軽自動車で小回り性能がよいモデルは少ない!?

「小回りがきくクルマ」と聞いて、皆さんはどんなクルマを思い浮かべるでしょうか? おそらく多くの人が、小さいクルマ、つまり軽自動車を想像したのではないでしょうか。



確かに軽自動車は、全長が3.40m、全幅が1.48m、全高が2.0m以下という規格があるので、ホイールベースが短く、最小回転半径もだいたい4.4m~4.8mくらいの小ささ。狭い路地を曲がる時やUターン、車庫入れの際などで小回りがきくのは間違いのない事実です。



でも、軽自動車のほぼ100%がボディの前方にエンジンを搭載し、前輪で駆動するFF(フロントエンジン・フロントドライブ)か、4輪で駆動する4WDというレイアウトを採用しているため、なかには「もうちょっと小回りが利くと思ったのにな」と、意外にハンドルが切れなかったり、狭い路地を曲がりにくい印象を持つモデルもあるものです。昨今の軽自動車は、なるべく室内を広くしようとメカニズムのスペースを切り詰めていることも、そうした印象につながっているのかもしれませんね。



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もし、本当に小回りのきくクルマを探しているのなら、「RR(リヤエンジン・リヤドライブ)」というレイアウトを採用しているクルマに注目してみてください。世界でもっとも有名な「RR」のクルマと言えば、何といってもポルシェ911。ですが、今年登場したホンダの電気自動車、Honda eがRRを採用したことで話題となったり、フランスのメーカー、ルノーのコンパクトカー、トゥインゴもRR。ポルシェはスポーツカーなので、またちょっと違う感覚ではありますが、Honda eやトゥインゴに乗ってみると、グイっと信じられないほどハンドルが左右に大きく切れて、狭い路地も面白いようにクルクルと曲がれる感覚です。



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とくに、Honda eはコンパクトサイズとはいえ、全長は3895mm、全幅が1750mmと、軽自動車と比べると大きなボディサイズながら、最小回転半径は4.3m。これはトゥインゴも同等ですが、軽自動車より小さいんです。



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RRは小回りだけでなく走りも楽しい!

その秘密は、RRの構造上の特徴にあります。クルマの構造上、もっとも大きく重いものはエンジンとトランスミッションということになりますが、FFの場合は車体前方のボンネット下に収まっているものですね。RRはエンジンが後輪の車軸の真上もしくは後ろに置かれていて、クルマの前方から大きなものをどかしたことで、ハンドルを切った時の前輪の切れ角もたっぷりと余裕を持って取ることができます。



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一般的なFFの乗用車は前輪の切れ角が30~35度くらいと言われていますが、なんとトゥインゴは49度。

これはトラック並みにタイヤがグイッと曲がるということです。しかも、重いエンジンが後ろにあるので、前輪にかかる重量が軽くなる、つまりハンドル操作が軽いというのもメリットでしょう。



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その昔、1960~1970年代のコンパクトカーにはRRが多く採用されていたのですが、その背景は当時まだパワーステアリングが装備されていなかったため、ハンドル操作を少しでも軽くするためや、構造がシンプルで低コストの生産ができ、完成車の整備性もRRの方が良かったから、という理由があったようです。



さらにRRの特徴として、加速力が強いことと、ブレーキ性能がいいというメリットもあります。これは、クルマは加速するときにどうしても後ろに荷重がかかるものですが、エンジンの重量のおかげで後輪が地面にしっかりと接地し、空転しにくくなるので加速力が発揮しやすいこと。そして、ブレーキを踏むと今度はクルマの前方に荷重がかかりますが、この時は重いエンジンが後ろでバランスをとってくれるため、前のめりになりすぎないことでブレーキ性能を大いに発揮できるのです。



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こうした理由から、RRのコンパクトカーは小回りがきくだけでなく、トゥインゴのように0.9リッターという小排気量エンジンでも、びっくりするほどパワフルに感じられ、ロケットのような加速が何度でも味わえるような、乗って楽しいクルマになっています。Honda eの場合は電気でモーターを動かして走りますから、まさにアクセルを踏んだ瞬間にフルトルク加速を得ることも可能。これはもう、病みつきになる楽しさです。



狭い曲がり角やUターン、バックでの車庫入れもスイスイとラクで、運転の楽しさまで手にはいるRRコンパクトカー。ぜひ一度、体験してみてほしいと思います。

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