本物の「砂漠のロールスロイス」たるカリナンが他を一歩リード!?
高級車ブランドからここ数年、続々とSUVが誕生している。今回はロールスロイス・カリナン、ベントレー・ベンテイガ、ランボルギーニ・ウルス、メルセデス・マイバッハGLSの中から、予算は考えずにベストBUYを選べというのが編集部からの命令。
そんなの答えは5秒くらいで出るはずだよ。
というわけで、ロールスロイス・カリナンが大差でトップ。ほかはどれもそれぞれのブランドが主張する特筆すべき個性がある。そんな内容でいいですかね、今回のコラムの結論というのは。
……ダメですよね。もしかしたらと思って書いてみたけれど、これではちょっとオフザケが過ぎるので、まずはその本物の砂漠のロールスロイスたるカリナンの魅力から。
ロールスロイスが主張するカリナンのコンセプトは、「究極の贅沢な空間の中で、どこへでも快適に困難なく移動ができる全天候型の、ハイボディードビークル」。世界中に存在するSUVなる表現を我々は絶対に使わないぞという覚悟は、まず見事なものといえる。もしもフェラーリが4ドアセダンやSUVをデビューさせたら、同じように意地でもそれをセダンとかSUVとは呼ばないだろう。

カリナンとは、これまでに発見されたダイヤモンドの中で最大の原石の名前であるという。最初にその名を引き継いだSUVのカリナンのシルエットを画像で見た時は何とも不恰好な姿に思えたが、実物を一目見るや、それはあくまでもロールスロイスの伝統に従ってデザインされた、上品で他車には及ばぬ存在感を持つモデルであることが瞬時に理解できた。
実際のボディサイズは5340×2000×1835mm。

そのような上品なフィニッシュはインテリアに関しても同様だ。リヤシートのドアヒンジを後方に持つ、コーチドアを開けて、まずはリヤシートでの世界を楽しむ。当然のことながら後席のVIPに与えられる空間は広く、天井には無数の星が輝くスターライトヘッドライニングをオプションで装備することもできる。

同じくオプションでは荷室内に電動格納式のシートとカクテルテーブルを備えるビューイングテーブルなども設定されており、カスタマーはオプション装備、あるいは特別注文によって自分自身のカリナンをさらに魅力的な一台に仕上げられる。

搭載されるエンジンは、6.75リッターのV型12気筒ツインターボ。かつては発表さえされなかった最高出力は、現在では571馬力ときちんと表記されており、2.8トン近くもあるボディーを8速ATとの組み合わせでスムースに加速する。乗り心地と静粛性は、ほかのどのブランドよりも魅力的だ。完璧ともいえるフラット感とともに走りを続けるカリナンは、やはり究極の贅沢な空間にほかならなかった。

カリナンのライバルに個性的なモデルが名乗りを上げる
それではこのカリナンに続くライバルモデルはどうか。個人的にもっとも気になるのは、ランボルギーニのウルス。

そのウルスの魅力といえば、SUVの中でももっとも過激に感じるスポーツ性だろう。搭載エンジンは4リッターのV型8気筒ツインターボで、最高出力は650馬力。車重は約2.2トンと重量級だが、それを感じさせない走りが実現されていることは、3.6秒という0-100km/h加速がそれを証明している。

ランボルギーニによれば、近い将来、このウルスをベースとしたワンメイクレースも開催予定とのこと。スーパースポーツ・ブランドの考えることはやはり面白い。
ベントレーのベンテイガ、そしてメルセデス・マイバッハの最新作、GLS600 4MATICも最高級SUVの一翼を担う魅力的なSUVだ。
まず先日マイナーチェンジを受けて、新型へと進化したベントレーのベンテイガ。デビュー時には6リッターのW型12気筒エンジン搭載モデルのみだったが、それにV型8気筒仕様が加わったことで、セールスには一気に弾みがついた。

マイナーチェンジ後は、基本モデルはすべてV型8気筒仕様となり、W型12気筒モデルは「スピード」の専用エンジンという扱いに。先日このスピードに試乗してみたけれど、それはとにかくスムースでかつ速い。
メルセデス・マイバッハのGLS 4MATICは、7月の始めにLAショーで発表されたばかりで、いまだに見たことも触ったこともないけれど、4リッターのV型8気筒ツインターボエンジンに48VのEQブーストシステムを組み合わせ、さらに低中負荷域では気筒中止さえ行うシステムを採用。まさにこれからの時代を担うクリーンSUVのひとつともいえるこのモデル。

運動性能にももちろん不満はなく、約2.8トンという車重に対して0-100km/h加速は4.9秒。最高速はリミッター制御による250km/hと十分な数字だ。
インテリアの仕上げも、かつてのマイバッハを思い出せば容易に想像できるとおり、おそらくはSUVの常識を覆すほどの上質感が演出されたものになっているのだろう。後席は当然ゆったりとした広さが確保されているはず。

というわけで、ヤマザキ的超高級SUV選びの結論は、「カリナンかそれ以外」。もちろん実際にそれを買うおカネなんかないけれど、おカネ持ちの方々は、たまにはぜひ、このヤマザキを信じてやってくださいませ。ぺこり。