先進運転支援システムにおいては日産が一歩リードしている

かつて日産自動車は「技術の日産」と呼ばれていた。いや、いまでも技術オリエンテッドなブランドというイメージは強い。2017年に矢沢永吉さんが出演したCMでの『ぶっちぎれ 技術の日産』というキャッチコピーを覚えているという人も多いだろう。

とはいえ、完成検査の不正問題もあり、技術に真摯というブランドイメージが崩れた部分もあったりする。現在の日産に誇るべき本物の技術はあるのだろうか。



他社に差をつける4つの技術をピックアップして紹介しよう。



1)前方衝突予測警報

ADAS(先進運転支援システム)が重視される時代において日産が誇るオンリーワンといえるテクノロジーが「インテリジェント FCW」、日本語で記すと「前方衝突予測警報」と呼ばれる機能だ。いま普及しているAEB(衝突被害軽減ブレーキ)は基本的に目の前を走る車両との距離や相対速度を測定して、衝突の危機を検知するというものだ。つまりドライバーから見える範囲の検知であって、人間側がノーミスであればAEBは作動しないというのが基本になっている。しかし、日産の「インテリジェント FCW」はフロントバンパー下部などに取り付けられたミリ波レーダーにより前方とその前、2台の車両との距離を計測することができる。



「技術の日産」を堂々名乗るにはワケがある! 他社の追随を許さ...の画像はこちら >>



たとえば、目の前をトラックが走っていて、先の状態が見えづらいときにトラックの前を走るクルマが急ブレーキをかけたといったシチュエーションであっても、インテリジェントFCWがあれば、見えないクルマの急減速をクルマが警報を出して知らせてくれるのだ。つまり、いわゆる玉突き事故を回避する可能性が出てくる技術といえる。しかも作動速度は5km/h以上、市街地などで飛び出しによって2台前のクルマが急ブレーキをかけたといったことも警報で知らせてくれるというのもうれしい。まさに技術の日産と呼びたくなるテクノロジーで、それを軽自動車にまで展開しているのも良心を感じさせる。



「技術の日産」を堂々名乗るにはワケがある! 他社の追随を許さないクルマの「圧倒的技術」4つ



2)ハンズオフ

ADASといえば、2020年はハンズオフ(手放し)走行が話題になった。2020-2021年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したスバル・レヴォーグもハンズオフが可能になった「アイサイトX」を高く評価する声がある。しかし、日産のハンズオフ可能な運転支援システム「プロパイロット2.0」は、そうしたライバルの一歩上を行く技術となっている。

なにしろ、スバルやBMWのADASがハンズオフ可能なのは渋滞時のみとなっているが、日産のプロパイロット2.0は120km/hという国内で許される制限速度のマックスまでハンズオフを可能としているのだ。まさしく「技術の日産」といいたくなる先進性だ。



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そもそも「プロパイロット」はデビュー時に自動運転技術としてライバルをリードする先進技術であることをアピールしたいのだから2.0へとバージョンアップしたプロパイロットがより先進的であることは自然な話。もっとも、史上初となる自動運転レベル3の量産化という栄冠は、ホンダ(レジェンド)に取られてしまった。こうしてメーカー間で自動運転テクノロジーを切磋琢磨することで進化の速度はあがるものだし、その中心にはこれからも日産が居続けるのだろう。



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理想的なエンジンやレイアウトなどでも他社を圧倒する

3)VCターボエンジン

自動運転といえば一般ユーザーが想像しやすい夢のテクノロジーだが、エンジニアにとっての夢を実現させたのが、「VCターボ」エンジンだ。エンジンの特性を大きく左右する圧縮比(シリンダー容積と燃焼室容積の比)は通常のエンジンでは固定のスペックであって、可変させることはできない。しかし通常時には圧縮比を高くしたほうが熱効率に優れるし、ピークパワーを出す領域では圧縮比を下げないとノッキングが起きる。つまり燃費やパワーを決める最重要パラメータである圧縮比を自在に切り替えることは理想のエンジンにつながる要素といえる。



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そこで、VCターボエンジンではクランクシャフトとコンロッドの部分にマルチリンク機構を採用することで、ピストンの上死点・下死点位置を連続的に可変させることを可能としている。こうした圧縮比を連続可変できる機構を持つエンジンは量産ユニットとしては世界初であり、現時点では唯一のものといえる。ちなみに、日産の高級ブランドであるインフィニティのQX55などに搭載されているVCターボエンジンでは圧縮比を8:1から14:1の間で無段階に自在に変更することができ、排気量は2.0リッターで最高出力268馬力となっている。



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4)プレミアム・ミッドシップパッケージ

日産スポーツのフラッグシップであるGT-Rにも日産のオンリーワンの技術が投入されている。

ニスモ仕様では600馬力を発生するVR38DETT型V6ツインターボ、雪道からサーキットまでカバーするマルチパフォーマンス4WDなど、その構成要素はトピックスの連続だが、そうしたパワートレインを最適配置しているのが、日産が特許を持つ「独立型トランスアクスル4WD」だ。エンジンはフロントミッドシップに搭載、6速DCTのトランスミッションはリヤデフと一体化したトランスアクスルとして後方に配置、そしてエンジンからトランスミッションまでをカーボンコンポジット製プロペラシャフトでつなぎ、トランスミッションからフロントデフにプロペラシャフトを戻すというレイアウトで構成されている。



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このレイアウトの凄いところは前後重量配分を最適化するというだけでなく、ボディの振動をエンジンやトランスミッションの重量で打ち消しあう設計としている点にある。パワートレインをボディダンパーとして利用するという画期的なアイデアによってGT-Rの基本は作られている。GT-Rの採用する独立型トランスアクスル4WDによるプレミアム・ミッドシップパッケージは「技術の日産」の象徴といえるのだ。



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