この記事をまとめると
■初心者マークは該当者は表示していないと違反となる



■道交法で初心者マークの大きさや掲示場所が定められている



■バイクなどには掲示義務がないほかペーパードライバーがつけていても問題ない



とりあえず貼ってあればいい?

ベテランドライバーの場合は「フッ、そんな昔のことは忘れたよ……」とバーカウンターで大きな氷が浮いた琥珀色の液体を舐めながらいう人もいるかもしれませんが、誰もが必ず通るのが初心者期間です。



確かに数十年も経っていたら細かくは覚えていないかもしれませんが、交差点の右折のときや踏切を越えるとき、そして高速道路の合流などでアタフタしたことは思い出せるでしょう。



時代によっては背伸びして虚勢を張るのが「男の矜持」なんてことで「初心者マークは格好悪い」と、付けずに走っていた人たちもいたと思います。

しかし、初心者マークは法令で装着が義務となっているものなので、その期間中に義務に違反すると罰則の対象となります。



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そんな初心者マーク、多くの場合はカー用品店や通販で既成品を購入して使っていると思いますが、いろいろ見てみるとサイズが違っていたり、デコレーションされていたりする商品も見つかります。



ここではそんな初心者マークにサイズや素材などの規定があるのかどうかについて掘り下げてみましょう。



■初心者マークとは?

一般に「初心者マーク」と呼ばれているものは、正式には「初心運転者標識」といいます。



交通のいろいろなルールを定めている道路交通法、通称「道交法」では、自動車運転免許を取得してから一年間を初心運転期間と定め、ほかのドライバーに初心者であることを告知させるための方法として「初心者マーク」の装着を義務づけています。



ミニタイプやデコったものも売ってるけどOK? 初心者マークの「サイズ」や「色」に決まりはあるのか?
初心者マークを貼ろうとしている様子



この規定に逆らって初心者マークの装着を行なっていない場合は道路交通法71条の5第2項(初心運転者標識等の表示義務)の違反となり、反則金の支払いと運転免許の違反点数が引かれます。



初心者期間は違反点数の累積が3点以上になった場合に「初心運転者講習」を受けないと免許の継続ができなくなってしまうので、逆らったことへの報いはけっこう大きな痛手となるでしょう。



■初心者マークにはきっちりとした規定がある

結論から先にいってしまうと、初心者マークには法令で定められた規定があります。



市販の製品には、基本のマグネットタイプから窓部に装着する吸盤タイプなどいくつかの種類がありますが、その形状と色の配置はきっちりと法令で定められています。



形状は縦に伸ばしたハート型のような形で、大きさは縦18.5cm×横11.6cm。配色は外側から白縁、黒線で囲まれ、真ん中から左が黄色、右が緑色という規定になっています。



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自動車用初心者マーク



また、規定にはありませんが、色味についても決められているようです。余談ですが、配色を左右反転するとなんだか違和感があります。見慣れているせいなのか、あるいはこの配置が落ち着く何かが本能にインプットされているのでしょうか?



意外に見逃していたのは、ベースに反射材を使用して夜間の視認性にも配慮している点です。

市販の製品にはこの要件を満たしていなさそうなモノもあるので、購入するときには「道路交通法基準適合品」などの表示があるものを購入するようにすれば間違いがないでしょう。



ペーパードライバーが貼っていても問題なし

■装着場所にも決まりがある

サイズや色、形状についてはきっちり決められていることがわかりました。では装着する場所についてはどうでしょう?



この「初心運転者標識」の目的上、周囲への認知をしっかり行なうため、装着場所についても決まりがあります。



まず、基本的なルールとして「車体の前面と後面の両方に、地上0.4m以上1.2m以下の見やすい位置」とあります。ミニバンなどの背の高い車両では、1.2mより上の位置への装着は「初心運転者表示義務違反」に該当します。



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ボンネットに貼られた初心者マーク



ここで注意して欲しいのは、この表示規定の前に、フロントガラスの決められた位置以外の場所に視界を妨げるものの装着はできないという決まりがありますので、フロントガラスへの装着はできないという点です。



レンタカーなどに初心者マークを装着するとき、手軽にできることから助手席の前辺りに装着してしまうケースもあると思いますが、もし警察車両に停止させられた際などに指摘されると、違反を適用されてしまうこともあるので注意してください。



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フロントウインドウ下に貼られた初心者マーク



■サイズ違いやデコレーションタイプだと違反になる?

以上のように、初心者マークにはサイズや色、形状、そして装着の場所についてきっちり決められた規定があり、それに違反すると、たとえ表示をしていても「初心運転者表示義務違反」となって罰則の対象になってしまいます。



とはいえ、わずかなサイズや色味の違いなどは走行中に判別しづらい部分でもあるでしょうし、いちおう表示の意志はあり、悪意でおこなっているわけではないであろうことから、そのためだけに検挙されるというケースはほぼないと思っていいと思います。



なかには、極端にサイズの小さいものもありますが、あれはオートバイ用として売られているものが多いようです。ちなみに道交法の「初心運転者標識」の項目には「準中型、普通免許を受けて1年を経過していない初心運転者がその免許に係る自動車を運転するときは、 そのクルマの前と後ろの定められた位置に初心運転者標識をつけなければなりません」と記されていて、オートバイはそこに該当しないので、原付も含めて表示の義務はありません。



ミニタイプやデコったものも売ってるけどOK? 初心者マークの「サイズ」や「色」に決まりはあるのか?
街なかを走る原付



また、初心者マークを装着している人のなかには「ペーパードライバーで不安だから」という理由で装着しているケースもあるようです。これは法律上の問題はありませんし、義務ではありませんのでサイズや表示方法が法規に則っていなくても違反になりません。



こういうケースもあるので、何かの際にクルマを止めて免許を確認して初心者と判明しない限りは、多少表示に不備があってもそのことだけでいちいち停車を求めることはないようです。



ミニタイプやデコったものも売ってるけどOK? 初心者マークの「サイズ」や「色」に決まりはあるのか?
クルマのリヤ部分に貼られた初心者マーク



このように、初心者マークにはしっかりとした決まりが設けられていますが、それはあくまでも初心運転者の保護が目的のものです。なので、「面倒だから」とか「これでいいや」とかの理由で規定に違反するのは自分にも周囲にもいいことはありません。なんだかんだで1年は使うものなので、どうせ購入するなら適合品を選ぶようにしましょう。

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