この記事をまとめると
■静電気は物体同士の摩擦によって電荷の偏りが生じることで発生する現象だ



■EVの一部モデルでは静電気が発生しにくいシート素材を採用している



■クルマに乗る前には静電気対策の服選びや対策グッズを身につけるといい



静電気はなぜ起こる?

寒い冬の朝、愛車に乗り込もうとドアに手をかけた瞬間、「パチッ」とくる静電気に驚いたことは誰しも経験があるだろう。空気が乾燥する冬場にとくに多く発生し、ときとして不快な痛みを伴うことがある。今回は、この厄介な静電気の発生メカニズムと、効果的な対策方法について解説しよう。



<静電気が発生するメカニズムとは>

静電気は、物体同士の摩擦で電子が移動し、電荷の偏りが生じることで発生する現象だ。歩行時の靴底と地面との摩擦や、クルマの場合、シートから降りる際の衣服との摩擦で人体に電荷が蓄積される。近年の自動車は、軽量化のために樹脂素材を多用しており、これも静電気を発生しやすい環境を作り出している。また、冬場は空気が乾燥しているため、発生した静電気が逃げにくく、より強い放電が起こりやすい状況となっている。



「もうクルマに乗りたくない」まである冬場の静電気! 発生原因...の画像はこちら >>



静電気は、不快な衝撃だけでなく、電子機器の誤作動や火災の原因にもなりうる。実際、電気自動車(EV)においては、高電圧システムを搭載していることから、静電気対策はとくに重要視されている。充電ポートまわりも例外ではないが、充電時には注意が必要だろう。充電中に静電気が発生すると、充電器の故障や車両の誤作動を引き起こす可能性がある。



「もうクルマに乗りたくない」まである冬場の静電気! 発生原因とバチッとこない対策とは
急速充電のケーブルを充電口に差し込んでいる様子



また、多くのEVメーカーは、導電性の素材をボディやシートに採用し、静電気の蓄積を防ぐ工夫を施している。たとえば、テスラやポルシェのタイカンなどでは、特殊な導電性コーティングを施したシートを採用し、静電気の発生を最小限に抑える取り組みを行っている。このような技術は、従来の内燃機関(ICE)車にも徐々に採用され始めている。



「もうクルマに乗りたくない」まである冬場の静電気! 発生原因とバチッとこない対策とは
テスラ・モデル3の前席シートまわり



服選びも静電気の抑制につながる

<日常での効果的な静電気対策>

静電気を完全に防ぐことはできないが、いくつかの対策を実践することで、その発生を大幅に抑制することが可能である。まず、降車するときはシートから急に立ち上がるのではなく、ゆっくりと動いて摩擦を最小限に抑える。

また、車体の金属部分に軽く触れることで、徐々に放電させることが効果的だ。加えて車内の湿度管理も重要。加湿器の使用や適切な換気で静電気の発生を抑制できる。



「もうクルマに乗りたくない」まである冬場の静電気! 発生原因とバチッとこない対策とは
車内に置かれた小型加湿器



次に、服装にも気を配る必要がある。化学繊維の服は帯電しやすいため、綿やウールなどの天然素材の服を選ぶように心がけよう。とくに、フリース素材は静電気を帯びやすいので、注意が必要だ。また、静電気防止効果のある柔軟剤を使って洗濯するのも効果的だ。



近年では、静電気対策グッズも進化を遂げている。キーホルダー型の静電気除去グッズは、ドアノブに触れる前に金属部分を触れることで人体に帯電した静電気を放電させることができる。また、スプレータイプの静電気防止剤をシートや衣服に吹きかけるのも効果的。これらのグッズはカー用品店やホームセンターなどで手軽に購入できるため、ぜひ試していただきたい。



「もうクルマに乗りたくない」まである冬場の静電気! 発生原因とバチッとこない対策とは
カー用品ブランドが販売している静電気除去器



このように、静電気対策にはさまざまな方法があるが、もっとも重要なのは日常的な予防である。

適切な湿度管理と基本的な対策を意識することで、冬場でも快適なカーライフを楽しむことができる。EVの普及に伴い、静電気対策技術は今後さらに進化していくことが予想され、より快適な乗車環境が実現されていくことだろう。

編集部おすすめ