グロス値とネット値は出力の測定方法に違いがある
エンジンのスペックで問題となるのがグロス値とネット値。現在でもただし書きで「エンジン出力はネット値です」などと明記されることはあるが、意識されることはほぼなくなっている。
一般的なグロスとネットの意味は、グロスが総計などで、ネットが正味などとなる。たとえば広告業界では、グロスは広告費の原価と広告代理店の手数料を合算したもので、ネットは広告費の原価のことを言う。
一方クルマのスペックの場合は、出力の測定方法の違いによるもので、グロス値はそのエンジンを回すのに最低限必要なものだけ装着した状態で測定したもの。エアクリーナーやマフラーはなしでも構わないし、付けるにしても、本来付くものでなくても構わない。対してネット値は本来付く補機類などを装着した状態で測ったもの(車載はしなくて構わない)となり、実際にクルマに搭載した場合に近い数値となる。
一見、一般的な意味と逆のようだが、グロスの基本的な意味は手数料や税金など(いわばロス)が引かれていないもののことを言い、エンジンの場合、補機類を装着することで生じるロスが引かれる前の値がグロス値、そうしたロスを引いたものをネット値と考えるとわかりやすい。
意味は別にして、一般的に問題なのは数値に差が出ること。グロス値は最低限必要なものだけ装着した状態での測定になるため、馬力とトルクが15パーセントから20パーセントほどネット値よりも大きくなり、その差は大きい。1985年を境にして、それまではカタログのスペックもグロス表記だったので、当時よく言われた「スペックほどパワーがない」なんて言っていたのはこれが理由のひとつであった。さらにクルマ好きたちは「今度出たエンジン、120馬力もあるね」。
現在はネット値を使っているので、より実際に近いものとなっているが、グロス値は今でも使われてはいる。その理由は、OEMなどでエンジンだけを取引する例があるため。その際は最終的になにが付くかわからないので、エンジンだけの素の状態でのスペックが必要となるからだ。

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