この記事をまとめると
■アメリカの「リンクスモータース」では名車をEVとして蘇らせるプロジェクトを進行中■「DMC-EV」はデロリアンDMC-12を現代的に再解釈したモデル
■「GT1e」はストックされていたフォードGTのシャシーとボディ金型を譲り受けたことで実現
往年の名車をEVとして復活させるリンクスモータース
アメリカのテキサス州オースティン近郊に、F1GP開催を直接の目的としたサーキットとして建設されたのが「サーキット・オブ・ジ・アメリカズ」だ。実際にここでは、2012年にF1GPが初開催され、それに伴って周辺にはレーシングカー、ロードカーを問わず、多くのファクトリーが本社を構えるようになった。ここで紹介するEVスタートアップの「リンクスモータース」もそのひとつだ。
そのリンクスモータースから、同社としては初の市販車となるニューモデルが発表されたのは、今年5月のことだった。それはいずれも往年の名車を現代に復活させると同時に、最新のEVパワートレインを搭載したもの。
まずは映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でお馴染みの、デロリアンDMC-12を現代的に再解釈した「DMC-EV」からその解説を始めることにしよう。
その基本的なシルエットやガルウイング式のドアなど、オリジナルのDMC-12から受け継いだコンセプトで再デザインされたボディは、もちろんステンレススチールによって成型されたもの。
だが、ヘッドライトやリヤのコンビネーションランプは、より視認性に優れたLED式に変化し、前後のバンパーも現代の安全基準を満たすためにリニューアルが施された。フロントスポイラーはより大きなダウンフォースと冷却効果を得るため、より過激な造形となっているのがわかる。
かつてのデロリアンDMC-12から大きくそのデザインが変更されたのはインテリアだ。LEDディスプレイを使用したフロントパネルは視認性に優れたデザインで、タッチスクリーンインターフェイスにより、ドライバーが望むさまざまな操作に対応する。
注目のパワートレインはスロベニアのエラフェ社製のインホイールモーターを4輪各々に搭載するもので、したがって駆動方式は4WD。また、バッテリー容量は70kWhと発表されており、現在の段階ではNACS(TESLA)の充電規格が適用され、満充電からの最大航続距離は約402km。0-96km/h加速は4秒未満という性能が発表されている。ちなみにこのDMC-EVは100台の限定車となり、その価格は24万9999ドルから。
当時のシャシーとボディ金型を使用するGT1e
このDMC-EVに前後して発表された「GT1e」は、こちらもそのスタイルから容易に想像できるとおり、初代フォードGTをオマージュしたハイパフォーマンスEVだ。
リンクス・モータースがこのGT1eの開発プロジェクトを立ち上げる直接の理由となったのは、スイスのジュネーブを拠点とするレーシングカー・コンストラクター、マテック・コンセプト社が、かつてFIA GT1とル・マン24時間レースのためにフォードGTのレースバージョンを開発。そのときに使用しストックされていたシャシーとボディの金型を、リンクスモータースが譲り受けることができたことにあった。
GT1eは2ドア・2シーターのハイパーカーだ。4輪に搭載されるエレクトリックモーターは各々600馬力、トータルで2400馬力の最高出力を発揮し、0-96km/h加速を1.5秒という驚異的な数字でこなすほか、最高速ではじつに496km/h以上を記録する実力を秘めている。
搭載されるバッテリーは、負極にシリコンナノワイヤーを使用したアンプリウス製の先進的なリチウムイオンタイプで、その容量は100kWh。最大航続距離は400kmというから実用性も十分に確保されていることがわかる。充電規格はもちろんNACS(TESLA)方式となる。
オンロードを走行可能な自動車として、世界最速のタイトルにこのGT1eでチャレンジするというリンクスモータース。その生産台数はシャシーのストック数に限りがあるため27台と計画されており、価格は250万ドルからの設定。
その走りを体験できるスーパーリッチは、はたしてこの日本からも名乗りをあげてくれるだろうか。

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