この記事をまとめると
■クルマの電動化を先導する欧州では120万台超のBEVが販売されている■もっとも売れているBEVはテスラ・モデル3でBEVのシェアではVWが25%を占める
■クルマの電動化を加速させるターニングポイントは2015年にあった
わずか7年でニッチなEVメーカーが世界一のEVメーカーに
2022年現在、クルマの電動化は確実に加速している。2021年実績のデータを見ると、欧州では120万台を超えるBEV(電気自動車)が売れており、なんと新車販売の10台に1台がBEVになっているのだ。
そんな欧州でもっとも売れているBEVはテスラ・モデル3で、年間販売台数は14万台を上まわる。
テスラとVW、この2社が自動車の電動化をけん引しているといっていい。とはいえ、この2社は7年前の2015年にはまったく対照的な状況にあった。そして、この年こそがクルマの電動化を加速させるターニングポイントとなったのだ。もっといえば、2015年9月こそ、現在の電動化ムーブメントのスタートになったといえる。
時計の針を巻き戻してみよう。
2015年9月2日、テスラ(当時はテスラモーターズ)のイーロン・マスクCEOがツイッターにて「小さく安いセダンのモデル3を2年以内に生産開始する」とツイートした。この時点ではプレミアムなBEVブランドとして話題にはなっていたが、あくまでニッチブランドであったテスラが大量生産の世界に入ってくるという宣言だった。
実際にモデル3が発表されたのは2016年3月で、ローンチは2017年7月だったから、ツイッターを利用した宣言は有言実行された。そして、現在は世界でもっとも売れたBEVとなっている。欧州での販売実績からもわかるように、モデル3の存在がクルマの電動化を象徴している。
VWの不正がクルマの電動化加速のきっかけだった
さて、同じ2015年9月にはもうひとつ、クルマの電動化にシフトさせるきっかけになった大きな事件が起きている。
当時、話題になったので覚えている人も多いだろうが、ディフートデバイスというのは排ガス検査を検知すると、実際とは異なる検査モードのプログラムでエンジンを動かして検査をクリアしようとする機能。禁じ手といえるこの機能を、VWグループのディーゼルエンジン車が搭載していたことが大問題となった。のちに「ディーゼルゲート」と呼ばれるようになった大事件である。
自動車業界ではドイツ車というのはテクノロジーリーダーであり、そのドイツが推しているクリーンディーゼルというのは環境対応としてはもっとも正解に近いというムードがあった。しかし、2015年9月に明らかとなったディーゼルゲートによって、市場はディーゼルエンジンへの不信感を抱くようになる。もはや真のクリーンディーゼルを実現したとしてもブランドイメージの回復は難しい状況になっていった。
そこでVWグループは、電動化に一気に舵を切る。ゼロエミッション化こそが正しい環境系パワートレインというメッセージを送り続けた。
欧州では、ディーゼルのみならずガソリンエンジンも悪と位置づけた。おそらく2016年にドイツ政府が将来的な内燃機関の販売禁止を検討していることを示したのもきっかけになったのだろう。各国が2030~2040年あたりを目途にエンジン車廃止という政策をアピールするようになる。
その背景にあるのは、2015年11月~12月に開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)の結果として定められた枠組み、いわゆる「パリ協定」だ。気候変動というのは地球温暖化という表現でも知られているもので、要は人為的なCO2排出量を低減しようというもの。
これにより「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度に抑える努力を追求すること」という具体的な目標も定められた。こうした目標に自動車業界として対応していくこと、そして直前にディーゼルゲートが起きてしまいエンジンへの不信感が生まれていたことが、クルマの電動化を加速させるきっかけになったといえるだろう。
ちなみに、持続可能な開発目標「SDGs」が国連サミットで採択されたのも2015年9月。まさに、2015年の下半期に現在の脱エンジンの流れは生まれていたといえるのだ。

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