この記事をまとめると
■MOTO GPのレジェンドライダーであるヴァレンティーノ・ロッシが引退した■2輪引退の3週間後にアウディ・スポーツのテスト走行に参加
■今後は4輪ドライバーとしてGT3クラス、WECシリーズなどへの参戦を目指す
ロッシが2輪ライダーとしての競技生活を終了
2021年のモトGPシリーズ最終戦、第18戦のパレンシアGPを最後に、幼少期も含めれば30年におよぶ競技者生活に終止符を打った天才ライダーがいた。生きる2輪ライダーのレジェンドとまで評され、世界中に多くのファンを抱えるパレンティーノ・ロッシである。
ロッシの足跡については、今さら改めて触れるまでもないが、1996年にロードレース世界選手権の125ccクラス(アプリリア)でGPデビューを果たすと、2年目の1997年にチャンピオンを獲得。
この時点で、2輪GP史上前人未踏となる同一人物による3クラス制覇を成し遂げることになったが、ロッシの快進撃は、最高峰クラスが4ストローク1000ccのMOTO GPクラスに変更されてからも続き、2002~2003年(ホンダ)、2004~2005年/2008~2009年(ヤマハ)と6度の世界チャンピオンに輝いた。通算勝利数は、125ccからMOTO GPクラスにいたる26シーズンで128勝。まさに空前絶後の2輪マイスターである。
4輪ドライバーへの転向を目指すロッシ
そのロッシ、11月14日に2021年シーズンの全日程を終了させると、それから3週間も経たない12月7日~9日にかけ、スペイン・バレンシア・サーキットで行われたアウディ・スポーツのテスト走行に参加。このテスト走行は、2021年のGTワールド・チャレンジ・ヨーロッパのチャンピオンチームであるベルギーのチームWRTとアウディ・スポーツによって行われたもので、チームWRTから「通算9度の2輪チャンピオン、バレンティーノ・ロッシ選手と現チャンピオン・チームが将来の可能性を探るために行った」とテスト目的が発表されている。
注目されるのは、今後の動向だが、まずはGT3クラスで4輪レースに慣れ、WECシリーズおよびル・マン24時間にLM-P2クラスのプロトタイプで挑戦。最終的には最上位カテゴリーのハイパーカークラスでの参戦を目指すと言われている。
歴史的に見ると、2輪チャンピオンから4輪レースへの転向を図ったライダー(ドライバー)は、マイク・ヘイルウッド、ジョニー・チェコットなど何人かいたが、2輪(世界GP)と4輪(F1)で両最高峰タイトルを極めたのは、ジョン・サーティス(2輪MVアグスタ1958~1960年、4輪フェラーリ1964年)ただひとりである。とくにF1の時代は、希代の天才、不世出のドライバーといわれたジム・クラークの全盛期だっただけに、サーティースの実力が掛け値なしの本物であったことがうかがえる。もはや、ロッシがF1に乗ることは考えにくいが、メイクス選手権への参戦は十分に価値のあるものだ。
ミハエル・シューマッハと親交があり、互いの才能を尊敬しあい、それぞれのレースを観戦に行く仲だったが、惜しむらくは4輪に転向するロッシが、42歳と全盛期をやや過ぎた年齢であることだろうか。欲を言えばキリはないが、もし最後のMOTO GPタイトルを獲得した2009年直後に4輪転向を果たしていれば、ひょっとしたらF1チャンピオンも夢ではなかった、と信ずるに足る才能の持ち主だ。
決勝タイヤの性能を最大限引き出すため、レースの前・中・後半で路面とタイヤの当たり面を変えて走らせていたロッシ。これほど繊細なコントロール感覚があれば、4輪での成功も間違いないと思わせる。ル・マンの表彰台中央に立つロッシの姿を見てみたい。

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