顔が判別できない場合は出頭通知が来ないこともあるが……
速度違反自動取締装置、いわゆるオービスで速度違反をした瞬間を撮影されると、1週間から1カ月ぐらいの間に、警察から当該車両の所有者に出頭通知書が届く。警察では、オービスが撮影した写真に写ったナンバープレートからクルマの所有者を特定し、出頭通知書を送る。そのため出頭通知書が届いた時点で、写真には鮮明にナンバープレートが写っていたと考えられる。
しかし、ナンバープレートが判読できるだけでは証拠としては不十分で、もうひとつ、運転者を特定することができないと、免停や罰金などのペナルティを与えることはできない。そのためには、オービスが撮影した写真に、運転者の顔がはっきりと写っていることが条件になる。
したがって、マスクやサングラスなどで人物を特定しにくい場合は、撮影されても出頭通知が来ないケースもあるという。逆にいえば、出頭通知が来たということは、違反者を特定した自信があると考えてもいい。
しかし、実際に出頭して見せられた写真がマスクやサングラスを着用していたことで、第三者から見て自分だと特定しにくいものだとしたら……。これはもう、本人が「この写真に写っている運転手は私です」と認めるか、それとも否認するかにかかってくる。認めない場合、「では、この運転手は誰なのか」と取調官から問われるだろうが、そのドライバーを特定するための捜査に協力する義務はない。
故意に顔を隠すなどしていた場合は捜査し逮捕に至るケースも
出頭したクルマの所有者が、あくまで「ドライバーは自分ではない」と主張した場合、警察がその証拠写真で裁判に勝てそうだと判断すれば起訴されて裁判所が判断する。逆に出頭者が認めない以上、裁判をやっても勝てそうもないと判断すれば不起訴になる。

出頭すると警察の取調室で事情を聴かれるので、相当なプレッシャーがかかるはずだが、運転者を特定するための証拠として不十分だという確信があれば、否認し続け裁判所の判断を仰ぐしかない。
なお、出頭通知そのものを無視し続けると、最悪、逮捕されることもあり得るので、必ず出頭には応じること。そのうえで、自分の主張をはっきり伝え、都合の悪いことは答えなくても問題ない。
筆者周辺で調べてみると、出頭しマスクやサングラス、サンバイザーなどで顔の大半が隠れていた写真を見せられ、本人確認を否認した場合、不起訴で終わったという経験者が何名かいた。だが悪質な違反者、例えば顔を隠して、何度もオービスを光らせたというような違反者は、周辺捜査を行ってオービス以外の証拠を固め、逮捕されたというニュースも過去にいくつかあった。

したがって、顔が写っていなければ検挙されないとは言い切れないので要注意だ。言うまでもなく、オービスを光らせるような速度では走らないことが一番であり、普段から安全運転を心がけることを忘れないようにしよう。