日中でもライトを点灯させることで安全確保につながる
クルマのヘッドライトについて、最近いろいろ変化がある。「なぜだろう?」と、思っている人が少なくないと思う。
まずは、オートライト(自動点灯)についてだが、2020年4月新車での装着が義務化された。
一方、欧州を主体とする輸入車では、すでにデイタイムランニングランプ(またはライト)を標準装備している。
なぜならば、欧州の多くの国ではデイタイムランニングランプが義務化されているからだ。そのため、JAF(日本自動車連盟)やレンタカー会社では、欧州で旅行者が運転する場合の注意項目として、デイタイムランニングランプの必要性を冊子やネットの情報でユーザーに伝えている。
では、なぜデイタイムランニングランプが必要なのか?
それは、前述にように、法規制の対象は保安基準だからだ。つまり、接近車両の存在を明確にすることで自車の安全確保につながるという考え方だ。
では、なぜ欧州車が先行して、デイタイムランニングランプをクルマで義務化していて、日本はこれをまずは二輪車・三輪車から導入したのか?
欧州各国から議論が開始された
それは保安基準におけるデイタイムランニングランプの議論は欧州各国の間で高まり、国際連合(EU)の欧州経済委員会がそうした議論の舞台となったからだ。
この委員会には、道路交通法に関するWP1と、道路車両運送を関するWP29というワーキング会合がある。
WP29は、自動車基準調和世界フォーラムと呼ばれ、さまざまな自動車技術に関して世界各国から運輸部門を管轄する省庁から代表者が集まり、スイスのジュネーブを拠点に定期的な会合を行っている。
日本からは、国土交通省や、同省所管の各種研究所など担当官が派遣されている。筆者の知り合いにも、この担当官がいて、ジュネーブでの国際協議における苦労話を聞いたことが何度かある。
WP29のなかにも、いくつかのワーキングチームがあり、各国の主張がぶつかることも少なくない、それを調整することは根気のいる作業である。
こうした中で、欧州主導でデイタイムランニングランプの標準化が徐々に進んでおり、日本では日本での社会情勢を加味した上で、現状ではオートライトと二輪車・三輪車のデイタイムランニングランプ義務化となっている。
だが、WP29におけるデイタイムランニングランプに関する協議がさらに進めば、日本でも当然、デイタイムランニングランプの新車義務化という流れが生まれる可能性がある。
日本では、夜間に赤信号で交差点に停止した際、前車や対向車への気遣いから、ドライバーが手動でヘッドライトをスモールライトに切り替えるという”風習”があるが、オートライトやデイタイムランニングランプの義務化によって、ヘッドライトのつけ方・消し方は世界共通化となり、日本人らしさは消えていくのかもしれない。

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