「偉そうに見えないけどナメられない」絶妙なバランスが魅力!

今や顔つきに作り込まれたキャラクターが込められ過ぎていて、「高見せ」でも「格上げ」でも「盛っても」ない、日常的な足グルマって逆に選びづらいところ。全部がそうとはいわないまでも国産車の苦手ジャンルになりつつあるので、じつは解決策は輸入車にあったりする。というわけで非オラオラ系なのにナメられない存在感、それでいて所有して乗って走って、満足度の高い選択肢を、SUVとハッチバック、MPVそれぞれの車型で考えてみた。



1)ジープ・レネゲード

 まず非オラオラ系SUVの筆頭は、ジープのエントリーモデルとして売れまくっているレネゲード。その人気の秘密は、一目見てジープと分かる骨太なデザインなのに1.3リッター直4ターボに全長4255㎜という、コンパクトで扱いやすいサイズ感、どことなくユーモラスで柔らかな雰囲気にある。



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とはいえ丸目のフロントマスクとボクシーなボディラインはまごうかたなきジープ。「トレイルホーク」やPHEVモデルでは走破性重視の本格4×4も選べる一方、FFモデルなら車両価格300万円を切るモデルも揃う。パークアシスト機能やADASも充実しており、街乗り中心でキャンプはときどき、といった乗り方にも向く、じつは都会派SUVの一面を併せもつジープなのだ。



フランス車の圧倒的なデザイン力!

2)シトロエンC3

 続いて非オラオラなハッチバックの白眉は、シトロエンC3。2021年式からマイナーチェンジされて、ファニー顔全開だった前期モデルよりも精悍なフロントマスクに改められたものの、ポップなツートンカラーと妙味あるアクセント使いは健在。



ナメられるのは嫌! でもオラオラ顔も嫌! そんな悩みを解決する「雰囲気」で圧倒する輸入車3選



「シャイン」以上のグレードでは「アドバンストコンフォートシート」と呼ばれる、アンコが思いっきり柔らかで分厚い前席シートが採用されている。座り心地は当然、身体が軽く沈み込むほどにソフトだがホールド感がなぜか的確で、コーナーで不用意に踏んばらされるような感覚がない。しかもシトロエン伝統の、ストロークたっぷりな独特の足まわりとの相乗効果で、街乗りでも高速でも、全長4mに満たない車と1.2リッター直3ターボとは思えない、余裕ある乗り心地と走りが味わえる。



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柔らかいのに飛ばしても滅法楽しめるアシとハンドリング、そんな矛盾した魅力こそが、シトロエン沼の入口なのだ。200万円台半ばという輸入車にしては控えめな価格帯もいい。



3)ルノー・カングー

 そして最後、ワンボックスやカスタム含めて根強い人気のMPVは、非オラオラ系輸入車の元祖たるルノー・カングーが推し。何せフランス本国ではリヤウインドウがボディパネルのまま嵌め殺されたパネルバン、つまり商用車ベースの乗用車だ。



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欧州規格の輸送用パレットをフォークリフトでサクサク積めるよう設計されたラゲッジスペースなので、5名乗車時660~最大2866リッターという容量もさることながら、荷室長の長さに開口部のデカさ、フロアのフラットさまで、デフォルトで業務用並なのだ。頭上のストレージ収納も気が利いているし、リヤハッチは観音開きなので、それこそ「積んで運ぶ」性能にかけて、カングーは代え難い1台であり続ける。



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外観はいかにもボヨヨンなツーボックスだが、1.2リッター直4ターボはデュアルクラッチの6速ATまたは今どき珍しい6速MTも選べ、意外なぐらいキビキビ走る。さらに毎年お約束となった「カラーエディション」による限定ボディカラーも、ストーリー性豊かで個性的なセレクトだ。



 いわば、非オラオラ系の輸入車に共通するのは、もてあますほどの高性能とか外に対して見栄を張れるか否かよりも、ほどよく必要十分な性能や装備で、自分が満たされる方が優先事項。だからこそ結果的に内側から楽しさが滲み出て、まわりから羨望の眼差しが向けられる、そんなポジティブなスパイラルなのだ。

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