この記事をまとめると
■トラックの最新ライト事情について解説



■近年の大きな変化は光源がLED化したこと



■現在はADBの開発が進んでいる



LED化のメリットは大きい

車両の走行に欠かせない灯火類。暗い場所を照らして視界を確保するだけではなく、曲がる・止まる・バックするといった合図にも使用されている。なかでもヘッドライトは、そういった本来の目的だけではなく、車両正面に装着されていて「目」のように見えることから、車両のイメージを決める「顔」のデザインを担う重要なパーツだといっても過言ではない。



トラックの場合、ほとんどの車両の正面形状が四角平面になっているので、なおさらヘッドライトなど灯火類の配置やデザイン性が重要になってくる。また、トラックのなかにはデコレーションアートを行なっている車両もあって、これらは多数の補助ランプを使用したイルミネーションを配して、花火のような煌びやかさを楽しませてくれるのだ。



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こういった灯火類は、専門のメーカーが製造している。車両製造ラインに納品する純正品は、小糸製作所・市光工業・スタンレー電気が有名。アフターマーケットでは、ジェットイノウエ・PIAA・IPF・セイワ・カーメイトなどをはじめとして多くのメーカーがあり、工夫を凝らしたさまざまな製品を世に送り出しているのだ。



路面に文字やイラストを描いて意思疎通なんて未来も! トラックの「LEDライト」の進化が止まらない
トラックのライト



近年、灯火類に見られる大きな変化といえば、光源がLED化していることであろう。これまで、白熱球・ハロゲン球・HIDなどと進化を続けてきたが、いまではLEDが主流となりつつある。その特徴として、



・高い輝度をもつ
・明滅速度が速い
・軽量で耐衝撃性があり長寿命
・カラー表現ができる



などがあり、これらは従来の光源に比して利便性・発展性などの面で、大きく上まわると考えられている。



トラックのライトは次のステージへ!

こういった特徴を踏まえ、ライトは次のステージを迎えようとしているのだ。現在、オートヘッドライトやオートハイビームが普及しつつあるが、それをさらに進めたのがADB(Adaptive Driving Beam、配光可変型ヘッドライト)だ。これは、車載カメラを使って前方の状況を把握し、それに合わせてヘッドライトの照射パターンを変化させるというものである。



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三菱ふそうのトラックのフロントマスク



たとえば、先行車や対向車にはまぶしくないように遮光するが、ドライバーに必要な場所には、ハイビーム並みの明るさで照射するといったシステムだ。

トラックは運転席が高くヘッドライトの位置が低いので、ADBが採用されればドライバーの視界はより鮮明になる。加えて、対向車などの幻惑が防げるので安全性が格段に向上することになるだろう。



さらに進んだ次世代の技術といわれる「高精細ADB」では、1万6000個のLEDをコントロールすることで、より細かな配光を実現できるのだそうだ。



ウインカー・ストップランプ・バックランプは、車両の行動をまわりに知らせる役割をもつが、サンキューハザードやパッシングもドライバーの意思を伝えるシグナルになっている。トラックの場合、周囲から運転席が見にくいこともあって、ドライバーの意思がまわりに伝わらないことも少なくない。そこで、路面に光で文字やイラストを映し出す「路面描画ランプ」や、シーケンシャルランプのように、あらゆるランプの点灯パターンを工夫する「アニメーションランプ」が、周囲にドライバーの意思を伝える試みとして研究されている。



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ライトのイメージ



たとえば、見通しの悪い交差点を通過するとき、前方路上に「路面描画ランプ」を照射すれば、左右を通行する車両や人に自車の接近をいち早く伝えることができる。あるいは、路上で乗降のためにドアを開けようとするとき、事前にウインカーなどのランプが点灯することで、後方からくる車両にその意思を伝えることができるというわけだ。



これらの技術は安全面だけではなく、イルミネーションアートを楽しむトラックにとっても、新たなパフォーマンスを生み出してくれるかもしれない。これまでは車両本体に取り付けたランプだけを光らせていたが、「路面描画ランプ」であれば、周囲の路面や壁などにもパフォーマンスが可能になるかもしれない。LEDランプの進化・発展に、ますます目が離せなくなりそうだ。

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