この記事をまとめると
■クルマに対して甚大な被害を与える自然災害を紹介



■水害によって水没したクルマを直すには時間と手間が掛かるほか、廃車になる場合もある



■鳥のフンは放置するとボディを痛める可能性があるので早めの除去が有効だ



愛車を傷める自然災害とその対策

甚大な被害が発生し、そしていまだ人々の暮らしに甚大な影響を与え続けている令和6年能登半島地震は、安易にコメントなどできようがないほど痛ましい出来事であったし、いまもあり続けている。



とはいえ私たち自身も、いつ何どき自然災害の被害に遭うかはわかったものでなく、また少なくともドライバーとして、さまざまな自然の脅威にさらされる危険性を常に秘めている。



大雨に塩に鳥フンまで! クルマを襲う「自然災害」の恐怖から愛...の画像はこちら >>



たとえば「水害」だ。

台風などに伴う大雨により道路が冠水し、ちょうど外出中だった自車が水没あるいは冠水してしまう可能性は大いにあるだろう。「大雨の日はクルマなんか乗らず、家にいればいいじゃん!」という意見もあるだろう。



しかし、どうしてもクルマで外出しなければならない事情というのはたまにあったりするもので、そもそも自宅駐車場に置いていても、水没するときは水没する。



大雨に塩に鳥フンまで! クルマを襲う「自然災害」の恐怖から愛車を守る方法とは?
水没したクルマ



クルマが水没ないし冠水すると、まずは部品類が劣化する。道路にまであふれ出た水には多くの不純物が含まれているため、マフラーやドア、フロアなどに使われている部品をサビさせ劣化させる。隙間まで入り込んだ不純物は完璧に取り除くのが難しいため、結局は部品交換となってしまう可能性も高い。



クルマが冠水被害に遭うと、水分や塩分、泥などによって電気回路がやられてしまうため、電源を入れることによって火災が発生してしまうこともある。そうでなくても、電装品関係は故障してしまっていると思ったほうがいいだろう。



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冠水被害を受けたクルマ



車両火災や電装品の故障が仮に起きなかったとしても、車内に侵入した雑菌まみれの水が車内で乾くと、雑菌が繁殖して悪臭を発生させる。また、カーペットやシートなどにカビも繁殖することだろう。こうなってしまうと「掃除」程度では悪臭やカビを除去できないため、内装部品の全交換も視野に入れなければならなくなる。



こうしたドツボにハマらないためには、「冠水した道路に入らない」「『浅そうだからイケるかも?』などとナメた見方をしない」ということに加え、天気予報をこまめに確認し、なおかつハザードマップなどで「冠水しやすい場所」を把握しておくことが重要となるだろう。



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冠水した道路を走る軽自動車



それでも残念なことに水害被害に遭い、エンジンまで浸かるなどで修理不能となった場合や、修理代が保険金額を超えた場合は「全損」となり、もしも車両保険に入っていれば、保険が適用される。ただし「地震が原因となる津波による水没」は、残念ながら車両保険の補償対象外だ。



水害以外にも愛車を傷める原因はたくさん

もうひとつ考えられるものとして「塩害」というのもあるだろう。海辺へひんぱんに行くサーファーや釣り人のクルマは、潮風にさらされ、海水まじりの水たまりの上を走ることなどにより、サビが発生しやすい。また、雪道や冬の北国の高速道路を走ることが多いクルマも、塩化ナトリウムなどを主成分とする融雪剤が車体に付着することで、サビが発生しやすい状態となる。



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塩害で錆びたクルマのボディ



これへの対策は「こまめに洗車すること」となるわけだが、新しめのクルマのボディには電着塗装でサビ止めが施されており、表面塗膜も厚いため、そう簡単にサビるものではない。



