この記事をまとめると
■フォグランプにはフロントを照らすものとバックフォグという後ろに向けて光るものがある



■フォグランプは装着する場所がルールで定められている



■フォグランプは視界が悪い状況でヘッドライトの補助機能として使うべきだ



バックフォグの明るさが問題視されているけどフロントは大丈夫?

すべてのクルマに標準装備されているわけではないが、欧州車やクロスオーバーSUVには「バックフォグランプ」と呼ばれる灯火アイテムを備えているモデルが多い。バックフォグを直訳すると「後ろ・霧・灯」となり、バックフォグと省略されることもあるパーツだ。



機能的には濃霧で「視界が悪い」際に点灯することで後続車に自車の存在をアピールするというもの。

追突事故を防ぐ安全装備ではあるが、霧のなかで目立つような明かりとして設計されているため、霧のない環境で点灯するとただただ眩しいばかりで、後続車の迷惑になってしまう。そのため、バックフォグの装備が充実しているブランドは非難の的になりやすい。



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では、もっと多くのクルマに備わっているフロント側のフォグランプについてはどうなのだろうか。フォグランプを霧でもない夜間に使うことは迷惑なのだろうか。



結論からいえばバックフォグのように眩しさを感じさせることは少ないだろう。



公道を走るクルマが守るべき車両ルールである保安基準ではフォグランプのことを「前部霧灯」と呼んでいるが、その基準として『他の交通を妨げないものであること』や『白色または淡黄色であり、同一であること』、さらに『同時に3灯以上点灯しないこと』、『点滅するものでないこと』が求められている。



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黄色いフォグランプが点灯している様子



さらに、『ヘッドライト(ロービーム)の水平面以下に取り付けること』が定められ、四輪乗用車の場合は、フォグランプの上縁が地上800mm以下、下縁が地上250mm以上になるという条件もある。



フォグランプはヘッドライトの補助機能として使うべき機能

そもそも多くのフォグランプにおいて、「近くを広く照らす」ように設計されているため、フォグランプを点灯しているからといって対向車のドライバーが眩しいと感じることは少ないといえるのだ。



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霧のなかを走る日産エクストレイル(3代目)



もちろん、保安基準を満たさないような取り付け方などをされている場合は、フォグランプの点灯は周囲の迷惑になるかもしれないが、それは保安基準を満たしていない(=公道走行不可)の状態であって、フォグランプ点灯の是非とは違うフェイズの話だ。



また、前述したようにフォグランプは手前を照らす配光となっているため、それだけで走るのは危険極まりない。ヘッドライトを点けずにフォグランプだけで夜間走行するのは絶対にNGである。あくまでもヘッドライトのアシスト的ランプといえる。



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フロントのフォグランプが点灯している様子



まとめれば、フォグランプというのは霧のような視界が悪い状況でヘッドライトの補助機能として使うべき機能といえる。正しく装着されていれば対向車が眩しいと感じることは考えづらいため、「ヘッドライトだけでは暗くて不安」と感じるようなシチュエーションであれば点灯することは問題ないといえるし、むしろ積極的に使うべきだろう。



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街灯のない山道の様子



なお、最近増えているアダプティブヘッドライトと呼ばれる機能は、対向車や歩行者をセンサーで検知して、それらを避けるようにして、遠くまで広く照らすような配光を実現してくれる。こうした機能は積極的に活用することで夜間ドライブの安全性を高めたい。



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ホンダの「アダプティブドライビングビーム」の作動イメージ図



余談だが、最近のフォグランプはLEDタイプが増えている。霧対策としてのフォグランプであればそれでも問題ないが、雪道においてはLEDフォグランプの表面に雪が付着してしまい十分に照らせないという事象が発生しているという話も聞く。



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雪が舞い散るなかを走行するクルマの様子



ヘッドライトは省電力なLEDとしつつ、フォグランプはあえて電球タイプとすることで、熱によって雪を溶かす効果を狙うという選択も、実用的にはアリといえるかもしれない。LEDで揃えたときの統一感も魅力だが、フォグランプ選びの際には雪の付着対策という視点も含めて検討するといいかもしれない。

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