この記事をまとめると
■2024年はホンダが数多くの新車や新グレードを投入した■WR-Vとフリードの売り上げが好調だ
■N-BOXをはじめとする軽自動車の売り上げが不調気味となっている
2024年のホンダは絶好調!
最近のホンダは新型車の投入が活発だ。
2023年の末にはコンパクトSUVのWR-Vを低価格で投入して話題になった。2024年に入ると、アコードのフルモデルチェンジ、ヴェゼルのマイナーチェンジとグレード追加、フリードのフルモデルチェンジ、CR-V eFCEVの発売、シビックの改良やグレード追加という具合に続いている。
これらの新型車には売れ行きの堅調な車種が多く、2024年9月には、新型になったフリードの登録台数が前年の1.5倍に達した。ヴェゼルもマイナーチェンジの効果で前年の売れ行きを上まわる。WR-Vも堅調だ。
そのために2024年9月には、ホンダの国内販売台数は、前年の1.2倍以上に増えた。とくに増加率の高いカテゴリーは小型/普通車で、9月は前年の1.4倍に達する。フリード、ヴェゼル、WR-Vといった新型車に加えて、フィットやZR-Vも売れ行きを増やして販売総数を押し上げた。

とくにフリードは、従来型と同じくコンパクトミニバンながら車内が広く、現行型ではインパネなど内装の質も高めた。従来型と同じく2列目シートは人気の高いセパレートタイプが主力で、ボディはコンパクトでも、商品力はミドルサイズミニバンのステップワゴンに負けていない。
ヴェゼルは現行型になってハイブリッドのe:HEVを中心としたグレード構成になり、発売後の値上げもあって、売れ筋価格帯が300万円を超えた。
そこでノーマルエンジンの2WD専用車としてWR-Vを追加している。WR-V(X)は実用装備を充実させた上で、価格を209万8800円に抑えた。ヴェゼルで主力になるe:HEV・Zの319万8800円に比べると、ボディサイズと車内の広さは同程度だが、価格は110万円安い。

またヴェゼルも、野性味を強めたe:HEV(X)ハントパッケージを299万8600円で追加設定しており、販売のテコ入れを狙っている。
このご時世ながらMT車も大健闘
このほかシビックのマイナーチェンジでは、運転感覚の楽しい6速MT専用グレードのRSを加えた。価格は419万8700円だから、同等の安全/快適装備を採用したAT(無段変速のCVT)のEXに比べて約40万円高いが、今のところ売れ行きは堅調だ。

以上のように2023年後半以降に国内で登場したホンダ車には、人気を高めた車種が多く、2024年9月の売れ行きも前述のとおり前年の1.2倍以上になった。
ただしその一方で、絶好調だったN-BOXがいまひとつ伸び悩む。現行型の登場は2023年10月だから、2024年は売れ行きが急増していい時期だが、2024年1~9月は前年の同時期に比べて6%減った。フルモデルチェンジした直後なのに、売れ行きは先代型のモデル末期を下まわる。

またN-WGNの売れ行きはN-BOXの16%に留まり、N-ONEはわずか9%だ。小型車のフリードやヴェゼルがモデルチェンジを成功させて売れ行きを増やす一方、近年のホンダの国内販売で主力だった軽自動車が下がっている。
ホンダの場合、新しい人気車を投入すると、それまで好調だった車種の売れ行きが下がるパターンが昔から散見される。デザインから各種の機能、価格設定まで、市場や販売店の意見を汲み取ることが大切だ。