しかし「下まわり」は黒色の塗料(シャーシブラック)が塗られている程度であるため、「塩害に強い」とまではいえない。そのため、海辺や冬場の北国へひんぱんに行くドライバーは、定期的にクルマの下まわりをしっかり洗うとともに、工場などにて下まわりを保護する特殊塗装を行うことも検討すべきだろう。



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クルマの下まわりを洗車する様子



そして、さらに考えられるのが「雹害(ひょうがい)」だろうか。



雹とは「直径5mm以上の氷の粒が降ってくる」という自然現象だが、大きなもので直径50mm程度、つまりゴルフボール大の粒になることもある。そんな雹がクルマに当たってしまえば、ボコボコに傷やへこみができてしまうことはいうまでもない。



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大きめの雹



しかし、車両保険に加入しているなら雹害は保険で補償される。

雹やあられなどの自然災害による被害でも、車両保険を使うと翌年度は1等級ダウンし、事故有係数適用期間も1年加算される。そのため、車両保険を使うべきかどうかはケース・バイ・ケース。つまり、「被害の度合いによる」ともいえるが、基本的には保険を使ってサッと直してしまったほうが、その後は気分よく生きることができるだろう。



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雹害に遭ったクルマのボンネット



また、そもそも雹害に遭わないためには、「雹やあられが降ってきたら、屋根がある場所に愛車を避難させる」「厚手のカーカバーや毛布などで衝撃を和らげる」といった方策を取るしかない。



そして最後は「フン害」だろうか。気がついたら“鳥さんの落とし物”が愛車のボンネットやウインドウにこびりついていた……というアレである。



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鳥のフンがクルマのボディに付着した様子



愛車に鳥のフンが付いていると見た目的に難があるだけでなく、そのままにしておくと、フンに含まれている水分が蒸発して固くなり、除去が難しくなる。また、鳥のフンは酸性やアルカリ性のものもあり、付着してから時間がたつと塗装を傷め、シミになってしまうこともある。



フン害の発生を確認したら、フンがまだ柔らかい状態であれば、ウエットティッシュや濡らしたティッシュで拭き取る。水分が蒸発して固くなってしまっている場合は、ゴシゴシこするとボディに傷がついてしまう可能性があるため、水をたっぷりかけるか、濡らしたタオルなどで鳥のフンを十分に柔らかくしてから除去するようにする。



フロントガラスに鳥のフンがついた場合は、ワイパーで落とそうとすると汚れが広がってってしまうだけでなく、ワイパーブレードやウインドウを痛めてしまう恐れもある。そのため、窓ガラスに鳥のフンがついたときもボディと同様、水で濡らして柔らかくなってから、タオルなどで拭き取るようにしよう。



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フロントウィンドウに付着した大量の鳥のフン



そもそもフン害に遭わないようにするためには「鳥がよくとまる樹木や電線の下には愛車を停めない」という方策がしばしばいわれるが、これはあまり現実的ではないだろう。常にそう都合の良い駐車ポイントを選べるとは限らないからである。



「カーカバーをかける」という手段もあるが、自宅駐車場はさておき、出先でいちいちカーカバーを使うのも現実的ではない。



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ボディーカバーをかけたクルマ



となると、取れる手段は「ボディコーティングを施し、フンを除去しやすくしておく」ということと、「見つけたらなる早で除去する」ということぐらいになるだろうか。



ちなみに英国のカー用品メーカー「Halfords」が行った調査によれば、「もっともフン害に遭いやすいボディカラーは赤」であるらしい。この調査がどのぐらい科学的に行われたものなのか、筆者は知らない。だが、筆者は最近「イグニッションレッド」というボディカラーのクルマに買い替えたところ、以前ガンメタ系のクルマに乗っていた頃よりも明らかにフン害に遭う頻度が高まってしまった……ような気がしている。



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赤いスバル・レヴォーグ(2代目)



科学的な見地からではなく印象だけに基づく意見ではあるが、「赤いクルマは買わないようにする」というのも、もしかしたらけっこう有効な“フン害回避策”なのかもしれない……。

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