この記事をまとめると
■日本の新車市場では売り上げで軽自動車が5ナンバーの小型車を抑えている■軽より安いコンパクトカーは意外に少ない
■ただしコンパクトカーは5人以上乗れる上に燃費も有利
日本のコンパクトカーは軽自動車に押され気味
クルマ好きな方なら、いまさらいわれなくとも「日本では軽自動車が売れている」ことはご存じだろうが、まずは数字で確認してみよう。
乗用車カテゴリーに限った、2023年の新車販売台数は以下のようになっている。
軽自動車:134万1330台
小型車(5ナンバー):89万3228台
普通車(3ナンバー):175万8169台
乗用車としてもっとも売れているのが3ナンバーであるのは、いわゆる5ナンバーの選択肢が減っている故だろう。
それにしても、軽自動車に対する小型車の比率が7割を切っているのは、あらためてみると衝撃的だ。小さなクルマを求めるユーザーにとって、軽自動車を選ぶことは当たり前といえる状況になっている。
それは軽自動車の出来映えと昨今の車両価格上昇トレンドを鑑みれば当然かもしれない。
ホンダN-BOXやスズキ・スペーシアといった人気の軽スーパーハイトワゴンは、上級グレードでは200万円をラクに超える価格となっており、それを見て「こんなに出すならコンパクトカーが買える!」と反応するのは、SNS界隈ではおなじみだが、じつは200万円以下で売られているコンパクトカーは、それほど多くない。

ハイブリッド専用モデルとなっている日産ノートのスターティングプライスは約230万円であるし、コンパクト系ハイブリッドの代名詞といえるトヨタ・アクアにしても、エントリーグレードの価格は約215万円となっている。

たしかに、スズキ・スイフトの最廉価グレードは約173万円であり、マツダのMAZDA2のガソリンエンジン車であれば約155万円の価格となっているが、軽自動車でもベーシックなセダンタイプは、100万~150万円の価格帯に収まる。
コンパクトカーは軽自動車にある「制約」がない!
やはりコンパクトカーより軽自動車のほうが手が届きやすい価格帯にあるといえる。
ただし、日本一売れているカテゴリーといえる、小さなボディと電動スライドドアの組み合わせを求めるユーザーについては、「コスパ重視」であればコンパクトカーまで視野を広げてもよさそうだ。
たとえば、ダイハツ「トール」は1リッターのNAエンジンとターボエンジンをラインアップするプチバンだが、その価格帯は約157万~210万円となっている。同じダイハツブランドの軽スーパーハイトワゴン「タント」の価格帯が約139万~199万円となっているので、ほぼ同じ予算感でワンクラス上で同カテゴリーのクルマに乗ることもできそうだ。

そうはいっても同等グレードで比べると、小型車であるトールのほうが絶対的には高い。参考までに、それぞれ最上級グレードの価格は、タントカスタムRS(ターボ)が187万円、トールカスタムGターボが205万6000円となっている。トールのラインアップで、タントカスタムRSと同価格帯となるのはGターボの187万4500円。タントのターボエンジン車でもっとも手頃なXターボの価格は165万円なので、やはり同じようなグレードで比べると軽自動車のほうが、かなり安いことがわかる。

軽自動車より安い小型車が存在することは事実だが、このようにユーザーのニーズや満足度を考えていったときに「軽より安い【同等の機能をもつ】コンパクトカー」を見つけるのは至難の業といえそうだ。
シンプルにいえば、軽自動車よりコンパクトカーはお高い。それでもコンパクトカーを選ぶメリットは大きくふたつある。
ひとつは乗車定員の問題だ。
軽自動車は最大4人乗りまでしか販売されていないが、小型車であれば5人乗りが多数派であるし、ミニバンタイプであれば7人乗りも選ぶことができる。多人数乗車がクルマ選びの条件であり、なおかつコスパのよさを重視するのであれば、コンパクトカーに行き着くことになるだろう。

もうひとつは、燃費性能を重視するときだ。
日産サクラや三菱eKクロスEVのような電気自動車を除くと、軽自動車にモーターだけで走れるほどの電動車はない。

小型車であれば、WLTCモード燃費で30km/Lを超えるモデルは少なくない。環境性能にプライオリティを置くのであれば、トヨタ・ヤリスやアクア、ホンダ・フィットなどのハイブリッドモデルを選びたくなるだろう。
ただし、これらコンパクト系ハイブリッドカーの価格帯は約205万~260万円といったものであり、軽自動車の予算にプラスαしないと手が届かないのも事実だ。