この記事をまとめると
■トヨタ・カローラアクシオ/フィールダーが2025年10月に生産終了する■カローラアクシオ/フィールダーの継続販売は高齢者ニーズを意識したものといわれている
■トヨタ教習車も生産終了するため今後の代替モデルが気になる
日本最後(?)の5ナンバーサイズセダンが消える
日本国内でトヨタ・カローラシリーズ12代目がデビューしても併売されていたシリーズ通算11代目となる2代目トヨタ・カローラアクシオ(含むステーションワゴンのフィールダー)について、トヨタから2025年10月をもって生産終了することが発表された。
現行12代目が、グローバルモデルよりボディサイズが小さいながらも、国内仕様でも3ナンバーサイズとなるなか、5ナンバーサイズの標準仕様にてMT(マニュアルトランスミッション)を残したアクシオ&フィールダーは継続販売されていたのである。周囲のクルマがAT(オートマチックトランスミッション)のみとなるなかでも、カローラは通算11代目となる2代目アクシオ&フィールダーまでMTが用意されていた(現行モデルはデビュー当初こそターボモデルにMTが用意されていたが、いまではターボもなくなりMTが残るのはGRカローラのみとなっている)。
標準仕様でもMTを残してきたのは、カローラユーザーの高齢化というものがキーワードとなっていた。広く日本全国を見渡せば、いまだにMT車にこだわる高齢ドライバーが存在する。そのような高齢ユーザーへ向けたニーズを意識したものともいわれている。
筆者の父親もいまは運転免許を返納しているが、定年退職するかしないかといったころに、それまではMT車しか乗らなかったのだが、初めてAT車を所有することとなった。当時は足踏み式パーキングブレーキが主流だったのだが、当初はそれをクラッチと勘違いして思い切り踏み込んだりしていたことをいまも覚えている。

日本国内では最終モデルとなった4代目日産マーチは2010年から12年間ラインアップが続いた。当時ディーラーで話を聞くと、マーチ以外のモデルではさまざまな先進装備が加わっているので、説明しても受け止めてもらえない高齢のお客も多いなか、昔ながらのシンプルなマーチをそういった高齢のお客によく勧めていたと聞いたことがある。

もちろん、なんなく最新装備を使いこなす高齢のひともいるが、そのようなもののないシンプルなモデルをほしがるひともいたのである。しかし、いまどきは、「高齢者」といわれる世代のひとたちもすでに「団塊の世代」がかなり含まれるようになった。そのような世代のひとでも街を見れば多くのひとがスマホ(スマートフォン)を使いこなしており、すでに「お年寄りだから」という配慮は商品ラインアップでは極端に意識する必要もない時代になってきているようにも思われる。
今回のアクシオ&フィールダーの生産終了もさまざまな事情はあるのだろうが、前述したような社会的な背景の変化もあるのかもしれない。
次世代教習車はもしかしてクロスオーバーSUV?
アクシオ&フィールダーは、近年では法人営業車としても活躍していた。

さて、今回の生産終了では、「教習車」も同時に生産終了になるとのこと(教習車もあったのでMTが残っていたのかもしれない)。日本ではセダンが天然記念物のように貴重な存在となるなか、いまだに教習車といえばセダンが目立っている。
ただ、筆者の生活圏にある某教習所ではカローラ・フィールダーを教習車に使っていて驚いた。教習車はアクシオ(フィールダーも)のほかに、マツダの教習車も目立っている。一般乗用車としては国内でラインアップされていない、マツダ2セダンをベースにした教習車がタイから輸入販売されている。

どの車両を導入するのかについては、それぞれの事情があるのだが、アクシオ(フィールダー)の教習車を導入する教習所の傾向としては、とにかく標準教習時間内でどんどん卒業させ、教習生の回転をよくしたいという目的もあったと聞く。
2代目アクシオ&フィールダーは、高齢化していく「カローラユーザー」という傾向もあり、グラス面積を大きくとり、「見切りのよさ」を重視したデザインとしたと聞いている。筆者も2代目アクシオを前期型、後期型と2台乗り継いだのだが、とにかく見切りがよく運転がしやすかったのを覚えている。仕事柄他車を運転する機会もあるのだが、なかには必要以上に見切りの悪さを感じてしまうモデルもあった。

過去にはトヨタ・クラウンコンフォートの小型タクシー版となる「トヨタ・コンフォート」の教習車を導入する教習所もあったが、当時の一般的なモデルに比べAピラーが極端に立っているなどとして、コンフォートで教習して運転免許を取っても、愛車を運転すると勝手が異なって苦労したといった話も聞いたことがある。
アクシオ(フィールダー)はそこまで特殊なボディスタイルではないものの、教習生の回転がよくなるといわれるほど、ある意味運転のしやすさはあったようだ(いまは滅多に教習時間オーバーということはないようだが……)。

筆者の子どものころは、フロアシフトが当たり前でも、教習車はマニュアルコラムシフトのクラウンスタンダードなどであった。その当時のほうが教習と免許をとってからの実際の運転するクルマでの乖離が大きかったようにも思える。
筆者が18歳で免許をとった30数年前、通っていた教習所は2代目と3代目のトヨタ・クレスタが教習車だったので、周囲に住む若い世代はこぞってそこの教習所を選んだ。ただ、4ドアピラードトップを採用する2代目が、少しでもガラスがビビると「ノッキングした」として「見極め」がもらえないことが多かった。そのため、「見極めのときはドアサッシュのある3代目に……」と祈っていたことを思い出した。

いまのトレンドをみると、セダンはすでに絶滅危惧種のようになっているし、「それではハッチバック」といった雰囲気もない。となると、これからの教習車はクロスオーバーSUVというのが理想的なのかもしれない。トヨタ車でたとえれば、ヤリスクロスやカローラクロスあたりになるのだろうか。それとも3ナンバーの現行カローラ・セダンベースの教習車となるのだろうか? アクシオ&フィールダーの生産終了を聞いて、ふとそちらが気になった。