この記事をまとめると



■手動・電動だけでなく、じつはさまざまな種類があるオープンカーの開閉機構



■現代のオープンカーはワンタッチで幌が開閉できるストレスフリーなものが多い



■いまだにちょっと変わった機構を採用しており幌開閉操作が大変なクルマもある



昔と違って現代のオープンカーは開閉がカンタン?

だいぶ昔のことですが、ジャガーXJ-Sコンバーチブルの撮影をしていた際、幌を開けようとしたところ途中でフリーズしてしまったことがあります。当時のラグジュアリーカーらしく開閉は電動、全自動という代物。スイッチを押すとリヤクオーターウインドウが下がり、幌がスルスルと収納に向かうはずが、ウィンドウも幌も中途半端な位置で止まったままウンともスンともいわないのです。



バッテリーを外してみたり、ウインドウスイッチだけ動かしてみたりしたのですが、結局は解決ならず。幸い走ることはできたので、中途半端なまま返却に。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーの...の画像はこちら >>



これを当時のボスに報告すると「だから幌は手動に限るのだ」としたり顔。



たしかに手動は確実かもしれませんが、やっぱり面倒くさい。下手すると面倒すぎて「オープン走行は年に1回くらい」なんてオーナーもいるようです。そこで最近のオープン事情をチェックしてみました。



むしろ開閉を繰り返したくなる!

マツダのロードスターはモデルチェンジのたびに開閉機構も進化している気がしてなりません。



初代モデルにしても手動ながら、ロック解除もさほど固くなく、幌自体もビニールなのでわりと簡単に畳み込めたものです。現行モデルになるとロックは1カ所のみで、しかもクランクなので軽いこと! さすが何十年も作り続けているだけあってそつのなさには脱帽です。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
マツダ・ロードスター(ND)のフロントスタイリング



また、以前のコンバーチブルではだいぶ苦労させられたものの、現行のコルベットもロードスター同様にワンタッチ。ただし、最後のロックには相当なトルクがかかっているはずなので、弱くなったバッテリーなどでは大いに負担がかかりそう。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
シボレー・コルベット コンバーチブルのスタイリング



マニュアルで推奨されているかわかりませんが、アクセサリーのオンではなく、エンジンをかけた状態で開閉する方が安心でしょう。



ワンタッチばかりじゃない……ひと癖あるオープンカーたち

面倒くさいけどまあ我慢できそう

ポルシェ911タルガは、タイプ964まではフレーム(骨)を折りたたむことで、ハードトップがコンパクトになり、フロントフード下に納められる設計でした。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
ポルシェ911タルガ(964)のスタイリング



なかなか合理的な設計だったものの、折り畳みにはコツ、あるいはフレームのテンションが強くて大の男でも苦労する場面もあったかと。

しかも、このトップが微妙に重たいので、正直なところふたりがかりでやりたくなりました。



その点、ホンダS660はポルシェに似たタルガトップながら、サイズが小さいことが幸いしているのか骨の折り畳みや、ルーフそのものもコンパクトで軽そうです。ロックを外すところから、フレームを畳む手順こそありますが、慣れれば面倒と思うことなく開閉できそうな気がします。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
ホンダS660のリヤスタリング



また、意外なことにランボルギーニ・アヴェンタドールのタルガトップも手動による開閉。ですが、左右2分割されたトップの付け外しはそれこそワンタッチ。しかも、極小に思われるフロントフード下にスッキリ収まるという親切設計です。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
ランボルギーニ・アヴェンタドールS ロードスターのスタイリング



入れる順番とか、荷室内で揺れないようロックするとか手順こそありますが、これはオーナーにとって望外のありがたさ、かもしれません。もっとも、オーナー自らがトップをしまい込んでいる姿は、「あれ? 手動かよ」などと突っ込まれそうでちょっぴり寂しいです(笑)。



オープンが年イチになる可能性大

ポルシェはカブリオレやタルガではまぁまぁロジカルな開閉機構を設計してきましたし、近年の電動になってからは長年のノウハウをいかして「オープン界のトップランナー」と呼んでもいいポジションかと。



とはいえ、そんな彼らもスピードスターやスパイダーと呼ばれるモデルになると「ソフトトップ? 付いてるだけありがたいと思ってよ」的な面倒くささを発揮しています。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
ポルシェのスパイダー/スピードスターモデルのソフトトップ



たしかに、718スパイダーはスイッチひとつでリヤのハッチが開閉できるなど、昔の964スピードスターに比べたら進化も著しいもの。ですが、ソフトトップのスナップを外したり、布製の幌を半分くらいは自分で畳まないとならないとなると、「オープンカーの儀式なのだ」などとカッコつけても面倒くさいことに変わりはありません。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
ポルシェ911スピードスター(964)のフロントスタイリング



また、718スパイダーRSとなると面倒というより筆者などは「複雑すぎて覚えるのもイヤ」なくらい。あれを外して、こっちを引っ張り、そこを持って、こちらへ差し込む、3つあるスナップを忘れず、畳むときはこうしてください……。これだけプロセスが多いと「だったら、オープンのままでいいや!」ってなること間違いありません。ウソだと思うなら、ポルシェの公式動画でチェックしてみるといいですよ。きっと途中でめまいがしてくること請け合いです(笑)



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
ポルシェ718スパイダーRSのソフトトップのメカニズム



これに比べたら、スーパーセブン系の骨組みに幌をスナップボタンで留めるほうがよっぽど楽チンかもしれません。ただし、こちらは工作精度がお世辞にも高いわけではありませんので、力の加減を間違えると部品は簡単に折れたり割れたりしちゃうみたいです。



マジで一生開けたくなくなるほど面倒なものも! オープンカーのソフトトップ開閉事情
ケータハム・セブン160のフロントスタイリング



電動にしろ、手動にしろ一長一短というわけで、オープンカーでカッコつけるのも楽ではありませんね。

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