この記事をまとめると
■モビリティのカラーデザインの美しさを評価する「オートカラーアウォード2024」が開催■本来グランプリのみのところ2024年は特別賞が新設されスズキ・スイフトが受賞
■グランプリはマツダCX-80のメルティングカッパーメタリック外装/ブラック内装が受賞
2024年のモビリティでもっとも美しかったカラーデザインが決定
12月14日、東京国際交流館(東京都江東区)にて「オートカラーアウォード2024」の表彰式が行われました。
本イベントは一般社団法人日本流行色協会が主催、モビリティの内外装すべてのカラーデザインの美しさを評価する顕彰制度で、初回の1998年以降今回で26回目を迎えるもの。2024年は8社、10のモビリティがエントリー、12月13日に担当デザイナーによるプレゼンテーションが行われ、翌日にグランプリの発表となりました。
【ノミネート車】
・スバル・レヴォーグ レイバック
・三菱 トライトン
・日産 キャラバン マイルーム、ノート オーラ
・レクサス LM
・ホンダ・フリード、X-ADV
・スズキ・スイフト
・マツダ CX-80
・カワサキ Z900RS
審査員は一般審査委員、自動車色彩分科会審査委員、オートカラーアウォード審査委員で構成、「市場に影響を与えたか」「従来にない色域に挑戦して成果をあげているか」など6項目を軸に審査が行われました。
●スズキ・スイフトが特別賞を受賞!
さて、本来はグランプリのみのところ、今回、急遽特別賞が設けられ、スズキのスイフト(テーマ:新しいスポーティ表現 壁を超えるCMF、エクステリア:クールイエローメタリック ガンメタリック2トーンルーフ、インテリア:ブラック×ライトグレー)が受賞となりました。イエローとグリーンの中間のようなボディ色はかなり特徴的で、読者の皆さんも強く印象に残っているのではないでしょうか?

審査委員による講評では「新しい世代に向けてエナジーを注入するような色。従来の走りのイメージと異なり、ヘルシーさを感じさせる」とチャレンジングな姿勢が評価されました。
デザインを担当した同社四輪デザイン部の邉田紘一さんにその意図を聞くと、「いまスイフトに求められているのは、走りを前面に出した従来のスポーティさではなく、気もちよく運転できるという意味の走りのよさ。その軽やかさとしてスポーツ用品など高機能素材から発想したカラーですが、絶妙な色調なので明度・彩度などの調整には苦労しました。また、2トーンについてはフローティングルーフの特徴を生かす意図でガンメタを組み合わせました」とのこと。
スポーティ=高彩度色という単純な発想ではない点がユニークです。

栄えあるグランプリはマツダCX-80が受賞
●グランプリはマツダCX-80の新しいカッパー色に
さて、特別賞に続いて発表された今年のグランプリはマツダのCX-80が受賞となりました。テーマは「ELEGANCE & EMOTION デザイナーとペインターの共創と挑戦」で、対象カラーはエクステリアがメルティングカッパーメタリック、インテリアはブラックです。

講評では、「デザイナーとペインターというクリエイター同志の意志疎通を図るため、コミュニケーションメディアとしてのオブジェを作った点が目新しく、今後のCMF開発のヒントになった。なにより、これまでになかった色域を追求、実現した点が素晴らしい」と他社が羨むほどの開発体制が評価されました。

開発を担当した、同社デザイン本部の堤 遙加さんと渡邉瑞希さんに話を聞くと「カッパーは最近トレンドとしてEVなどに使われていますが、そうではなく、CX-80をより上質に見せる華やかな色として直感的に銅色をイメージしました。そのなかでも、同車の抑揚ある滑らかな面を意図して『溶けるような銅』を追求。ハイライトはしっかり出しつつ、シェードは柔らかいという陰影にこだわって開発しました」と狙いを語ってくれました。

また、両氏はCMFデザインについて「モデラーさんやペインターさん達と協力し、色と造形でクルマを作り上げていく過程が面白いですね。また、完成したときの達成感はもちろん、街なかで担当したクルマを見た際に、どんなユーザーさんなのかを想像するのも楽しいところです」とその醍醐味も語ってくれました。
さて、カーデザインといえばどうしても外形であるエクステリアデザイナーに光が当たりがち。ただ、ボディカラーやインテリアの素材開発までを行うCMFデザインはある意味、より多彩な要素を持った世界といえます。そうした素晴らしさを広く周知する機会として、このオートカラーアウォードは非常に貴重なイベントといえるでしょう。