この記事をまとめると
■ソニーホンダが手掛けるアフィーラワンの価格と大まかなスペックが判明した■ライバルはメルセデス・ベンツやアウディやテスラのフラッグシップが該当する
■スペックだけでなくデザインやブランドという全体で見ると価値があるクルマといえる
ついにアフィーラの価格が判明するも……
ソニーとホンダがコラボしたソニー・ホンダモビリティが開発を進めてきた電気自動車「アフィーラ」シリーズの最初のモデルとなる「アフィーラワン」の発売が近づいている。すでに北米ではアフィーラワンの標準グレードの価格が8万9900ドル、実質的なローンチエディションとなる「アフィーラワン・シグネチャー」の価格が10万2900ドルと発表された。
加えて、ボディサイズや最高出力、バッテリー総電力量などのスペックも公表されている。
それでも、日本円換算で1364万~1544万円という価格帯に対して、航続距離が500km足らずというのは「コスパが悪い」という指摘を見かけることは多い。
実際、アフィーラワンと同等の車格、価格帯のEVはどのような性能をもっているのだろうか。
アフィーラワンのボディサイズ(北米仕様)はインチ表示でのみ発表されているので、見慣れたミリ表示に換算すると、全長4915mm・全幅1900mm・全高1460mm・ホイールベース3000mmとなる。いうまでもなく、そのスタイルはサルーン的だ。

こうしたボディで、1500万円前後という価格設定は、日本で購入できるEVを見渡すと、メルセデスEQS、アウディe-tron GT、そしてテスラ・モデルSといった、各ブランドのフラッグシップに近い。
まずは、こうした海外のEVと、表を介してスペックを比べてみよう。

おおよそで価格を揃えると、EQS450+のみRWDとなってしまうが、アフィーラワンを含めた3台は前後にモーターをもつAWDとなる。そして、こうして数字を並べると、たしかにアフィーラワンのバッテリー総電力量や航続距離性能は他車に見劣りする。
最高出力についてもAWD勢のなかでは控えめなスペックとなっているのは間違いない。もっとも、アフィーラワンの最高出力360kWは約490馬力であって、日常的にこれほどのパワーが必要かといえば疑問であり、公道を走っているぶんには違いを感じないレベルの差かもしれないが……。

スペック以外のところで価値を得られるクルマに
いずれにしても、数字で比較すると、テスラ・モデルSのコスパが抜群であるように思えるのは事実。

しかし、アフィーラワンはソニー・ホンダモビリティにより企画された製品であり、ブランドイメージとしてはSONYのイメージが強く、事実上「SONYカー」といえるのが実情だ。
そんなわけで、2025年3月17日までアフィーラワンの実車は、2025年1月にグランドオープンしたばかりの銀座ソニーパークに展示されている。はたしてアフィーラワンは単にコスパの悪いEVなのか、ソニーパークの屋上、青空の下で実車を見ながら考えてみた。
銀座ソニーパークに展示されているのは米国モデルをベースにした左ハンドル仕様。インテリアを覗き込むとインパネ全面がディスプレイで覆われている様子は、家電メーカーであるSONYカーらしい雰囲気。ステアリング形状がヨーク式なのはテスラを意識した要素といえそうだ。

そんなアフィーラワンのスタイリングはとにかく独特だ。ドアのアウターハンドルがない点や、ルーフなどに目立つセンサーがボディ各所についている様は、ほかのフラッグシップEVが凡庸に見えてしまうほど「新しさ」を感じさせる。前後バンパー以外にキャラクターラインが目立たないスタイリングも、旧来の自動車メーカーではなく、SONYというブランドがデザインしたEVという雰囲気を強く感じさせる。

思えば、ウォークマンのころからSONYの製品はスペックやコスパで比較すべきではないというイメージが強い印象があった。
「SONYカー」であるアフィーラワンも、そうしたウォークマンの時代からのSONYブランドらしさを受け継いでいる、というのが実車を見ての正直な感想。スペックで比べるのではなく、このスタイリングとともに生活をしたいと感じるユーザーが購入するのであれば、航続距離や最高出力など些末な違いといえるのかもしれない。