この記事をまとめると
■トラックの安全な運行のためにはタイヤのチェックが欠かせない■村田製作所がタイヤの溝管理を徹底するための商品を開発
■「RFIDソリューション」の仕組みについて詳しく解説する
タイヤにICタグを埋め込むことで個体情報を記録
タイヤの脱落事故が春先に懸念されるニュースとなって数年が経つ。タイヤは路面と唯一接触する部品であるにもかかわらず、消耗品であるからか軽視されている風潮もある。
とくに大型トラックでは、前述のタイヤ脱落事故を防ぐためにも、タイヤの損傷がないかやホイールナットの締め付けが十分かなどの毎日の点検が欠かせない。それに加えて、タイヤの残り溝を確認するのはなかなか大変だ。タイヤの数が多いだけでなく、ダブルタイヤなど奥まった位置のタイヤはさらに確認が難しい。
そんなタイヤ溝管理を確実にするための商品を村田製作所が開発した。「タイヤ管理RFIDソリューション」は、タイヤにRFIDタグ(情報が書き込まれ電波で情報をやりとりできるICタグ)を埋め込むことで、個体情報を記録し、PCやスマホのアプリでタイヤを管理できるシステムだ。
これはフランスのタイヤメーカー、ミシュランと共同開発したもので、屈曲性をもたせるためにモジュールとアンテナに接合部をもたせず、アンテナでモジュールを包み込むような構造にしたRFIDタグを使っていることが特徴だ。このRFIDタグの情報を専用端末で読み取り、タイヤ溝を検出するツールと通信することで、その時点でのそのタイヤの残り溝がPCのアプリ内に記録される。これを継続的に行っていけば、タイヤ摩耗の限度がどれくらいの期間で訪れるのか予測できる。
タイヤの摩耗以外にもパンクの修理歴やリトレッド回数など、そのタイヤ個体の履歴をまとめて管理できれば、ローテーションしてもタイヤの履歴に混乱が起きず、確実なタイヤ管理が可能になる。タイヤ以外にもホイールナットの締め付け点検にも利用すれば、点検履歴などを管理できる。
村田製作所では特許をもつミシュランとライセンス契約を結び、このRFIDタグをすべてのタイヤメーカーに供給できる体制を構築した。
つまり、RFIDタグは、タイヤの一生を管理できるマイナンバーカードのようなものだ。たくさんのタイヤを装着し、管理がややこしい大型トラックやトレーラーなどのタイヤ管理を確実で簡単なものにするためには今後欠かせないものとなりそうだ。
ただ、村田製作所のスタッフは、共同開発したパートナーのミシュランがラジアルベルトを利用してタイヤの残り溝を自動的に検知するサービスを開発していることを伝えると、それを知らなかったようで、ちょっと意外だった。これをRFIDと組み合わせてサービス展開すると、さらに便利なタイヤ溝管理ができそうだ。

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