この記事をまとめると
■フェラーリは維持費がかかるという印象がある



■このイメージはバブル期に作られたと推測される



■実際の維持費について経験談をもとに解説する



初回の車検費用が約200万円だった個体も!

仮にフェラーリやランボルギーニなどが入手できて、その先の維持費はどのぐらいかかるものなのか?



いまだに「フェラーリは維持費が大変でしょう」と言われることがある。いまだにというのは、フェラーリオーナー歴28年ゆえの感想で、一般の人からすれば、フェラーリは維持費がかかってアタリマエ。それが揺るぎない固定観念だろう。

では実際はどうなのか?



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「フェラーリは維持費がかかる」という伝説(?)は、主にバブル期に作られたと推測される。



たとえば車検。私が09年に購入したフェラーリ328GTS(87年式)には、新車時からの記録簿がついていたが、初回の車検費用はなんと約200万円! ヨーロッパ並行ものだったので、整備を行ったのはディーラーではなく、民間の整備工場だった。



保険は? 維持費は? フェラーリオーナーが語る「お金」のリアル



ところが、同じ328GTSの車検に、現在では20万円程度しかかからない。バブル期は、まったく無意味かつ無駄な整備を行っていたのか、あるいは何もしないで、お金だけボッたくっていたのだろうか?



私の取材によれば、バブル期までは、「フェラーリなんだからお金がかかってアタリマエ」という観念が非常に強く、安く上げて競争に勝とうという整備業者はいなかったし、整備費用を安く上げようというオーナーもいなかったようだ。逆に「こんなにカネかかっちゃったよ~」と、自慢する風潮があった。



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加えて当時の日本の整備業者には、フェラーリを整備する技術や経験が乏しく、いじり壊していた部分もあったらしい。



車両保険料は高いどころか加入すること自体が困難!

個人的な体験としては、最初に買った348tb(90年式)は、購入後最初の車検(95年)をディーラーにお願いしたが、71万2404円かかっている。この時は「必ず壊れる保証付き」のデルコ製オルタネーターの交換や、ショックオーバーホール、アライメント調整など盛りだくさんのメニューだったが、それなりにお高い費用になった。その2年後、購入したお店で車検を取った時は、オイル交換のみとはいえ、18万円で済んでいる。



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近年はディーラーでの整備も、昔に比べると大幅に安くなっている。2013年、458イタリア(2010年式)をディーラー車検に出した際は、総額29万1779円で済んだ。

この金額は、メルセデスやBMWのディーラー車検費用よりも、むしろ安いくらいだろう。



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F430あたりから、フェラーリの品質は劇的に向上しており、故障など滅多にしないし、耐久性も驚くほど上がっている。加えてフェラーリのような特殊なクルマは、走行距離が極端に短いので(年間1000~2000キロが平均値)、ブレーキやタイヤなどの消耗が遅いという面もある。



ただ、安上がりでは済まないケースもある。たとえば355のF1マチック(セミAT)はトラブルが多く、最悪の場合、部品がなくて直せなくなってしまう。456GTも設計段階からの欠陥が多数あり、最初から壊れていて完全には直せないと言われている。そういったクルマに手を出してしまうと、直そうという意欲さえ失うほどお金がかかり、結局直し切れないまま売却というババ抜きになる。



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フェラーリの場合、一部の車種を除いて整備費は安上がりだが、保険料はそうは行かない。高価なクルマだけに、車両保険料は普通に高いし、そもそも加入自体が難しい。



私が初めてフェラーリを買った時は、新規の30歳未満不担保という条件で、一般条件の車両保険に加入すると、約70万円/年と算出された。あまりにも高かったので、車両保険をエコノミーにすることで約半額に収めたが、フェラーリの事故は99%自爆(自損)と言われているので、エコノミーではほとんど無意味に近い。



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ただ、等級や年齢が上がれば、その分保険料も安くなる。

現在は頂点の20等級なので、328GTS(車両価格約1000万円の設定)で、一般条件の車両保険を付けて年間12万円ほどだ。

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