この記事をまとめると
■タイヤはクルマの重要部品であり、適性な空気圧の維持が必要



■タイヤ空気圧は季節や気候、標高などの影響を受けやすい



■それぞれのシチュエーションでどのような影響を受けるのか解説する



2カ月の放置で30kPaほど空気圧が低くなっている可能性も

季節の変わり目は、昔から体調を崩す人が多く、近年、こうした気候や天気の変化が原因でおこるカラダの不調の総称を「気象病」とし、世間に認知されるようになってきた。



クルマについても、最重要の部品であるタイヤの空気圧は、季節や気候、標高などの影響を受けやすいので注意が必要。



まず、気温の影響だが、タイヤの空気圧は、10度上がると10kPa(0.1kgf/㎠)ほど上がり、10度下がると10kPa(0.1kgf/㎠)ほど下がる。



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東京の平均気温でみると、8月は最高気温が31度、最低気温が 24度。10月だと最高気温が22度、最低気温 15度なので、いずれも9度ずつ違う。



つまり、1カ月で約5~10%も空気圧が低下するといわれる「自然空気漏れ」を別としても、8月から10月にかけて、空気圧は約10kPaは下がるということ。



実際には、これに「自然空気漏れ」も加わるので、もし8月から2カ月間、空気圧を調整していなかったとすれば、30kPaぐらい空気圧が低くなっている可能性がある。



一方、標高に関しては、1,000m高くなると12kPa(0.12㎠)ほど上がり、1,000m低くなると12kPa(0.12㎠)ほど下がるといわれている。



タイヤにも「気象病」は起こる! 温度・湿度・標高で空気圧はかなり変化していた



高い山に上ると、平地で買ったお菓子の袋やペットボトルが、山頂付近で膨らんでいることがあるが、あれは標高が上がったことで大気の圧力が下がり、内圧が上がったことを示すわかりやすい例。



もっとも、標高が高くなると、気温も下がるので、空気圧の上昇も若干相殺される分があるが、JAFのテストでは、標高24.39mの平地で220kPaに合わせたタイヤが、標高1000mに行くと230kPaになり、標高2175mの国道最高標高地点では、250kPaという結果が出ている。



空気圧の調整はできるだけ雨の日を避けたい

その他、気象に関することでいえば、湿度の影響が非常に大きい。



2021年の東京の平均湿度は、2月が49%に対し、9月は82%もある。



これらの空気中の水分は、加熱されると水蒸気になるわけだが、水は空気よりも熱による膨張率がとっても大きく、水分は気化すると体積が1700倍にもなってしまう。



タイヤにも「気象病」は起こる! 温度・湿度・標高で空気圧はかなり変化していた



そのため、世界を転戦するF1では、開催地の天候、気温、湿度の影響を最小にするために、タイヤにはドライエアを充填して対策をしている。



その変化量のおよその目安だが、水分の混じった普通の空気の場合、気温が15度上がると約13%空気圧が高くなり、15度下がると空気圧も約13度低くなる。

そして乾燥させた空気=ドライエアを入れたタイヤでは、気温が15度上がると、空気圧は約9%上がり、15度下がると約9%空気圧が下がる。



したがって、空気圧を調整するときはできるだけ、雨の日を避け、湿度の低い時間帯に行なうのが理想。



タイヤにも「気象病」は起こる! 温度・湿度・標高で空気圧はかなり変化していた



もっともコンプレッサーのメンテナンス=タンク内の水抜きなどが疎かだと、元も子もないかもしれないが……。



というわけで、タイヤの空気圧は気温、標高、湿度に大きな影響を受けるわけだが、乗用車でシビアに考えすぎるのも不自由なので、タイヤメーカーが推奨するように、車両指定空気圧を基準とし、0~+20kPaの範囲内に合わせるのが、適性空気圧と考えるといい。



クルマのタイヤが空気圧に依存する割合は90%といわれていて、指定空気圧より少々高い分にはデメリットは気にならないが、指定空気圧より低いのはかなりネガティブなので、やはり月に一度は空気圧を点検・調整し、どの季節でも指定空気圧を下回らないように気を配ろう。

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