カーナビの大画面化によって両者の違いはそれほどなくなってきた
今やドライブの必需品ともなっているカーナビには、新車購入時やディーラーで取り付ける純正ナビと、カー用品店で後付けする市販ナビの2通りがある。それぞれにメリット/デメリットがあり、このどちらを選ぶべきか悩みは尽きないが、今回はあえて市販ナビを選ぶ視点でそのメリットと、選ぶ際の注意点について考えてみる。
市販ナビは言うまでもなく、カーナビメーカーがそれぞれ独自の仕様で開発した商品だ。
その背景にあるのが、カーナビの大画面化だ。最近は純正ナビでも8~9インチといった大画面化が当たり前となっているが、そのきっかけとなったのがアルパインの「ビッグX」だ。当時、カーナビの画面は7インチが主流だったが、その理由はクルマ側に用意されているスペースが2DINサイズ(ヨコ180mm×タテ100mm)で、それ以上のサイズは収められないという物理的要因があった。そんな状況を打破すべく、車種専用キットを用意することでビッグXは大画面化を実現。同時にこのキットにより、市販ナビに優れたフィッティング性ももたらしたのだ。
もちろん、その分のキットにかかるコストは価格に上乗せされているわけだが、それでも純正ナビよりは下まわる価格に設定されていることがほとんど。しかも、パナソニック「ストラーダ」のようにディスプレイ部だけを浮かせることで2DINスペースに取り付けを可能とした例もある。これなら車種専用キットは不要となり、さらに低コストで大画面化が可能となる。つまり、純正ナビよりも低価格で人気の大画面化を実現できることが市販ナビ最大のメリットと言えるだろう。

製品として、仕様の自由度が高いことも市販ナビならではのメリットだ。

取り付けスペースの確保や工賃などにも注意が必要!
それに対して市販ナビは単独で開発が進められるだけでなく、ライバルとの激しい競争の中でリリースされるため、常に最新仕様であることが欠かせない。言わば、いかに最新仕様になっているかが市販ナビの生命線でもあるわけだ。たとえば、パナソニック「ストラーダ」はモニターのパネルに発色の優れた有機ELを国内カーナビとして初めて採用したし、パイオニアは車載専用Wi-Fiルーターを導入して人気を呼んでいる。ハイレゾへの対応に積極的に取り組んでいるケンウッド“彩速ナビ”の存在も見逃せない。

また、保証期間3年が多い純正ナビに比べ、1年が基本の市販ナビは心許ないとの声もあったが、最近は市販ナビでも長期保証に加入できるケースもあり、これを踏まえれば一概に市販ナビが不利とはならなくなった。ただ、市販ナビで気を付けるべきは取り付け工賃で、高度な仕様になると手間がかかって高額な請求をされるケースもあり得るようだ。
また、市販ナビでもポータブル型ナビでは取り付けが容易でもあることとは裏腹に、盗難にも遭いやすいというリスクもあることを知っておくべきだ。

もう一方で知っておくべきこととしては、新車購入時に市販ナビにも対応できる“ナビパッケージ”の存在だ。

私の場合、ダイハツ・ムーブに用意されていたナビパッケージにパイオニアの楽ナビを組み合わせることができた。新たにバックカメラを取り付けるよりも低コストでメリットは大きい。この辺りは営業マンに聞いても分からないと回答されることが多い(私の場合もそうだった)ので、このパッケージが対応できるかどうかも含め、ネットなどで事前に調べておくといいだろう。

では、市販ナビはどんな人に向くのか。価格を少しでも安く、高機能なナビを楽しみたいと考える人にとって市販ナビは格好のアイテムとなるだろう。大画面にこだわらないが、機能面では最先端であって欲しいというニーズにも市販ナビはきちんと応えてくれる。
さらに市販ナビを取り付ける前提として、車両側が2DINスペースを用意できることも忘れずにチェックしておいて欲しい。これが用意できないなら市販ナビは取り付けられないからだ。いずれにしろ、市販ナビを選ぶ場合、事前のリサーチはとても大事であるということ。とくに新車を購入する際はこの辺りをしっかりリサーチしておくことをおすすめする。