すべてのブランドが実質的には英国企業ではない

英国といえば、ロールスロイス、ベントレー、アストンマーチン、ジャガー、ランドローバー、そして近年ではマクラーレンなど、超高級ブランドが名を連ねている。また、庶民派向けではMINIの存在も忘れてはならない。



ところが、こうしてブランドのすべてが企業に対しての資本で見ると、ドイツ、中国、または欧米の投資ファンドなどであり、実質的には英国企業ではない、という印象がある。



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このような状況は、第一期として1980年代から1990年代にかけて、日系メーカーがグローバルで事業を拡大するなかで起こった。製造コスト管理の効率化と厳格化が問われるようになり、いわゆるバックヤードビルダーという表現があるような『匠の技』に対する非効率性から脱却が英国メーカーにとって大きな課題となった。



さらに、2000年代に入り、BRICsと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国等の経済新興国の経済発展をきっかけとして、自動車産業界では世界規模での事業再編が急激に進んでいった。



そのなかで、まずは英国ブランドとして、製造拠点は英国内に残すものの、エンジンやコンピュータ関連のITデバイスなどは英国外で生産する体制が重視されるようになる。



2020年の自動車総生産数は99万台に留まった

また、ブランド戦略も含めて、グループ企業としてのブランド管理の統一化が求められるようになった。具体的にはドイツのフォルクスワーゲングループにおける、ベントレーブランドの管理体制がある。結果として、ベントレーは生産効率を上げて多モデル化を行い、近年では世界中のセレブ向けの大量生産型の超高級車としてのポジションを確立している。



一方で、英国を自動車産業の生産拠点としてみると、年間生産総数は2019年は138万台、また2020年は新型コロナ感染症の影響で99万台となった。これは世界最大の中国の20分の1以下に過ぎず、また欧州内ではドイツ、スペイン、フランスに次ぐ4位に留まる。



どうした「英国車」! ジャガーやロールス・ロイスなど伝統のブランドが軒並み「他国資本化」した理由



さらには、2020年に実施された通称ブレグジットといわれるEU(欧州連合)からの離脱により、自動車に限らず海外企業にとって税制面を主体として英国内で事業を継続するためのメリットが大きく損なわれてしまった。そうした影響もあり、ホンダは2021年内に英国工場を恒久的に閉鎖する。



こうして歴史を振り返ってみると、そもそも英国の自動車産業はこじんまりとした独自性が強いものだったが、そこにグローバリゼーション(国際化)の大波が押し寄せ、英国自動車産業全体としての軌道修正が余儀なくされたといえる。



今後、英国自動車メーカーがどのように生き残っていくのか? 単なるブランドだけが、資本や投資の原理によって独り歩きし続けていくのか? 今後の動向を見守っていきたい。

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