この記事をまとめると
■WRCでは2022年にレギュレーションに変更が入った■最上位カテゴリーで走るモデルはRally1規定となっている
■過去に何度も車両規定が変わっているので、今後も変わる可能性が高い
なぜいまはRally1車両となったのか
ラリー競技の最高峰シリーズ、WRCでは2022年にレギュレーションが変更されて以来、各ワークスチームはハイブリッドシステムを持つRally1を投入。最新モデルを武器に激しいバトルが展開されているのだが、じつはこのRally1にはレーシングカーの定番アイテムとなっているパドルシフトが装着されていない。
加えて、WRカーで装着されていたアクティブセンターデフが禁止されるなど、Rally1はハイブリッドブーストによる強烈な加速を持ちながらも、かなり簡素化されたマシンとなっているのだが、その理由は開発コストの削減にある。
アクティブセンターデフの禁止に加えてハイブリッドシステムがリヤに搭載されていることから、Rally1のデビューイヤーとなった2022年、各チームのドライバーはアンダーステアに苦戦していたが、2023年は足まわりや前後バランス、前後の機械式デフのセッティングを煮詰めることで対応。
WRカーを凌駕するスピードを披露している。
レギュレーション変更により、さまざまなデバイスが禁止されたRally1車両だが、車両規定は時代に応じて変更されているだけに、またアクティブセンターデフやパドルシフトが復活する日がくるかもしれない。
思い起こせば1997年にスタートしたWRカーも、2011年の規定変更に合わせて、最低全長の短縮化によるベース車両のBセグメント化や、エンジン排気量を2000ccから1600ccに変更したGRE(グローバル・レース・エンジン)の採用が実施されていたのだが、このときも開発コストの削減およびスピードを抑制すべく、アクティブセンターデフが禁止されたほか、トランスミッションも電子制御式のセミATからシーケンシャルに変更されていた。
しかし、FIAおよびWRCプロモーターは、WRカーの迫力およびスピードアップを図るべく、2015年にパドルシフトの採用が解禁されたほか、2017年の規定変更に合わせてアクティブセンターデフが解禁されるなど、さまざまなデバイスが復活。
このようにレギュレーションは、時代に応じて「規制」と「緩和」が繰り返されている。アクティブセンターデフやパドルシフトなどは市販車両にも採用されている技術なだけに、近い将来、またこれらのデバイスが解禁される日がくるかもしれない。

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