この記事をまとめると
■工事現場などで見かけるカラーコーンは強風や水害の際に道路上に倒れる恐れがある



■最近では強風や水害に強い穴が開いたカラーコーンが登場した



■穴が開いていることで不審物の有無を確認しやすいとして2023年のG7サミットで使用された



カラーコーンは強風や水害に弱い

普段はまったく混むこともない道なのに、どうしてこんなところで渋滞しているのだろう? と不思議に思っていると、ノロノロと進んでいる原因はなんと、道路上に倒れていたカラーコーン。工事現場やイベント会場、駐車場などでよく見かける、円錐形で赤や青、グリーンなどの色が一般的な、区画をわかりやすく分けるために使われることが多いカラーコーン。



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歩道から車道に出るための切り出しを行う工事のために設置されたカラーコーンが倒れ、車道の片側を塞いでいたために、対向車が来ないときを狙って反対車線にはみ出してカラーコーンを避ける必要があり、大渋滞となってしまっていたのでした。



カラーコーンには、風で倒されたり雨で流されたりしないよう、3kgほどのウエイト(重し)がついていましたが、それでも強風や大雨などで倒れてしまうことがあります。また、近年はSUVのように運転席のアイポイントが高く、直近の低いところが死角になるクルマが増えていることもあるのか、クルマがぶつかって倒されたり踏まれたりして壊れているカラーコーンを見かけることも多くなりました。



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破壊されたカラーコーン



穴が開いたことで得られるメリットはたくさんある

そんななか、ある日に見かけたのが何個も穴があいているカラーコーン。まるで虫に喰われた葉っぱのよう? 近づくとカラーコーンのなかも向こう側も丸見えではないですか。



じつはこれ、従来のカラーコーンの弱点を克服しようと、最近増えている「穴あきコーン」なのです。円錐形で、夜間にクルマのライトに反射するリフレクターがボーダーカラーのようにペイントされているのは変わりませんが、下部、中間、上部にそれぞれ握り拳程度の大きさの穴が複数あいています。なぜ、穴があいているのか、その理由は意外なものでした。まずは、風に強くなること。風速17.2km/秒以上を台風と呼びますが、それよりも強い風速31.3km/秒でも倒れないというからすごいですよね。



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(株)カーボーイが販売する「穴あきコーン」



次に、穴があいているため水の抵抗を軽減してくれて、くるぶしよりも上に雨水がきてしまうような大雨でも流されにくく、水害にも強いとされています。さらに、一見すると従来のカラーコーンのように硬い素材に見えるのですが、ぐにゃりと潰れてもすぐに元に戻る柔軟なPVC素材で作られているため、クルマが踏んでしまっても壊れにくいというメリットもあります。これなら、駐車場に設置しておいても安心ですね。



また、この穴あきコーン、2023年に広島で開催されたG7サミットでも、交通整理に使用されました。というのは、カラーコーンの内部に爆発物を仕掛けたテロなどが報告されているため、穴があいていることで外からでも不審物の有無が確認しやすく、警備時の負担を軽減してくれるというのです。この点では、色がついていない透明な「まる見えコーン」も存在しますが、これならいちいちカラーコーンをもち上げて内部に不審物がないかどうかを確認しなくても、目視で確認できて安心ですね。



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道路に置かれた穴あきコーン



というわけで、カラーコーンの穴はさまざまな利点を生み出していました。今後も、工事現場などで穴あきコーンが増えていくのではないでしょうか。

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