この記事をまとめると
■ハイドロプレーニング現象という単語を教習所で聞くことが多い



■タイヤと路面の間に水の膜ができてタイヤが浮いてしまう状態をハイドロプレーニング現象と呼ぶ



■発生したらブレーキやステアリングを操作せずに収まるのを大人しく待つのが正しい



「ハイドロプレーニング現象」とは

ほとんどのドライバーは、自動車学校や教習所で「ハイドロプレーニング現象」という言葉を学んだはずだが、どうしてハイドロプレーニング現象が起きてしまうのかを把握しているだろうか。



あらためて整理すると、ハイドロプレーニング現象(アクアプレーニング現象ともいう)は、タイヤと路面の間に水の膜ができてしまう状態をいう。非常に薄い水膜だが、物理的にタイヤは路面とまったく接地しておらず、まるで水の上に浮いているようになっている。



タイヤが水に浮いて「アクセルもハンドルもブレーキも」全部反応...の画像はこちら >>



つまり、ハンドルやブレーキ操作をしてもクルマの挙動は変わらない。クルマが制御不能になってしまうのがハイドロプレーニング現象の恐ろしいところだ。



ハイドロプレーニング現象が起きてしまうシチュエーションはさまざまだが、前述したように水膜が原因であるから、基本的に路面が濡れていない限りは起きない。そして、タイヤのトレッド面に備わっている溝は基本的に水を排出するためにあるといえる。



タイヤが水に浮いて「アクセルもハンドルもブレーキも」全部反応しない! 恐怖のハイドロプレーニング現象が起きたら「何も操作しない」が唯一の正解だった
タイヤのトレッド面



つまり、十分にタイヤの溝が残っており、なおかつタイヤが想定している速度域であれば、よほど水浸しの道路でもないかぎり、ハイドロプレーニング現象が起きることは考えづらい。



逆にいえば、タイヤの溝が減って浅くなっている状態で、高速で走っているとハイドロプレーニング現象は起きやすいといえる。とくに、高速道路でハイドロプレーニング現象に気を付けるようなイメージをもっているドライバーも多いだろうが、タイヤ溝(深さ)と速度という条件によってタイヤの排水能力を超えてしまいやすいのだから、高速走行になるほどリスクが高まるのも当然だ。



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大雨が降っている道路を通行するクルマの様子



もし起こってしまったら……?

なによりハイドロプレーニング現象が怖いのは、路面の間に水膜ができてしまったときには、ドライバーは何も対応できないことだ。前述したように、ハンドルもブレーキも利かないのだ。自然に速度が落ちて、タイヤの排水能力が勝った状態になって水膜を排除、タイヤの接地を回復するまで待つしかない。



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ハイドロプレーニング現象が起きたらどうすればいい?



ここで注意すべきは、ハイドロプレーニング現象が起きているときは、ハンドルやブレーキの操作をしないことだ。ハンドルを切った状態で滑っていると、グリップが回復したとき急にハンドルが利いてスピンしてしまうこともある。

ブレーキを踏んでいると、タイヤが接地した瞬間に強い制動力が発生してしまい、ここでもアンコントロール状態になってしまうことが考えられるからだ。



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ハンドル操作をしている様子



ハイドロプレーニング現象が起きてしまったと感じたときは、とにかく何もせずにタイヤが接地する速度に落ちるまで、冷静に待っているしか対応策はないといえる。



では、ハイドロプレーニング現象に陥らないためにできることはあるのだろうか。



当たり前の話だが、考え得る原因を解消すれば、ハイドロプレーニング現象は起きづらくなる。前述したように、タイヤの排水性能を超えなければいい。つまり、ドライビングでいえば速度を抑えることが唯一の対策となる。また、タイヤの溝が浅くなっていたり、空気圧が適正でなかったりすると、タイヤの排水能力は落ちてしまう。タイヤのメンテナンスをしっかり行うことも対策となるわけだ。



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タイヤの空気圧チェックをしている様子



最近では、気候変動の影響か、短時間に多くの雨が降ることも増えている。降雨量が道路の排水能力を超えてしまうことも珍しくない。単純に雨量が多いからハイドロプレーニング現象が起きやすいとはいえない部分もあるが、本能的に「危ない」と感じたときには速度を抑えるなどして、ハイドロプレーニング現象に陥らないよう注意したいものだ。

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