この記事をまとめると
■アウディのミッドシップスポーツカー「R8」の生産が終了した



■R8は2006年にランボルギーニ・ガヤルドの兄弟車としてV8を搭載して登場



■2016年には第2世代へとフルモデルチェンジした



ラインアップの頂点に18年間に渡り君臨していたR8

アウディが「インテリジェントスーパーカー」と呼んだ、ミッドシップスポーツ、「R8」の生産が終了した。



日本におけるそのファイナルモデルは、8台の限定車として販売された「R8クーペ・ジャパン・ファイナルエディション」で、これはスタンダードなR8に、アウディスポーツ製の5エヴォスポークデザイン・マットブロンズポリッシュト・アルミホイールやアウディエクスクルーシブのインテリア&フロアマット、さらにはマルチファンクション4コントロールサテライトのステアリングホイール、アラバスターホワイトステッチのヘッドライニング・アルカンターラ。スペシャルレタリングのドアシルトリム等々の特別装備を施したもの。

ボディカラーは日本で人気のアイビスホワイトマットが選択されていた。



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そのR8が、アウディのラインアップに追加されたのは2006年のことだった。その基本コンセプトとなったのは、2003年に発表された「ル・マン・クワトロ」で、こちらには最新のV型10気筒ガソリンエンジンがミッドに搭載されていたが、それはアウディより先に、当時すでにアウディグループにあったランボルギーニのガヤルドによって実現されることになった。



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アウディ・ル・マン・クワトロのフロントスタイリング



ちなみにガヤルドのミッドに搭載されたV型10気筒エンジンは、90度のバンク角をもつもので、クランクピンは等間隔点火となるよう18度オフセットしていた。82.5×92.8mmというロングストローク型のボア×ストローク値の設定からも、アウディ製エンジンとの共通性を感じた者は多かっただろう。



一方、このガヤルドより3年ほど遅れて誕生したR8に搭載されたエンジンはV型8気筒で、排気量はガヤルドの5リッターに対して4.2リッター。最高出力も同様の比較で500馬力に対して420馬力とやや控えめな数字だったが、ASF(アウディ・スペース・フレーム)の採用などで、ボディのみで210kgという軽量性を実現するなど、重量低減、そして重心の低下には相当な努力の跡が見られたモデルだった。



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アウディR8のV8エンジン



V型8気筒エンジンに組み合わされたミッションは6速Rトロニック。実用性も十分に追求された一台だった。サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーンで、「スポーツ」と「ノーマル」の両モードが選べるアウディマグネティックライドのオプション設定もあった。



日本にはまず6速Rトロニック仕様が、そして後に6速MT仕様も上陸を果たし、スポーツ志向の強いユーザーに高く支持された。



後継車が2025年には誕生するという噂あり

そして2009年には、5.2リッターのV型10気筒エンジンを搭載する5.2FSIクワトロが発表され、2008年にやはり5.2リッターにグレードアップされていたガヤルドとの性能差は、ガヤルドの560馬力に対してR8は525馬力という結果になった。



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アウディR8 5.2FSIクワトロのフロントスタイリング



参考までにこの5.2リッターユニットは、それまでの5リッターユニットとは異なり、オフセットなしの5スロークランクをもつもの。さらに、R8からV型8気筒仕様が廃止されたことで、R8とガヤルドは完全な姉妹車という関係になった。



2016年には、フルモデルチェンジによって、セカンドジェネレーションのR8が誕生する。ミッションは7速のSトロニック。ボディ構造は変わらずASFだが、アルミニウムのほかにCFRPなどの軽量素材も使用され、ボディの単体重量は200kgにまで削減された。V型8気筒エンジンの最高出力は、スタンダードモデルの「R8 V10」が540馬力、ハイパワー版の「同プラス」が610馬力というスペック。0-100km/h加速はプラスでは3.2秒を記録するに至っている。



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アウディR8 V10プラスのフロントスタイリング



さらに、その後もアウディはR8の強化には積極的で、2019年にはスタンダードモデルを570馬力にパワーアップ。今回は基本ボディとなるクーペの流れを中心に解説を進めてきたが、R8にはほかに流麗なスパイダーも存在する。



まさに「インテリジェントスーパーカー」そのものの雰囲気と走りを実現するアウディR8。一説にはその後継車が2025年には誕生するというのだが、はたしてアウディは、それにどのようなパワーユニットを与えてくるのだろうか。あるいはそれは現代の最先端をいく、BEVであるのかもしれない。

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