この記事をまとめると
■大阪オートメッセ2025にAZが出展



■ポルシェ911とミニ専用のオイルを展示している



■会場で商品の特徴について聞いた



ポルシェ911とミニ専用のオイルをリリース!

東大阪といえばボルトやねじなど工業製品に欠かせないハードウェアの、昔からの一大生産地。そこで1955年に創業し、機械用の潤滑油やケミカルなどを手がけてきたAZが、ポルシェ911専用そしてオリジナルのミニ専用オイルをこの春にリリースする。



ポルシェのフラット6は年式や排気量にもよるが、エンジンオイルは1回の交換につき10リットル前後も要るという、ほぼ油冷であることは知られた話。

またミニのAタイプも年式を問わず、エンジンとトランスミッションで同じオイルが潤滑するという構造。いずれもエンジンオイルにはとくに過酷で、負担の大きい車種、しかしヒストリックカーとして定番の人気モデルといえる。



車種専用オイルって普通のオイルと何がどう違う? 911&MI...の画像はこちら >>



「エンジンに用いられているゴム類、ガスケットやパッキンですね。これらを傷める可能性を可能な限り低めて、パーツ寿命を延ばしてエンジン保護性能を高めるという考え方です。エステルオイルには膨大な種類があるのですが、それらを研究し尽くすことで911純正のシールやパッキンに最適化したエンジンオイルとなっています。ミニ専用オイルについても考え方は同じですが、それぞれのレシピが違うんですね」と、AZの営業企画部の課長代理氏は説明する。



車種専用オイルって普通のオイルと何がどう違う? 911&MINI用オイルをリリースするAZブースで聞いた【大阪オートメッセ2025】
AZブースの展示



鉱物油とエステルオイルを配合した半合成オイルである点も、20W-50という粘度も同じだ。高負荷時にエンジンが熱で変形した時、ある程度のすき間を吸収するのがガスケットやパッキンだが、これらが硬化して劣化しているとオイルが漏れ、ひいてはエンジンに過重な負荷がかかる。だからAZの911あるいはミニ専用のオイルは、潤滑性能や高温での耐酸化安定性、耐久力や油膜形成能力といったパラメーターのみならず、ゴム製パーツへの攻撃性の低いエステルオイルをテストした上で選んでいるというのだ。



優しいオイルを用いることで漏れを防ぐ

では911用のエンジンオイルを、たとえばほかのヒストリックカーの多気筒エンジンに用いることは可能か? といえば、そうではないと、課長代理氏は述べる。



「特性として、合致するというか適合するクルマがあるかもしれませんが、今回の911専用オイルはあくまで911のフラット6に合わせたもの。だから違うクルマに入れてみて、オイルとして性能が100%発揮できるか? というのはわからないです」



車種専用オイルって普通のオイルと何がどう違う? 911&MINI用オイルをリリースするAZブースで聞いた【大阪オートメッセ2025】
AZブースの展示



確かに、水平対向エンジンはシリンダーが水平であるぶん、オイルが漏れやすく、ビッグボア×ショートストロークゆえのシーリングの難しさもある。

‘エンジンに優しい’という特徴は、よくエンジンオイルで謳われるものではあるが、それは目的ではなく、優しいオイルを用いているからこそ、ゴムパーツへの負担が少なくて結果的にオイル漏れがしにくい、というのがAZの発想でもある。



気になる価格だが、「専用に研究開発したものですから、相応の価格になります。もうすぐ決まりますが、まだ未定のところです」という。ブースで配布されていたカタログでは、レースやサーキット走行を前提としたカテゴリーの低粘度・高規格のオイルが4リッター缶で7000円弱だが、911用もミニ用も、それよりは高くならざるを得ないという。



車種専用オイルって普通のオイルと何がどう違う? 911&MINI用オイルをリリースするAZブースで聞いた【大阪オートメッセ2025】
AZブースの展示



とはいえヒストリックカーの維持は、長くなってくるほど消耗パーツとの闘いでもあるし、エンジンブロックの腰下を下ろすような重整備は、一般的にはそうそう頻繁に可能でもない。ブースに置かれていたイエローゴールドのナロー、911Eはレストア中。東京オートサロン時との違いは、リヤブレーキが付けられたことぐらいだそうで、キレキレに美しい仕上がりのボディといい、今後が楽しみだ。一方で本社から会場まで自走で来たというもう一台の営業車にしてデモカー、ミニは、油染みひとつないピカピカのエンジンルームに、ボディ下にはミラーまで置いてオイルパンまで披露していた。なるべくいいオイルを入れておくのに、越したことはないのだ。

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