この記事をまとめると
■HRCが2025年のモータースポーツ参戦体制を発表



■各カテゴリーで引き続き勝利を狙って若手ドライバーにも積極的に挑戦の機会を与える



■国内で大活躍した太田格之進選手は北米IMSAで海外レースデビューへ



本年度も大活躍のHRCがさらなる飛躍へ

12月11日、ホンダのモータースポーツ部門であるHonda Racing(以下HRC)が2025年4輪レース活動体制発表会を開催した。



まず、HRCの渡辺康治代表が登壇し、本年度のHRCの活躍を振り返りつつ来年度の活動を発表した。



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F1においては、レッドブルレーシング含む2チーム4台にパワーユニットを提供し、マックス・フェルスタッペン選手のドライバーズタイトルにも貢献。

2025年度も引き続き2チームにパワーユニットを提供する。なお、このパートナーシップは2025年度が最終年となる予定であり、今後の動向にも目が離せないところだ。



佐藤琢磨の"愛弟子"太田格之進がIMSAで世界デビュー決定! 来季体制を発表したHRCが2025年もモータースポーツを盛り上げる
F1でドライバーズタイトルを獲得したマックス・フェルスタッペン選手



若手からベテランまでが速さを見せ、熱いチャンピオン争いを見せた全日本スーパーフォーミュラ選手権では、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGがチームチャンピオンを獲得。世界に繋がる選手を育てる場として、今後もスーパーフォーミュラに力を入れてゆくという。



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スーパーフォーミュラでチームチャンピオンを獲得したDOCOMO TEAM DANDELION RACING



とくに、FIA F2で年間4位につけ、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、つい先日にはビザ・キャッシュアップRBのルーキー枠としてF1アブダビテストにも参加した岩佐歩夢選手については、「いつF1でチャンスが巡ってきても戦える準備をしてゆく」とした。



先週末、最終戦を終えたばかりのSUPER GTでは、シビックタイプR-GTへとマシンをスイッチした初年度ではあったが、100号車のSTANLEY TEAM KUNIMITSUがシーズンを2位で終えるなど気を吐いた。基本的に本年度と同様の布陣で2025年シーズンに挑むが、Astemo REAL RACINGのドライバーについては、本年度の全日本スーパーフォーミュラ・ライツでチャンピオンとなった小出 峻選手を新たに登用。来年こそはチャンピオンを狙うと意欲を見せた。



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SUPER GT GT500クラスに参戦するAstemo REAL RACINGのシビックタイプR-GT



HRCは若手選手の育成にも力を入れており、その取り組みを代表するのがHRS(ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿)だ。HRSでは優秀な若手ドライバーが早い段階から海外で経験を積むチャンスを与えることに注力しており、その成果は着実に現れている。



まず、本年度フランスF4選手権でチャンピオンを獲得した加藤大翔選手は、2025年度はフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップ(FRECA)に参戦、本年度FIA-F4でチャンピオンを獲得した野村勇人選手がスーパーフォーミュラ・ライツに参戦、HRSのスカラシップを首席で獲得した佐藤凛太郎選手がフランスF4選手権に参戦するなど、各カテゴリーの優秀なドライバーたちが揃ってステップアップを果たす。



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フランスF4選手権でチャンピオンを獲得した加藤大翔選手が搭乗するマシン



国際的には、昨年HPDからHRC USへと社名変更を行ったHRCの北米部門が、インディカーに引き続きパワーユニットを供給。

イギリスではHRD UKを設立し、現在リクルート活動を行っている最中。一部部門については2025年初頭から本格的に活動を開始してゆく。



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HRCがパワーユニットを供給するインディカー



そして、北米最高峰の耐久シリーズで、ポルシェ、キャデラック、BMW、ランボルギーニといった世界の名だたるコンストラクターがしのぎを削るIMSA ウェザーテック・スポーツカー選手権においては、Meyer Shank RacingとのパートナーシップにおいてHRC USの役割を拡大。具体的には、2台体制のうちの1台、93号車のチームオペレーションの主要部分をHRC USのエンジニアが担い、セミワークスというかたちとなる。



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北米IMSAに参戦するHRC USのAcura ARX-06



そしてこのIMSAに関しては、ビッグニュースが用意されていた。



期待の新星ドライバー・太田格之進選手がIMSAに進出

新たにHRC USのセミワークスとなったIMSAの93号車に、太田格之進選手が搭乗することが発表された。すでにシミュレーターやIMSA公式テストをこなすなど順調に経験を重ねており、2025年1月末のデイトナ24時間レースで初出場を果たす予定だという。



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搭乗予定のIMSAマシン Acura ARX-06と太田格之進選手



2024年度は、スーパーGT GT500クラスと全日本スーパーフォーミュラ選手権の二足のわらじを履いた参戦体制で、全日本最高峰のふたつのカテゴリーで大活躍を見せた太田選手が、とうとう世界への第一歩を踏み出したというわけだ。



佐藤琢磨の"愛弟子"太田格之進がIMSAで世界デビュー決定! 来季体制を発表したHRCが2025年もモータースポーツを盛り上げる
IMSAへの出場が決まった太田格之進選手



発表会の会場では、太田選手がHRC エグゼクティブアドバイザーの佐藤琢磨選手とともに登壇。3歳でカートレースを始めて以来、念願であった世界への挑戦の場を作ってくれたHRCや関係者に感謝の意を述べるとともに、「今回の挑戦は、まずはスタート地点に立てたということで、これからも努力をしてゆく。どんどんと世界に認められるドライバーになってゆきたい」と意気込みを語った。



佐藤琢磨の"愛弟子"太田格之進がIMSAで世界デビュー決定! 来季体制を発表したHRCが2025年もモータースポーツを盛り上げる
意気込みを語る太田格之進選手



佐藤琢磨選手は、太田選手は数年前のHRS時代から注目していた選手であり、ハイレベルなIMSAは多くを学べる機会になるだろう、と期待を寄せた。

同時に、この太田選手の活躍が多くの若手ドライバーの刺激になり、世界に羽ばたく日本人ドライバーが生まれるサイクルができることを願っているとコメントした。



佐藤琢磨の"愛弟子"太田格之進がIMSAで世界デビュー決定! 来季体制を発表したHRCが2025年もモータースポーツを盛り上げる
太田格之進にエールを送る佐藤琢磨選手



本年度も多くのステージで輝いたHRC陣営だが、太田選手の世界への挑戦をはじめとして、2025年度のHRCの活動が、本年度以上に見逃せないものになることは間違いないだろう。

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