この記事をまとめると
■韓国の自動車産業の規模は国内販売よりも輸出のほうが大きい■ルノーコリアは倒産したサムスン自動車がルノーと資本提携したことで生まれた
■クルマのIT化が進み今後大きな事業変革を決断する可能性もある
韓国の自動車産業は輸出がメイン!
ヒョンデの日本市場再参入によって、日本でも「韓国車っていま、どうなっているのか?」という見方をするユーザーが増えた印象がある。だが、実際に韓国でどのようなメーカーがどんなモデルを製造・販売しているのかについて、詳しい人は少ないだろう。そこで、まずは韓国市場全体について見てみる。
韓国自動車モビリティ産業協会によれば、昨年の国内生産総数は約424万台。メーカー別では、ヒョンデが約195万台でトップ、次いでキアが161万台、韓国GMが約46万台、KGモビリティが12万台、そしてルノーコリアが9万8000台と続く。
国内販売台数は、ヒョンデが約76万台、キアが57万台、KGモビリティが6万3000台、韓国GMが3万9000台、そしてルノーコリアが2万2000台となっており、韓国自動車産業は輸出を主流としていることがわかる。
ルノーコリアが韓国で現在販売しているのは、SUVがメインとなる。排気量1.5リッターの「GRAND KOLEOS」、「ARKAN」には排気量1.6リッターでハイブリッドもある、さらに、排気量が大きな2リッターでは「QM6」と「QM6 QUEST」をラインアップする。
前身の会社はスマホで有名な「サムスン」の自動車部門だった
こうした各モデルを見れば、誰でも直感的に社名にあるフランス・ルノーの影響を思い浮かべるだろう。だが、ルノーコリアがルノーコリアと名乗るようになってから、まだ2年ほどしか経っていない。
その前はルノーサムスンであり、前身はサムスン自動車だった。サムスンといえば、日本で「SAMSUNG」のブランド名を知らない人は少ないだろう。Galaxyシリーズでの、スマートフォンやスマートウォッチのメーカーとして認知度は高い。Galaxyスマートフォンはアンドロイドフォンの筆頭として、アップルiPhoneのライバルである。
また、アメリカ等の海外でSAMSUNGは、各種の家電が大手量販店で扱われており、総合電気・ITメーカーというイメージが広まっている。
そうしたIT企業へとサムスンが成長する前の1990年代半ば、サムスンは自動車産業への参入計画を立てた。その後、いわゆるアジア通貨危機が韓国経済に極めて大きな影響を及ぼすも、韓国経済界が再建するなかで、サムスン自動車は船出することになる。
しかし、時流に乗れず、結果的に経営破綻して、ルノーとの資本提携を結ぶに至る。
直近では、ルノーは日産・三菱とのアライアンスがある。一方で、日産はホンダと次世代に向けた連携を発表しているが、ルノーとの関係は「別枠」という説明を社外的にしているところだ。
いま、自動車産業界は、電動化、自動運転、そしてAIを活用した通信プラットフォームなど、クルマのIT化が急激に進んでいる状況だ。
IT関連事業で新しいアイディアをグローバル市場向けに展開している韓国に拠点をもつルノーコリアが今後、大きな事業変革を決断する可能性もあるのではないだろうか。

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