この記事をまとめると
■かつてカムリの2ドアクーペ&コンバーチブル「カムリ ソラーラ」が北米でのみ販売された



■セクレタリーカーとして人気を博し、2代目ではさらに大型化し高級感を増した



■SUVブームとクーペ人気の低迷によって2009年に生産終了



北米限定でかつて存在したパーソナル色の強いカムリ

トヨタ・カムリといえば、日本国内でも長きに渡って販売されていた4ドアセダンだ。日本国内市場においては、2023年12月下旬をもって販売を終了してしまったけれど、海外市場ではいまなお現役。アメリカ・カナダの北米市場や中国を中心に、多くの国や地域で販売される世界戦略車だ。



2024年から販売されている現行モデルは、通算11代目。ハンマーヘッドと呼ばれるデザインを採用したフロントマスクや、2.5リッターハイブリッドを中心としたパワートレインなどから連想されるとおり、「プリウスの兄貴分」というのがカムリの立ち位置だ。



トヨタ・カムリに「クーペ」と「オープン」が存在した! クルマ...の画像はこちら >>



FFセダンらしい車内空間の広さや、優れた経済性を特徴とするカムリはビジネスパーソンやファミリー層から多くの支持を集めたが、かつてはヤング層をターゲットとした2ドアクーペやコンバーチブルも存在していた。それが1999年から2009年まで販売された「カムリ ソラーラ」だ。



トヨタ・カムリに「クーペ」と「オープン」が存在した! クルマ好きでも知らない「カムリ ソラーラ」って何者?
初代カムリ ソラーラのフロントスタイリング



初代カムリ ソラーラが登場したのは、1998年秋のこと。当時のカムリは5ナンバーサイズを頑なに守った日本仕様と、よりゆったりとした室内空間が求められた北米市場では異なる車体が用いられており、カムリ ソラーラのベースとなったのは後者の北米仕様のほう。なお、この北米仕様カムリは3ナンバーサイズのボディを持つ「カムリ グラシア」として、日本市場へも導入されている。



セダンの車体を共有するかたちで開発された初代カムリ ソラーラは、のびやかなスタイリングをもち、ボディタイプは2ドアクーペとコンバーチブルが用意されていた。北米トヨタにて生産および販売が行われ、エンジンはセダンと同様に5S-FE型2.2リッター直列4気筒と、1MZ-FE型3リッターV型6気筒の2種類を搭載した。



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初代トヨタ・カムリ ソラーラのリヤスタイリング



駆動方式はFFのみで、トランスミッションは4速ATのほか5速MTも用意された。決してスポーティカーのように運動性能を高めたモデルではないものの、そのスタイリッシュなフォルムと優れた実用性、経済性が、アメリカのヤングエグゼクティブ層を中心に「セクレタリーカー」として人気を高めていった。その後、2001年にはビッグマイナーチェンジが行われ、直列4気筒エンジンが2AZ-FE型2.4リッターへと変更されている。



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初代トヨタ・カムリ ソラーラのフロントスタイリング



2代目では高級感をさらに高めるもクーペ人気の失速により消滅

2006年にはフルモデルチェンジが行われ、2代目カムリ ソラーラが登場。初代モデルに比べてスペシャリティ感が高められており、ボディバリエーションもクーペとコンバーチブルの2種類を引き続き揃える。



ツリ目状のヘッドライトを中心としたアクの強いフロントマスクが特徴で、ボディサイズは全長4890×全幅1816×全高1425mmへと、初代モデルからふたまわりほど拡大。電動開閉式ソフトトップを備えるコンバーチブルは全高が10mm高く1435mmとなっていた。



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2代目トヨタ・カムリ ソラーラのフロントスタイリング



エンジンはクーペ/コンバーチブルとも共通で、直列4気筒とV型6気筒の2種類。直4は2AZ-FE型2.4リッターが継続されたが、V6は3MZ-FE型3.3リッターDOHCへと変更。トランスミッションもマニュアルモード付き5速ATが新たに設定された。



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2代目トヨタ・カムリ ソラーラのインテリア



その後2007年モデルでは、フォグランプ形状やリヤエンブレムが変更されたほか、リヤコンビネーションランプのLED化などアップデートが行われている。



初代モデルに比べて内外装の質感を大幅に高めた2代目カムリ ソラーラだったが、ターゲットとしていた若年層の人気の中心がSUVやクロスオーバーへと変化していったこともあり、2009年で生産を終了。後継車種は設定されず、2代に渡ったモデルライフを終焉を迎えた。



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2代目トヨタ・カムリ ソラーラのリヤスタイリング



カムリ ソラーラは北米市場専用モデルではあったが、2代目モデルは「日本国内では未発売の国産メーカー車」として一時期注目されたこともあり、並行輸入というかたちで上陸している車両もある。中古車情報サイトによると、2025年2月時点での販売車両はわずか1台。

いまや希少な存在の4シーター・コンバーチブルだけに、味わってみるならラストチャンスといえそうだ。

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