この記事をまとめると
■日本独自の文化として根付いているデコトラには独特のカスタムスタイルが存在する



■デコトラカスタムのひとつにホイールに取り付けられた光るランプがある



■ホイールマーカーがどのような原理で光っているのかを解説する



映画『トラック野郎』の時代から存在していた文化

古くから日本独自の文化として根付いている、デコトラ。近年ではド派手な車両が減りつつあるが、いまなお盛んなカルチャーである。夜間の高速道路などを走行するとデコトラに遭遇することがあると思うが、ホイールにランプを取り付けているトラックを見たことがないだろうか? これはホイールマーカーと呼ばれるアイテムで、いまを生きるデコトラ野郎たちの間で広く好まれている。



このホイールマーカーは、どのような原理で回転するホイールに取り付けられ、どうして光るのか気になるという人もいるかもしれない。ランプを光らせるためには、プラスとマイナスの電源が必要となる。しかし、回転するホイールに配線を通すという行為は考えられない。即座に配線がねじれ、断線してしまうからだ。今回は、その部分に注目してみよう。



回転するホイールにどうやって配線する!? デコトラ乗りが大好...の画像はこちら >>



そもそもホイールマーカーとは、映画『トラック野郎』の時代から存在していた文化で、主演車両の「一番星号」にも取り付けられていた時期がある。その頃は現在と異なり、接点に触れたときだけランプが光っていたという説もあるが、多くのデコトラ乗りたちはその仕組みがわからず大いに悩んだという。そのため、実現していた車両は少なく、またショートなどのトラブルも多発していたという。



それもそのはず、自動車の車体にはボディアース、つまりマイナス電源が常に流れている。ランプを光らせるためには当然のごとくプラス電源が必要になるのだが、そのマイナスとプラスが触れてしまうことでショートしたり、最悪の場合は車両火災を引き起こしてしまう。



ホイールが回転する以上、普通の配線方法でホイールマーカーを光らせることはできない。それゆえに、昭和のデコトラ野郎たちにはあまりたどり着けない領域だったのである。



平成に入るとホイールマーカーのキットが発売

平成の時代に入ると状況は一変する。デコトラパーツを扱うショップから、ホイールマーカーのキットが発売されたのだ。これによりホイールマーカーの仕組みが知れ渡り、装着する愛好家たちが急増。令和の時代でも爆発的な人気を集めているのである。



それでは、そんなホイールマーカーの構造について説明しよう。



まずは、ホイールの裏リム部分に、プラス電源を流すためのステンレス板を巻きつける。ホイール自体にはマイナス電源が流れているため、分厚い両面テープやコーキングなどを使用して、しっかりと絶縁させることが重要だ。



そして、ホイールに取り付けたマーカーランプのプラス線をステンレス板に固定し、車体側のホイールに近い部分にまでプラス電源を引っ張り、先端に金属製のブラシを取り付ける。そのブラシと裏リムのステンレス板を接触させることでステンレス板にプラス電源が流れ、ホイールに取り付けたマーカーランプを光らせているのだ。



回転するホイールにどうやって配線する!? デコトラ乗りが大好きな「光るホイール」の謎
トラックのホイールマーカー



そのブラシはホイールが回転するたびに磨耗して行くため、通電しなくなれば交換する必要がある。たとえホイールマーカーを光らせなくてもブラシは磨耗するため、ホイールマーカーは昼間でも点灯させるスタイルが一般的となっている。



手間暇がかかるアイテムであるのだが、放つ効果が大きいため、デコトラ愛好家たちが好んで取り付けているホイールマーカー。

次にホイールマーカーを装着したデコトラと遭遇した際には、回転しながら光るホイールマーカーの美しさを、心ゆくまで堪能してほしい。

編集部おすすめ