この記事をまとめると
■「SUBARU ゲレンデタクシー2025」が新潟県・苗場スキー場で開催■プロドライバーのドライブで雪上を走るスバル車に同乗できるイベント
■豪華デモランなども用意され1月18日、19日、25日、26日の4日間開催
ファン多数の「ゲレタク」が5年越しに復活
雪が深く降り積もるスキー場のゲレンデを、クルマが縦横無尽に駆けまわる。荒唐無稽とも思える、にわかには想像しがたいかもしれないが、そんな光景を実際に見ることができる、それどころか同乗もできるというイベントが存在することをご存知だろうか?
その名は「SUBARU ゲレンデタクシー」。1970年代に「レオーネ」で量産4WDにいち早く先鞭をつけ、「シンメトリカルAWD」と名付けられた独自システムへと進化。
4WDのスバル車がタクシーのごとく参加者を乗せ、プロドライバーによるゲレンデを駆け抜けるというこのイベントは、2014年に初回を開催し、その際の凄まじい反響から以後毎年開催されていた。しかし、新型コロナウイルス流行の影響によって、2020年を最後にしばらく開催されていなかったのだが、それが2025年から復活を果たしたのである。
ゲレンデタクシー2025の開催地は、スキーの名所として名高い新潟県の苗場スキー場であるが、じつは、スバルというメーカーは、スキーとも深い関わりがある。スキーなどスノースポーツの国内競技連盟である「SAJ(全日本スキー連盟)」に対して、スバルはチームサポートカーの貸与などといったサポートを1976年から続けているのである。
そのサポートが50年目を迎えるにあたって、初日18日には「SUBARU×全日本スキー連盟 特別企画」と称したオープニングセレモニーが実施された。

レオーネやレガシィといった歴代サポートカーがコースの頂上側から急斜面をくだってくると、最前列のレオーネの助手席から現れたのは、SAJ現会長にして伝説的スキージャンプ選手の原田雅彦氏だ。さらに、遅れてやってきたゲレンデタクシー仕様の新型クロストレックからは、WRCでも活躍し「世界の新井」の異名を持つラリースト、新井敏弘選手が登場。ふたりの大スターの登場に、会場は拍手の渦に包まれた。

原田氏は、「僕ら世代にはこのレオーネはとても懐かしいクルマで、ついテンションが上がっちゃいました。これらのスバル車は、現役時代にも国内外で安心・安全な移動を提供してくれたまさに相棒です」とコメント。
つづいて、すでにゲレンデでスバル車を走らせてきた新井選手は「やはりスバルの四輪駆動の技術は他とはまったく違う。

オープニングセレモニーの興奮が冷めやらぬなか、つづいて行われたのはドリフトショー。用意されたクルマはWRX S4で、市販状態にゲレンデタクシーのバイナルが貼り付けられたのみの車両だったが、新井選手のドライブによるドリフト走行は、ノーマル車両とは思えない派手なもの。ゲストとして招かれたスーパーGTドライバーの井口卓人選手、山内英輝選手と、ラリードライバーの鎌田卓麻選手のまわりをまわる「人間パイロン」のパフォーマンスも披露されるなど、大迫力のデモランとなった。

ノーマル車両ながら急斜面の雪上を楽々走破
さて、メインイベントとなるゲレンデタクシーの同乗体験に戻ると、じつに5年ぶりの復活とあって、初日18日の参加受付開始時刻である午前9時には、すでに長蛇の列が。午前の部の参加枠はほどなくして受付終了となる盛況ぶりだった。

実際のコースを目の当たりにすると、徒歩でも登るのにはひと苦労しそうなほどの急斜面で、そこをクルマがテールを振りながら走り抜けていく姿はまさに壮観。

使用される車両は、先日登場したばかりの新型クロストレック ストロングハイブリッドモデルをはじめとして、フォレスター、レガシィアウトバックといったスバルの誇るSUVモデルたち。驚くことに、特別な改造はまったく施されておらず、市販状態にスタッドレスタイヤを装着したのみだ。

ドライバーのひとりに話を聞くと、普通に走るだけではなんの苦もなく走破してしまうので、各車に装備されるドライブモードセレクトシステム「X-MODE」の設定は、悪路走行に特化した「DEEP SNOW/MUD」モードではなく、あえて舗装向けの「NORMAL」モードを選択。そうすることで電子制御システムの介入を最小限に抑え、お客さんが喜んでくれるような派手な走りをしているという。

これはすなわち、スバル車の雪上性能の限界はさらに上にあるということの証左であるといえるだろう。一般的にSUVの悪路走破性能は本格的なクロカンモデルに及ばないとされるが、スバルの4WDモデルにおいては例外なのだ。
参加者の声を聞くと、やはり同乗してみるとその雪上性能に改めて驚かされたという声が多かった。こちらは、BG型レガシィ(2代目)からスバル車を乗り継ぎ、先日発表されたレガシィアウトバック30周年記念車を購入し、現在納車待ちだという新治さんとその御一行。「ヒルディセントコントロールをはじめとした制御など、随所に進化を感じられる。スバルの四輪駆動の真髄を感じた」と感慨をコメントしてくれた。

ゲレンデタクシーの参加者を見ていると、このために来場したという熱烈なスバリストの皆様はもちろんだが、子ども連れや若い女性団体など、クルマ好きではないがスキーのために来場しており、偶然足を運んだ方々も思いのほか楽しめたという声も印象的だった。

そして最後に、ゲレンデタクシー同乗体験が午後の部まで終了し、スキーコースがクローズした午後8時からは、2024年シーズンを戦ってきたラリー車両でのデモランが行われた。新井選手、鎌田選手のドライブによって、実際のウインターラリーかくやのスピードでゲレンデを駆け抜ける競技車両は凄まじい迫力。一日を締めくくるにふさわしい圧巻のデモランとなった。

ゲレンデタクシー2025の日程は、1月18日(土)、19日(日)、25日(土)、26日(日)の4日間。来年度の開催予定については現時点でアナウンスされていないので、興味を持たれた方は残り2日間でぜひとも足を運んでほしい。