この記事をまとめると
■2024年5月に「2024バステクフォーラム」が開催された■BEVバスにおいては中国系メーカーのバス出展が多かった
■現状では日本のBEVバスは海外メーカーが主導権を握っている
今年もバステクが大盛り上がり
2024年5月17日(金)に、大阪府吹田市にある万博記念公園お祭り広場にて、ぽると出版主催、公益社団法人 日本バス協会、近畿バス団体協議会協賛、国土交通省近畿運輸局後援による、「2024バステクフォーラム(以下:バステクフォーラム)」が開催された。
バス完成車メーカーや、バス関係用品メーカーなどが集まり、展示ブースや試乗コーナーが用意された、バスの最新技術が集結する体験型イベントとなるのがバステクフォーラムであるが、業界関係者の情報交換の場ともなっている。昨年までは大阪市内舞洲スポーツアイランドで開催されていたが、今回は大阪・関西万博開催の関係で会場を万博記念公園に移して開催された。
ここのところは「運転体験試乗・客席試乗」の人気が高まっている。前回、つまり2023年開催までは唯一ICE(内燃機関)を搭載する韓国ヒョンデの大型貸切バス「ユニバース」がエントリーしていたが、今年はついに中華系BEV(バッテリー電気自動車)バスのみのエントリーとなった。
このほか、展示のみという形で複数のバス車両が展示されていたのだが、そのなかでもっとも注目を浴びていたのがBEV路線バスとなる「ヒョンデ・エレクシティタウン」であった。右ハンドル仕様ではあったものの、日本国内最終市販モデルではなく、「プロトタイプ」とも呼べる仕様の参考展示だ。
じつは日本だけではなく、東南アジアではタイやインドネシア、そしてオセアニアやインドなどなど、世界には意外なほど「左側通行・右ハンドル」の国が多くあり、今後このような右ハンドルの国々に向けたグローバル戦略を進めるなかで、日本市場での評価をより重視して進めていくとの話も聞いている。政治レベルでは日中関係は冷え切っており、日本の同盟国であるアメリカと中国の対立も目立っている。
国内のBEVバスは海外メーカー主導!
日本の街なかでも多く見かけるようになった中国メーカーのBEVバスであるが、政治リスクや経済安全保障という面が「アキレス腱」にもなっている。その一方で、日本やアメリカとの同盟国である韓国については、中国ほど際立った政治リスクというものは存在していない。日本国内での正式発売はまだこれからだが、価格設定のイメージとしては、「中国メーカー車以上日本メーカー車以下」といった立ち位置となるようだ。今回展示したバスは全長9m車となるが(日本国内の大型路線バスよりは短い)、ヒョンデとしては10m級の日本での一般的な大型路線バスクラスも日本で販売することを視野に入れているようである。
BYD(比亜迪)をはじめとした中国系BEV路線バスの導入が目立つなか、韓国メーカーも日本市場への参入を進めようとしている。
メーカー以外でも事業者展示では阪急バスが自社保有のEVモーターズジャパンの大型BEV路線バスF8シリーズ2、プリンセスラインがBYDの大型路線電気バスK9と、ともに中国メーカーのBEV路線バスを展示していた。
また、用品展示コーナーでは、オランダのメーカーでバスのほか公共交通機関のドアを手がける「ベンチュラ・システムズ」が初出展するなど、国際色もだいぶ豊かなイベントとなってきている。
中国だけではなく、今回は韓国も加えた最新BEVバスを実際に見て触ることができた。しかし、筆者としては、このバステクフォーラムにてぜひ日系バスメーカーのBEVバスの客席試乗したい。それができる日がくる日はいつになるのか楽しみに待っている。

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