この記事をまとめると
■国産車の価格が全体的に上昇して「高い」と思わせるクルマが増加している■たシビックe:HEVやクロストレックS:HEVは従来の価値観では高額だ
■その価値や魅力を考えれば納得できるものも多い
実用車でも「高い」と感じさせるクルマが増えている
最近のクルマは、原材料費の高騰などもあって、どんどん価格が高くなっている。それとは別に国産車でも超高額車が続々と登場している。たとえば日産スカイラインGT-Rの最高額車のGT-R NISMO Special editionは3061万3000円だ。
それよりは一般的なトヨタ・アルファード/ヴェルファイアにしても、PHEVのExecutive Loungeに至っては1065万円である。アルファードに最近加わったベースグレードのXが501万円からだから、同じモデルで倍以上の値段のグレードがあるということだ。
しかし、そうした国産超高額車じゃない一般ユーザー向けの実用車でも、ホンダWR-Vやスズキ・フロンクスのような、タイ生産でコストダウンをはかり、内容や走りにも十分に満足できる、この時代にリーズナブルと思えるクルマがある一方、以前の価格感からすれば「ちょっと高いんじゃね?」と思える車種がある。

たとえば、かつては国産大衆車のパイオニアだったホンダ・シビック。いまでは全長4560mmはともかく、全幅は1800mmの堂々たるサイズで、そのワイド&ローのスタイリングの迫力はクラスを越えたものといっていい。が、その主力グレードとなるe:HEVモデルのe:HEV EXグレードの価格は400万円オーバーの430万7600円だ。

買いたくてもなかなか買えないタイプRの500万円近い価格に比べれば70万円ほど安いものの、昭和生まれの人にしてみれば、「シビックが400万円オーバーの時代かっ」、とため息が漏れるかもしれない。シビックがいまのスタイルになった2017年7月に、約7年ぶりに日本市場に再投入された英国生産となる10代目のハッチバックモデルの国内価格は、逆輸入車でも約280万円スタートだったのだから。

高いものにはワケがある
いまの自動車業界で大きな話題となっている、スバル史上最高の燃費性能を実現したストロングハイブリッド搭載のクロストレックは、アイサイトXを標準装備するPremium S:HEV EXがこれまた400万円オーバーの405万3500円となる。

水平対向エンジン+シンメトリカルAWDの組み合わせでWLTCモード18.9km/Lの燃費は、スバルファンにとって念願かつ大歓迎に違いはないが、インプレッサの価格が301万4000円スタートであり、兄貴分のレイバックのアイサイトXが付くLimited EXですら400万円を切るのだから、パワーユニットの大きな違いを理解した上でも、クロストレックのストロングハイブリッドモデルはけっこう高いという印象を受けるのではないだろうか。当然、価格が接近するレイバックとの間で悩めることにもなりそうだ。

国産コンパクトカーでも、うっかりしていると新車の見積書にびっくりするような金額が表示される車種もある。

と、国産車も高くなった……と嘆かざるを得ない今日このごろだが、ちょっと待てよ!! である。上記のシビックe:HEVモデルは、たしかにシビックのハイブリッドモデルではあるものの、その実態はかなりスポーティで、サーキットで走らせても楽しすぎる、実用的でありながら、すべての操作系に一体感ある、走り好きの心を高揚させるほどの、自動車の専門家お墨付きのスポーティモデルなのである。
なにしろ2025年1月10日に発表された、2025北米カー・オブ・ザ・イヤー受賞車でもあるのだ。シビックの過去のイメージからすれば、e:HEVモデルの価格は確かに安くはないが、それに見合う内容といっていい。走り好きの人ほど満足度が高い1台でもあるのだ。

一方、クロストレックにしても、現行モデルはストロングハイブリッドの登場以前から、歴代スバル最上の乗り心地を実現し、シンメトリカルAWDにはXモードも備わるコンパクトオールラウンダーとして高い評価を得ている1台だが、スバルファンにとって念願のスバル史上最高の燃費性能をスバル初のストロングハイブリッドで実現したわけで、価格を超えた魅力、価値を備えていることになり、これまでスバルのクルマを認めていても、燃費性能で購入を躊躇していた人にも納得の1台となったことは確かだ。

ストロングハイブリッドとアイサイトXの搭載ともなれば、クロストレッククラスでも400万円オーバーという価格は、その燃費性能、オールラウンダーとしての性能、驚異的な快適性を含む内容から、まったくもって高すぎることはないと思えたりもする。