本来は車検場との往復などに使用するためのもの

ナンバープレートに赤い斜線が入ったものを見たことがあるだろうか。これは仮ナンバーと呼ばれるもので、車検がなくても付けていれば走ることができる。というのが仮ナンバーに対する認識なのだが、実際の利用にはかなり制限がある。



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正確には臨時運行許可と呼ばれ、個人でも取得はできて、書類としては本人確認と自動車の存在を確認できるもの。後者は期限切れの車検証や抹消登録証明書などで、登録に必要なものと思っていい。そして万が一に備えて、自賠責保険に加入していなくてはならない。



使用できる期限は最小限に限られ、最長で5日間。返却も有効期限終了後5日間以内に返却しなければならず、遅れると20万円以下の罰金となることもある。発行は市役所や区役所などで、走る経路がその管轄内でなくはならないなど、条件はかなり厳しい。



またディーラーや整備工場など、専門業者向けには回送運行許可というものがある。見た目は似ているのだが、いわゆるディーラーナンバーと呼ばれるもの。1枚を複数台で使い回せて有効期間は最長5年となる。プロの場合は車検なしで公道を走ることも多く、いちいち申請する手間を省くためのもので、自賠責もナンバーに対してかけるので、車両それぞれにかける必要はない。かなり融通が効かされているというか、便利なのだが、ディーラーナンバーの許可基準はかなり厳しく、扱う台数や業者間の契約状況など、細かく規定されていている。



車検切れのクルマを仮ナンバーで普通に走らせる事例が多発

細かい規定があるのには理由があって、じつは仮ナンバー、ディーラーナンバーどちらも、以前いろいろと問題があったため。



仮ナンバーは車検、登録のためにしか使えないのだが、イベントやツーリングへの参加という、本来の目的とは異なる使用例が見られ、さらには返却しない例も多かった。とくに旧車イベントでは、仮ナンバーを付けたクルマはよく見かけたもので、当然車検を受けていないから、違法改造も多かった。ちなみに現在はイベントへの参加条件に仮ナンバー不可などが入れられて、対策は進んでいる。



話題となった「仮ナンバー問題」! 車検切れ車を合法的に動かせる許可証の「悪用」とは



ディーラーナンバーも目的外に使われることがあったり、自動車メーカーが公道テストに使用して問題にもなったりした。そのため、現在では許可は厳しくなり、取り締りも厳しくされている。本来の目的で、しかも最小限の運行に使用すれば問題はないが、チェックされるわけではないので、悪用も増えがちだ。



ちなみに2輪車も250cc超えは車検があるので、4輪同様だが、それより小さい排気量については試乗用標識というものが用意されている。こちらの形式はバラバラで赤い斜線に試乗用と入っていたり、試だけや商品など、表記はかなり異なる。また、オートバイ専門店の店頭を見て気がついた方もいるかもしれないが、ずっとつけっぱなしの車両があったりする。クルマ用からすると、「返却しないのはダメじゃないの?」と思うが、こちらは借りた年の年度末までは有効なので、問題はないのだ。

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