この記事をまとめると
■トラックドライバーは長時間の運転を強いられることも多い



■それがゆえに腰痛に悩まされるトラックドライバーも少なくない



■トラックドライバーが実践している腰痛対策を解説



腰痛はトラックドライバーの職業病

とある自動車教習所ではいい運転姿勢を保つ基準のひとつとして「シートの背に半紙をはさみ、それがしわくちゃにならないように保てる姿勢」であると説明している。JAFのホームページでも「適切な運転姿勢(シートポジション)」として、



・前方死角が最小限となるシートの高さ
・ブレーキングに最適なシートの前後位置
・ハンドリングに最適な背もたれ角度



……などといったものを正しく調整し、シートに深く座ることを推奨している。要するに、自動車を運転するときには正しい姿勢(背筋を伸ばした状態)が取れるようにシートを調整し、それを維持することが安全運転につながるわけだ。



スポーツ走行をする場合にレカロなどのスポーツシートを好むドライバーが多いが、これはスポーツ走行で激しく揺さぶられるドライバーの身体を、シートがしっかりとホールドすることで、最適な運転姿勢を保たせることができるからである。



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このように、自動車を運転するときには適切な運転姿勢をとり、いかにしてそれを保つかということが重要視されているのだ。



ところが、人間の体は同じ姿勢を長く維持するようにはできていない。一説によると、同じ姿勢が可能なのは30分程度といわれており、デスクワークなどをしていても10~15分程度で、無意識のうちに腰を伸ばしたり座る角度を変えたりして、自然に体を動かしているのだそうだ。無理に同じ姿勢を続けていると、エコノミークラス症候群などいった命にかかわる疾患につながりかねない危険が生じることもあるのだ。



実際に、プロドライバーは長時間運転をすることで、職業病ともいえる症状を訴える人が少なくない。その最たるものが腰痛といえよう。とくにトラックドライバーは長時間の運転だけではなく、荷物の積み下ろしもあるために、腰を痛める割合が高いといわれている。



腰痛持ちも多数いる長距離トラックドライバー! プロが実践している「悪化させない」対策方法とは?
トラックドライバーが実践している腰痛対策とは



そこで、そういった状況を少しでも緩和するべく、彼らはさまざまな工夫をしているのだ。



木製ビーズのクッションを使っている人が多い

そもそも、腰痛は長時間同じ姿勢をすることによって生じる血行障害が要因のひとつとして挙げられよう。ゆえに、そのような負担を軽減する、冒頭の「正しい運転姿勢(シートポジションの調整)」が大切になってくるわけだが、その姿勢を長時間保持し続けるのは難しいという問題がある。



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トラックの運転



そこで、多くのトラックドライバーは血行不良を防ぐために、こまめに水分補給をするなどといったことを心がけている。



さらに、休息の際には運転席から降りてストレッチをし、腰を伸ばして体を動かすといったことも行っているのだ。悪天候などで車外に出られないときは、背もたれを倒してシートを下げ、伸びができるような体制を作り出し、体を伸ばすようにしている人も多い。



運動器具を設置した広場を持つSAやPAもあるので、それらを積極的に活用しているドライバーもいる。こういった設備は、街なかの公園でもよく見かけるようになった。トラックは専用駐車場が必要だが、乗用車なら近くのパーキングに停められるので、さらに利用しやすいといえるのではないだろうか。



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トラックドライバーが実践している腰痛対策とは



また、グッズを使用して腰の負担を軽減するというアイディアもある。昔から使われていて、比較的ポピュラーなのは木製ビーズのクッションだろう。丸い木製の玉(ビーズ)が「ツボ押し」のような役割を持ち、腰などに心地よい刺激を与えてくれる。



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クッションのイメージ



現在は、低反発タイプの小型クッション(ランバーサポートクッション)が増えており、背もたれと背中の間に設置することで腰の負担を軽減する効果を持つ。



また、着用するだけで効果が期待できるインナーウェアも登場した。いわゆる、リカバリーウェアと呼ばれるものだ。温熱効果があって体を温め、血行を促進すると同時に疲労回復にもつながるという。

不幸にして腰痛を発症した際には、腰痛ベルトを使うトラックドライバーも多い。これは、腰を締めるように巻く腹巻のようなベルトだ。背中部分に支えとなる芯が入っており、腰をかばうので腰痛が緩和される。



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インナーウェアのイメージ



ただ、発症していない段階で予防的に使用すると、本来腰を支えるべき筋肉などが弱ることがあるので注意が必要だ。



このように、トラックドライバーはさまざまな方法を取り入れて、自衛的に長時間運転の負担軽減を図っている。こういったアイディアは現場から生まれてきたものだから、一般ドライバーも参考にすることができるのではないだろうか。

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