車速も必要なのでパワーがあることにこしたことはありません。
──ちなみにタイヤはコンペティションなんですね?
渡部:FDJ2、FDJ3はヨコハマのワンメイクなんですけど、トップカテゴリーのフォーミュラ・ドリフト・ジャパンは登録タイヤであればOKです。
──使用できる各タイヤメーカーのモデルとサイズが指定されているんですね。ブリヂストンで言えば、RE-71R/RE71-RSがOKで、同じ縦溝が入ったタイヤでもRE-12Dなんかは使えないということであれば、ハイグリップラジアルではなく、スポーツラジアルの括りなんですね。
渡部:うちはヨコハマなのでA052も使用できますが、ライフを考えてAD09を使用しています。
──ちなみにタイヤ本数制限はあるんでしょうか?
渡部:ないです。だいたいトーナメントだと先行と追走で2回走りますが、それでリヤタイヤは終わるので、そのたびに交換しています。
ドリフト車両開発のポイントコントロール性
──あとフロントタイヤが「鬼キャン」で、前から見たら「ハの字」の状態なんですが、あれもドリフト特有のセッティングですよね?
渡部:ドリフトではフロントは「逃す」というか「転がす」といったイメージなので特有ですよね。
──なるほど。
渡部:GRカローラに関してはドアもボンネットも純正ですね。カーボンにしたり、ウインドウなんかもアクリルにしてもいいけれど、そこまで軽量化しなくても戦えそうだったので材質置換はしていません。
──ちなみにキャロッセとしては、いつからドリフト競技をやっているんでしょうか?
渡部:4年前です。これまでにGRスープラ、GRヤリス、GR86を作って、今年はGRカローラを開発しました。最初はドリフトのクルマはどのように作ればいいのか、わからない状態でしたが、4年目になってようやく上位争いに絡めるようになりました。
──GRカローラはドリフト競技のベース車両に向いていますか?
渡部:GRヤリスとプラットフォームが近いですからね。我々としてはその経験を活かすことができたので作りやすかったという部分はありますし、GRヤリスよりは重量が重いですけど、ホイールベースが短いのでコントロールはしやすいと思います。GRスープラは意外とホイールベースが短いので、コースにもよりますが、セッティングが難しい傾向にありますね。
──キャロッセとしては、ラリーにしても、レースにしてもタイムを争う競技で豊富な経験を持っていますが、ドリフト競技は審査で優劣を決める競技ですよね。車両開発のポイントはどこに置いているんでしょうか?
渡部:やっぱりコントロール性ですね。ドライバーの好みに合わせることが重要だと思います。
以上、簡単にポイントを解説してもらったが、ドリフト競技車両はなかなかに奥が深い。
ちなみに、フォーミュラ・ドリフト・ジャパンでは、マシントラブルや接触でのアクシデントでマシンを破損した場合、5分間のリペアタイムが設けられており、その時間内にマシンを修復することができれば出走可能となるが、キャロッセではその5分間ルールに対応すべく、リヤデフ、ドライブシャフト、アーム類などを予めセットとして組み込み、アッセンブリーで交換できるシステムを採用。まさにル・マン24時間レースで各ワークスチームが採用したリペアシステムと同じ発想で、その作業を実践すべく、WRCやAPRCで戦ってきたメカニックを起用していることも同チームの特徴と言える。
参戦から4年目にして、すでにフォーミュラ・ドリフト・ジャパンにおいても名門チームとなったキャロッセ。同チームが開発したGRカローラがロバンペラの飛躍を支えていたのである。

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