この記事をまとめると
■1970年代にスーパーカーで採用されたことでリトラクタブルヘッドライトは人気を博した



■国産メーカーのラインアップからリトラクタブルヘッドライト採用モデルを紹介



■スポーツカーだけでなくセダンやハッチバックにも採用されていた



スーパーカーの条件のようになっていたリトラクタブルヘッドライト

カッコイイクルマの条件のひとつに、「ノーズが長く尖っている」がある。これを邪魔しているのがヘッドライトだったりするわけで、だったらライトを必要としない昼間は、ヘッドライトを隠してしまえ、といって開発されたのが、「格納式前照灯」、いわゆるリトラクタブルヘッドライト。



そのルーツは古く、1930年代には登場していたといわれるが、本格的に脚光を浴びるようになったのは1960年代以降。

とくに1970年代に、ランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ512BB、フィアットX1/9、マセラティ・ボーラ、マセラティ・メラク、デ・トマソ・パンテーラなどのイタリアンスーパーカーがこぞって採用したことで、スーパーカー少年たちに「かっこいいクルマ=リトラクタブルヘッドライト」という図式が強力な刷り込み効果になってしまった。



「リトラ」というだけで偉かった時代があったのよ! 国産各社の...の画像はこちら >>



その方程式は、国産車のデザインにも影響を与え、リトラクタブルヘッドライトの名車・珍車を多数生み出している。その代表的な車種をざっと振り返ってみよう。



■トヨタ

まずはトヨタから。国産初のリトラクタブルヘッドライト採用車は、1967年に登場したトヨタ2000GT。あの歴史的名車の美しいフォルムもリトラクタブルヘッドライトあってこそ。



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トヨタ2000GTのフロントまわり



あとはAE86のトレノ。現役時代は固定式ライトのレビンのほうがやや人気があったが、土屋圭市、イニシャルD効果で、トレノ推しが増えた⁉ セリカXXやT160セリカも忘れられないリトラ車だ。



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トヨタ・セリカXXのフロントまわり



AW11とSW20のMR2も、リトラクタブルヘッドライト+ミッドシップで正しいスーパーカー路線。70スープラもいいクルマだったが、コンパクトカーのターセル、コルサ、カローラIIまでリトラにしたのはやりすぎだった感がある。



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トヨタ・カローラIIのフロントまわり



■日産

日産も意外にリトラ好き。もっとも印象深いのは180SX。これはデザイン的にも完成度が高い1台だった。



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日産180SXのフロントスタイリング



その180SXの祖先にあたるS12シルビア/ガゼールもリトラだった。

FJ20ターボを積んだFRスポーツで、シルエットフォーミュラでも、日産ターボ軍団の1台として活躍。



スポーツ路線では、Z31フェアレディZもリトラを採用。Z31は半眼タイプのリトラで個性的。また、個性でいえば、パルサーEXAも個性的。EXAは初代も2代目もリトラで、2代目はキャノピータイプとクーペタイプを選べたところが斬新だった。



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日産パルサーEXAの走行写真



リトラクタブルヘッドライトはスポーティイメージ付与に最適

■ホンダ

国産リトラの本流はホンダともいえる。それは日本車初の本格的スーパーカー、NSX(NA1)にリトラクタブルヘッドライトを採用したから。オールアルミの軽量ボディに3リッターVTECエンジンをミッドシップに搭載。ニュルブルクリンクで徹底的に走りこみ、当時、世界一のハンドリングと称された。その走りはフェラーリやマクラーレンF1にも影響を与えたほど。



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ホンダNSX(NA1)の走行写真



その性能に加えて、スーパーカーのアイコンともいえるリトラクタブルヘッドライトを採用したのは大きなポイント。



それだけではなく、ホンダは2代目プレリュードや、3代目アコード、アコードエアロデッキ、ビガーにもリトラを投入。FF車なのにリトラクタブルヘッドライトにすることで、異例に低いボンネットを実現。

見た目だけでなく、Cd値0.32と空気抵抗の低減にも貢献した。



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ホンダ・プレリュード(2代目)の走行写真



■マツダ

日本の自動車メーカーで、もっともリトラクタブルヘッドライトが好きなのはマツダだったかもしれない。



SA22C、FC3S、FD3SのRX-7シリーズをはじめ4ドアの3代目コスモにもリトラクタブルヘッドライトを採用。ファミリア アスティナとその兄弟車のユーノス100もリトラだったが、これはなんだか???



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マツダRX-7(FC3S)の走行写真



そしてユーノスロードスター。ユーノスロードスターの成功は、安価で誰が乗っても楽しい軽量オープンツーシーターというだけではなく、あのリトラによる愛嬌のあるデザインの効果も非常に大きい。



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マツダ・ユーノスロードスターの走行写真



そして現状、国産最後のリトラクタブルヘッドライトは、FD3Sであり、コンセプトカーとはいえ、アイコニック SPでリトラクタブルヘッドライトを復活させてきたのは、マツダならではのこだわりといえるだろう。



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マツダ・アイオニック SPのフロントまわり



■スバル

スバルでリトラクタブルヘッドライトを採用したのは1台だけ。1985年に登場した初代のアルシオーネだ。アルシオーネはスバルが作った初めてのスペシャリティカーで、これ以上わかりやすいウエッジシェイプはないというほどスタイリングにこだわったデザインに仕上がっている。このくさび型ボディに欠かせなかったのは、いうまでもなくリトラクタブルヘッドライト。



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スバル・アルシオーネ(初代)のフロントまわり



アルシオーネは、このボディを武器に、国産車で初めてCd値0.30を下まわる0.29を達成。マイナーチェンジでは、量販車世界初の電子制御アクティブトルクスプリット4WDも追加された。



■三菱

最後に三菱のGTO。「プアマンズフェラーリだ」「ディアマンテベースの似非スポーツカーだ」と散々悪口をいわれたGTOだが、4WDに4WS、アルミ製4ポット異径対向ピストンブレーキキャリパー(国産初)、ゲトラグ社製MT、アクティブエグゾーストシステム、可変リヤスポイラー&アクティブエアロシステムなど、ハイテク満載のパフォーマンスカーで、それなりに存在感はあった。



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三菱GTOのフロントまわり



NSXと同様にマイナーチェンジで、リトラクタブルヘッドライトから固定式ライトに変更された1台。

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