この記事をまとめると
■トラックドライバー不足の対策として車両の大型化が進んでいる



■最近ではダブルトレーラーと呼ばれるトラックも登場



■ダブルトレーラーを運転するのに必要な資格やルールについて解説



圧倒的な運搬能力を誇るフルトレーラー

トラックドライバー不足が深刻化するなか、その対策として車両の大型化がより一層進んでいる。従来は小型トラックで運んでいた仕事を中型トラックで行い、中型トラックで運んでいた仕事は大型トラックを利用することに。その結果、大型トラックの比率が上昇し続けている。



さらに、大型トラックのなかでも積載量が見込めるのがトレーラーだ。トレーラーとはいわゆる荷台の部分の名称でもあるが、正確にはエンジンを搭載する車体をトラクター、荷台の部分をトレーラーと呼ぶ。このトラックはトラクターが牽引するため、トレーラーを入れ替えることで荷物や荷台の交換ができるだけでなく、車体が折れ曲がるために小まわりがきくという利点もある。通常の大型トラックでは曲がれないような交差点も走り抜けることができるのだ。



トレーラートラックは大型免許だけでなく、牽引免許も取得しなければ運転することはできない。交差点を曲がるときにトラクターを一度逆に振って大きく曲がる姿を目撃したことがあると思うが、トレーラートラックは小まわりがきくだけでなく、運転方法もほかのクルマとはかなり異なる。狭いところへバックで車庫入れを決める状況に遭遇すると、トレーラーのドライバーの運転の上手さに惚れ惚れすることも珍しくない。



こうしてトレーラートラック輸送の比率も高くなっているが、最近ではさらに輸送能力を高めるべく、より大きなトラックが利用されはじめている。



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それがフルトレーラーと呼ばれるもの。一般的なトレーラーはトラクターとトレーラーを組み合わせたもので、本来はセミトレーラーと呼ばれる形式。それに対してフルトレーラーは「大型トラック」が「トレーラーを引っ張る」のだ。



ダブルトレーラーとフルトレーラーの違いは?

さらに、最近ではダブルトレーラー、ダブル連結トラックとも呼ばれるトラックも登場している。

これは前述のフルトレーラーの、さらにトレーラーが長い仕様だ。道路法や道路交通法では、道路を走るトラックの大きさや重さに制限があり、フルトレーラーの場合は連結全長で21mまでが最大(通行許可を受けた場合)だったが、2019年にはこれが25mまで許可されることになった。これにより従来は大型トラックより短かったフルトレーラーのトレーラー荷台が、大型トラックと同じ12mまで延長できるようになり、完全に大型トラック2台分の荷物を運べる機能を有することになったのである。



ただし、フルトレーラーはどこでも走れるわけではないし、ダブルトレーラーとなるとさらに運転するにも特別な資格が必要となる。



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ダブルトレーラー



主要な高速道路は新規格のダブルトレーラーにも対応できる道路となっているが、一般道では限られている。そのため、走行ルートを決めて国土交通省に通行許可を受ける必要がある。また、運転するドライバーも前述の大型免許、牽引免許を取得しているほか、直近で5年以上の大型トラック運転歴と2時間の講習を受ける必要がある。



高速道路での実証実験などを経て、ダブルトレーラーのトレーラー部分を受け渡しすることで中継輸送を実現したり、共同配送へ利用することが始まっている。



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トリプルトレーラー



すでに海外ではダブルトレーラーは地域により積極的に利用されている。また、日本でも宇部興産が自社工場内の敷地ではトリプルトレーラーを運行している。

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