この記事をまとめると
■S660をNSX風にカスタムした「miNi SX660」が東京オートサロン2025に登場■3DスキャナーとCADを駆使した高精度の外装コンバージョンキットを採用
■年内発売を目指しており、改良を重ねた製品版が次回の出展でお披露目予定
小さなNSXの正体は?
今回の開催で42回を迎えた「東京オートサロン2025」。来場者数は全盛期の30万人超には届きませんでしたが、前年より3万人増しの26万人で大盛況となりました。
その盛況具合に呼応したかのように出展社数も拡大して、会場の幕張メッセを埋め尽くしていました。
それがここでスポットを当てる「WISESQUARE」の「miNi SX660」です。
■きれいなNSXが展示されていると思いきや何か様子がヘン!?
おそらくほとんどの人がパッと見で「おっ、NSXだ!」と思ってしまうであろうこの車両、じつはホンダの「S660」がベースのカスタム車両なんです。
実際に来場者のなかからも、「NSXだ! ……だ……だよね?」という声が聞こえてきました。それくらいの完成度で仕上げられたこの車両は、新潟の「WISESQUARE」が製作した「miNi SX660」という車両で、見たまんま、「ホンダNSX」オマージュの外装コンバージョンキットをまとっています。
制作のコンセプトは「NSXのカッコよさをお手軽に堪能できるクルマ」というものです。本家の「NSX」は価格が高騰していることに加えて年式もけっこう古いことから劣化や故障の心配もあり、おいそれとは手が出せない車種となっています。
そこで、年式が新しく、価格も手ごろな「S660」をベースとして、外装を「NSX」にしてしまうキットを提案してみようということになったそうです。
実車を目にすると、さすがにサイズがふたまわりほど小さいため、本家の伸び伸びとした存在感は望めませんが、逆にコンパクトなサイズであのカッコよさを堪能できるという、唯一無二の新たな価値が得られるかもしれません。
■完成度の高いスタイリングはデジタルデータを駆使して作られた
このパッと見では違和感を感じさせないほど絶妙なバランスでまとめられたスタイリング、ひと昔前なら写真や実車を並べて造形専門の職人がモデリングをおこなって型を製作していたものですが、この「miNi SX660」のモデリングはほぼPC上でおこなわれたのだそうです。
まず、本家のNSXを3Dスキャナーでデータ化します。併せてS660のほうもデータ化して、それを3D-CADに取り込み、スケールの変更で大まかなサイズ合わせをしたうえで、ホイールベースの辻褄合わせやキャビンの形状との調整、そしていまの保安基準との適合などを盛り込んで、最後に製造を考慮した分割をおこなったデータを仕上げます。そのデータをもとに、各パートごとの抜き型を製作し、FRPの製品ができあがります。

文章で説明するとカンタンに聞こえるかもしれませんが、NSXのデザインの印象を保ったままで形状の異なるS660の装着部にフィットさせるバランス感覚や、きちっと装着できるように構造を工夫したり、最終的には車検に通せるように各部を整えるノウハウが必要になるなど、どれを取っても一朝一夕ではこなせない仕事です。
この外装キットは、S660のボディに被せるように作られているので、キットを取り外せばもとの外装に戻すことができるという点もポイントになるでしょう(※給油ハッチだけは要加工となります)。ちなみに車体の外寸が大きくなるため、登録は白ナンバーになります。
細部をブラッシュアップして市販化予定!
■製品化検討モデルの段階だがほぼこのまま市販予定
今回の出展では、プロジェクトの概要を知ってもらうためのプロトタイプのお披露目というカタチですが、使い勝手や信頼性向上のために細かいところでいろいろ煮詰めたい部分があるものの、基本の形状はほぼこのままで製品化の予定だそうです。
参考までにいまの段階で改良したい箇所を挙げると、まずはエンジンフード。こちらは現状FRP製のカバーですが、エンジンのメンテナンス性などを考慮して、一部をポリカーボネート素材で透明にすることを検討中。

展示車両ではフロントにウインカーが装着されていませんが、本家同様に穴を空けてウインカーをビルトインする予定。サイドミラーを畳んだ際にクリアランスがギリギリになるので、マージンを設けるために形状を検討中だそうです。ウインカーとテールランプのユニットは、いまのところ本家の純正品をキットに含める予定とのことですが、これは数に限りがあるので、いずれオリジナルで製作して対応することも検討しているそうです。ちなみにヘッドライトは汎用品だそうです。
また、リヤビューの重要なポイントになる左右出しのマフラーもこのキットのためのアイテムで、これもキットに含まれます。
展示車両の足まわりはS660用の車高調が組み付けられていますが、製品化に向けて、運転席から車高が変えられるエアサスの導入も検討しているそうです。
純正の5本スポークを意識したホイールはWORK製の「マイスター CR01」で、フロントが15インチ、リヤが16インチと、本家と同じ前後異径にこだわって特注したものだそうです。

フロントとサイドに装着されたアンダーパネルはショー用に用意されたもので、基本のキットには含めないようです。
気になる発売時期ですが、ざっくり年内を予定しているとのこと。次回のオートサロンには、諸々の改良点をフィックスした製品版を出展予定とのことなので、遅くともその時期までには販売時期が確定しているでしょう。