大型貨物自動車等通行帯は左車線が基本

悲しいというか、残念というか、いまだに「あおり運転」、「ロードレイジ(路上暴力)」の話を聞くことは少なくない。「あおられる側にも責任がある」という指摘もあるが、強そうな相手が被害にあったという話を聞かないところから想像すると、あおる側が相手を選んでいるという傾向があるのは間違いなさそうだ。



そうした被害者(車)となりやすい車種には大型トラックも含まれる。

物理的にいうと、乗用車で大型トラックにぶつかると軽いほうがペシャンコになってしまうものだが、大型トラックなどの大型貨物には90km/hの速度リミッターが義務付けられているため、高速道路ではどうしてもゆっくりと走るしかなく、大柄なボディでスローモーに走っている様子からあおられることが多いようだだ。



大型トラックの右側車線走行を「マナー違反」と決めつけるのは早...の画像はこちら >>



あおる側の主張としては「リミッターの効いた大型トラックが追い越し車線を走っているのは邪魔だ」というものだが、だからといってあおり運転をしていいという免罪符になるはずもない。



とはいえ、大型トラックが追い越し車線(片側三車線での中央分離帯側・第3通行帯)を走っているのは法的にもNGだったりする。違反になるのは「大型貨物自動車等通行帯」の標識が出ている道路における場合だ。



大型トラックの右側車線走行を「マナー違反」と決めつけるのは早計! 右側じゃなきゃ「いけない」&「推奨」のケースとは 



この標識が出ている場合、高速道路など多くのケースでは左側車線(第1通行帯)が大型貨物車の走行車線として指定されている。そのため、大型貨物自動車は第1通行帯を走行することが基本となる。



ただし、第2通行帯を使って追い越しをすることは違反にはならない。追い越し後、速やかに第1通行帯に戻るべしという条件はあるが、第1通行帯以外を走ってはいけないわけではないのだ。ただし、大型トレーラについては第1通行帯以外を走ることはできない。



幹線道路などでは右側の車線を大型通行帯としているケースも

いずれにしても、大型貨物自動車等通行帯の標識が出ている3車線の道路においては、大型貨物車は、事故・工事・道路損壊等の理由による場合以外は、第3通行帯は走行できない。第3通行帯を走ると、通行帯違反となってしまうのだ。



逆にいうと「大型貨物自動車等通行帯」の標識が出ていない道路であれば、大型トラックがどの車線を走っていても、すぐさま違反だとはいえない。

もちろん、追い越し車線(第3通行帯)を延々と走る行為は、大型貨物車に限らず、乗用車であっても違反行為になるが、大型貨物車だから違反になるとはいえないのだ。



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また、どんな道でも大型貨物車は第3車線を走ってはいけないと考えてしまうのも早計だ。



都心部の幹線道路などでは、「大型貨物自動車等通行帯」の標識によって中央分離帯よりの車線を大型通行帯として指定しているケースもあるからだ。



これは歩行者や道路沿いの住居から大型貨物車を少しでも離すことで、騒音や排ガスによって沿道の環境を悪化させることを防ぐためだ。



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また、第1通行帯を「環境レーン」と位置づけ、大型貨物車は第2・第3通行帯を走るような配慮を求めるキャンペーンを実施している地方自治体もあったりする。車線を変える程度で、排ガスの排出量が変わるとは思えないが、騒音については距離が離れるだけで減衰することが期待できるため、住民の生活環境を守るのに有効なのであろう。



いずれにしても、高速道路ではキープレフト、一般道ではキープライトというのが大型貨物車の適切な走行車線として求められている。一般ドライバーには直接的には関係ないが、大型貨物車のそうした基本を知っておけば、よりスマートな車線選びができ、ストレスの少ないドライブが楽しめることだろう。

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