この記事をまとめると
■中国のBYDは2025年度日本事業方針発表会で新型BEVバスを公開した■BYDの新型バスは「中型路線バス」規格に合わせた日本市場専用設計
■バス事業者にとっては選択肢の多いBYDのラインアップは頼もしい
BYDが日本専用設計のBEVバス「J7」を発表
中国BYDオート(比亜迪汽車)の日本法人となる「BYDオート・ジャパン」は、2025年1月24日に東京都内で「BYD 事業方針発表会2025」を開催した。BYDグループの進捗、BYDの日本市場での事業展開及び今後の事業方針発表、乗用車事業の振り返りと新型BEV(バッテリー電気自動車)「シーライオン7」の詳細及び今後の事業方針、商用車事業の振り返りと新型BEVバス「J7」の詳細及び今後の事業方針が発表された。
シーライオン7はすでに、「東京オートサロン2025」でお披露目されていたのだが、BEV路線バスのJ7はまさにこのイベントで初披露された。
J7はいわゆる「中型路線バス」規格に合わせた日本市場専用設計となっている。人口減少に歯止めのかからないなか、利用客の減少傾向が続く日本の路線バス業界。それでも、輸送量減に対応させるかのように従来の大型路線バスから中型路線バスにダウンサイズして路線維持を図るとともに、大型よりはボディが小さく運転しやすいと運転手から好評なこともあり、すでに東日本地域では積極的に中型路線バス車両の導入が進んでおり、将来的には中型路線バスが日本全国で主流になるのではないかともいわれている。
しかし、日本の主要バスメーカーでは、中型車両でBEVは存在しない。中型BEV路線バスはEVモーターズジャパンや、オノエンスターがすでに日本国内でラインアップしているなか、満を持してBYDが日本国内に投入してきたことになる。

事業方針発表会では「日本国内でのBEVバスシェア70%」とアピールするBYDが中型BEV路線バスをラインアップしたことで、BEV中型路線バスをラインアップしていない、日本の主要バスメーカーの今後の動きも気になるところ。
事業者にとってBYDは心強い存在となりつつある
多くの路線で今後代替えや新規導入時には中型路線バスへ移行していくのではないかとされるなか、全国では朝夕の通勤・通学ラッシュ時を中心に沿線地域に事業所や学校が多いことなどで大変混みあう路線というものも少なからず存在している。従来は増便などで対応していたが、「働き手不足」もあり、「連節バス(車体が2連以上つながっているバス)」の導入も注目されている。
しかし、現状で連節バスはHEV(ハイブリッド車)があるものの、ICE(内燃機関)バスしか存在しない。連節バス導入では一般のバス車両より現状では許認可が大変なのだが、必要性が増せば徐々に改善されていくのではないかと考えている。

高齢化が加速し、そのなか若い世代では運転免許をもたない人が地方部でも増えており、いままでは「マイカーが唯一の移動手段」ともされていた地方部でも、現状に比べると将来的にはバス需要が戻ってくるのではないかという説もあるが、なかなかその将来は見通すことはできない。
ただいえることは、乗用車はともかくとしてバスやタクシーなど公共輸送機関車両のゼロエミッション化というものは日本とて避けてはとおれなくなってきている。

なお、会場でBYD関係者に聞くと、現状では日本でのタクシー向けBEV車両(海外ではe6というモデルがある)の導入は考えていないとのこと。また、先日インドの首都デリーで開催された、「オートエキスポ2025」にて韓国ヒョンデは地元スタートアップ企業と組んで、BEVリキシャ(小型三輪タクシー)や小型四輪タクシーのコンセプトモデルを発表し、「ラストワンマイル輸送車両」への参入を匂わせていたが、ラストワンマイル輸送系モデルについては、日本市場以外でも検討していないとのことであった。